ForGetting Things Done

「水のように澄みきった心」で頭空っぽに。

ついに業務として認められる!「GTD実践プロジェクト」

 

昨年よりQCサークルという社員による半ば自主的な活動から業務に格上げ(と私は理解しております!)になりました。同時にQCサークルという枠組みでなくなることで一段ハードルが上がり、結果が求められるようになったと思っています。

 

プロジェクト概要
経営陣からは、私が実質的なプロジェクトリーダー(形式上はおそらく社長)となり、事務局として社内にGTDを根付かせるということを求められています。

 

プロジェクトメンバーは私が自由に選んで良いとのことだったので、迷わず旧QCサークルメンバーへ参加のお願いをしました。幸いにも、業務上難しいという人を除き、メンバーの殆どが継続して参加してくれることになりました。ありがたや。ああありがたや。ありがたや。

 

さて、どうしよう?
QCサークルの頃からお決まりのパターンでしたが、目的が大き過ぎると感じていたり、目的自体をフワッとしか考えられず、戦略が立てられないでオロオロしております。いつも通り、事務局のミーティングにおける私の第一声は「どうしよう」でしょう。

 

これをお読みの皆様へお願い
唐突なお願いで恐縮です。このプロジェクトは道無き道をそのまま進んでいくような困難なものになると予想しています。壁に当たって事務局でも解決策が思いつかないときは、ツイッターでお伺いしようと考えています。このプロジェクトに関するツイートは#社内GTD化計画というタグを付けてつぶやきます。さらに#ご意見募集というタグがつけますので、よろしければお知恵を拝借させていただきたく、よろしくお願いいたします。

GTDが超絶有用なフレームワークであることについて

フレームワーク
経営戦略や業務改善、問題解決などに役立つ分析ツールや思考の枠組み。MBAなどで教わることが多く、ビジネスに必要とされるロジカルシンキングや発想法などを体系的にまとめたもの。

フレームワーク - Wikipedia

 

どんな時も通用するような思考法
フレームワークにはどんな時にも通用するような普遍性が必要ですね。対象によってアプローチが変わるのはフレームワークではないということになります。

 

GTDが仕事をやっていく上で有用なフレームワークになり得ると思うのは、どんな時でもこの考え方__目的を明らかにして次に取るべき具体的な行動を決める__に落とし込めば自ずと道がひらけると確信しているからです。

GTDが提唱するこの「うまくいく考え方」が他の手法と大きく異なるのは、いかなるものも特別扱いしない点だ。人生の目的といった大きな問題も、買わなければならないキャットフードという日常的なタスクも、あなたの意識に引っかかったものはすべて同じやり方でシステマチックに扱っていくことができるのだ。
(デビッド・アレン「ストレスフリーの整理術 実践編」)

 

「同じやり方で」「システマチックに」扱っていくことができるという部分に大きな魅力、GTDの持つ強みがあります。考え込むことや無理矢理奮起することを必要としない、意志力を必要としないということです。

 

どんな時でも安定して物事をやり遂げ、自分のクオリティを一定水準に保つ。GTDはその力強い裏付けとなると実感しています。

不動産営業マンの虎の巻

「タスク管理行為」が面倒くさい
タスク管理を広めようとすると必ずぶち当たる「そんな面倒くさいことできないよ」「今やってる仕事だけでアップアップなのに、さらに何かするの?」という抵抗。そう言いたくなるのも分かります。

 

あくまでタスク管理とか〇〇の仕事術といったものは自分たちの身近にあるのではなく、高いセミナー代を払って身に付けたり、元からスペックが高い人だけがやるようなものだ。そんなの自分がやっても意味がない。そんな風潮があります。

この複雑な現代において、生産性を高める方法を人に教えるなどということが、本当にできるのだろうか。一般には、一部の人々は生まれつき生産性が高く、他の人々はそうでないと信じられている。営業の人たちに関しても同じことが言われてきた。だがそれは、効率的な営業パターンがあることを誰かが見つけるまでのことだった。そのパターンさえ見つかったおかげで、それは誰もが学び、実践できるものになったのだ。
(中略)
生産性に関しても、同様のプロセスが存在する。それがGTDだ。GTDは世界中の誰もが学び、導入していくことができる実践的な理論なのである。
(デビッド・アレン「ストレスフリーの整理術 実践編」)

 

不動産販売会社の営業進捗会議
以前勤めていた会社が一戸建ての不動産販売事業をしていました。全国に支店を持ち東証一部へ上場もしている、実績のある会社です。そこで営業職の方々が使用していた共通のツールが、お客様とのファーストコンタクトから家の引き渡しまでの段取りを書き出したチェックリストでした。数か所の拠点を統括する事業所に営業マン全員が週に1回集まり、そのチェックリストを使って一人ずつ進捗の報告をするのです。聞けば、トップセールスを保持し続けている社員が作ったものだとのこと。

 

全員が一か所に集まって報告する意味があるとは思えませんでしたが、共通の進捗管理チェックリストを使用していることには大変意義があると思いました。

 

パターンを見出しリスト化して共有することの重要性
営業マンの中には、自分の営業スタイルがあってそれは他人とは相容れないものだと言う人もいると思います。ただ、会社の業務として行うからには、営業マンによって差異があり過ぎるのは効率が良くないことが多いように見受けられます。営業マンの独断で進めていると、まずはバックオフィスがそのあおりを食います。そして何かあった時の対応が煩雑になったり、時にはその独断が逆効果となり会社に損害を与えてしまったりします。

 

そういった意味で、上記の全社共通のチェックリストは、業務の平準化という意味でもとても有用だといえます。また、リスト化することで、進捗の見通しをつけることができ、さらにはその業務を行っている本人による抜け漏れを防ぐ効果も期待できます。さらには、全員共通のフォーマットを使っていることで、他人への共有がより簡単になります。このチェックリストは、まさにGTDの「見極め」における「次に行うべき具体的な行動」を順々に書き出して完了までを列挙したものでした。

 

チェックリストを作成するのは一見面倒くさそうに見えるが、『効率的な営業パターン』をいったん見つけられれば、その会社の「勝ちパターン」となり、無形の財産となります。その根底にはGTDの思想が見え隠れします(私にとっては見え見え以外の何物でもないのですが)。

 

私が見た限り、「自分のセンス」「お得意のアドリブ」に従って仕事を進めるより、チェックリストに従って淡々と進める人の方が、毎月安定した棟数の受注を得ていました。どんな人でも1回会話しただけで虜にしてしまうような天賦の才を持つ選ばれた一部の人ではなく、むしろそのような特技がなくても安定して結果を出せるような、そんな役割をチェックシートは果たしていました。つまり、「(タスク管理は)元からスペックが高い人だけがやるようなものだ。そんなの自分がやっても意味がない」という冒頭の台詞は、むしろ逆だという結論になることを是非お伝えしたいです。

自己肯定感はタスク管理で「勝手に上がっていく」もの

自信を持って!
以前、仕事が失敗続きで自分を責め続けて自信を完全に喪失したときがありました。そんな時に「くよくよしないで!さぁ自信を持って!」なんて言われたら「それで自信が湧いてきたら苦労しないよ…」と思ったことでしょう。そのときの自分にとっては、再び自信を取り戻すなんて天変地異でも起こらない限り無理だろうと思っていました。

 

しかし、宝くじに当たったかのようなそれが、実際に起こったんですね。しかも、偶然天賦の才が降ってきたとか、特別な石をあつらえた首飾りを身に付けるようになったら札束のお風呂の中で美女2人と戯れることができるようになったとか、そういったことではなく、再現可能で確実な方法によって自己肯定感を上げることができたと確信しています。

 

自信の根源
自信を持つということは、自分の判断を信頼できると言い換えることができると考えています。自分の判断を信頼できるからこそ、今自分のとっている行動が正しい(少なくとも間違ってはいない)と思うことができ、その安心感が自分を肯定できる精神的な余裕を生み出し、自信というものにつながるのだと思います。

『はじめてのGTD』が全世界の人々に提供したのは、自分が導き出した答えを信頼する方法だった。
(中略)
もちろん、現代社会においてはどんなに知識や情報を集めたところで、100%正しい判断を下すことはできない。(中略)私たちが本当に目指すべきなのは、それがどんな結果を生み出すにせよ、自分が下した決断を信頼できる状態になることである。
(デビッド・アレン「ストレスフリーの整理術 実践編」)

 

自分の行動を可視化する
GTDを実践した結果、自己肯定感、つまり自信を持つ、高めることがなぜできるのか。それは自分の判断に基づいて何らかの結果を出すことが可視化できるからだと実感しています。

 

以前、タスク管理上の失敗を聞かれたときがありました。その時にちょっと冗談めかして「失敗した記憶がない」と言いましたが、割と本気で思っています。思い通りの結果に結びつかなかった記録はあるのですが、それが未来永劫自分に反省を強いる烙印を押すものだとは思っていません。仮にその時点で思うような結果を得られなかったとしても、「これをしたらこういう結果を得た」という「信頼すべき記録」となります。

 

タスク管理を実践していけば自己肯定感は自然に高まる
そうして得られた記録を踏み台にして次の行動を変えていけば良いわけです。それがシステムとして用意されているのがタスク管理です。信頼できる足場を元に勧めていくシステムなので、続ければ続けるほど自分を肯定し自信を大きくさせていくことができます。これは精神論ではなく、具体的な仕事の進め方の話です。完全に自信を喪失していた私が、タスク管理をするようになってとても自信を持って仕事を進められるようになりました。これはすごいことだと常に実感しています。

大量にタスクを抱えても「問題が無い」理由

解決しなければならない真の問題とは、意味が明らかになっていない物事が大量に押し寄せてきているという状況である。
(デビッド・アレン「ストレスフリーの整理術 実践編」)

 

逆に言うと、意味が明らかになっていれば、物事が大量に押し寄せてきても大丈夫だということになりますね。

 

確かにそれは実感しています。今私は100以上の物事を抱えています。タスク管理ツールでは、全てのタスクについて「次にやるべき具体的な行動」を明確にしているので「意味が明らか」な状態です。デビッド・アレンに言わせれば、この状態は解決を要するような問題ではないということになります。

 

この問題であるかどうかは、抱える物事(タスク)の多い少ないではないです。意味が明らかになっているかどうかです。

 

意味が明らかとはどういうことか。そのタスクの目的が何か、次に取るべき行動が何かを明確にすることです。

 

明確にするとはどういうことか。書き出したりして言語化、文章化するということです。

 

つまり、「そのタスクは何のために行うのか」「次にやる具体的な行動は何か」が自分が抱える全てのタスクについてノートやPC等に書き出されていれば問題ない、ということです。

 

常にこの状態をキープしていれば、GTDをマスターしたと言えます。水のように澄みきった心、ストレスフリーな状態を味わうことができます。

GTDの目的。GTDで目指す生活。

「仕事の効率化」が目的ではない
タスク管理の目的とは何か。より多くの仕事をより短時間でこなすことでしょうか。それは手段に過ぎないと考えます。経営者はそれがさも目的であるかのように言うかもしれませんが、我々はその先にある「精神的な安定」「安心」を目的とすべきであって、効率化を目的とする考え方は違うと思います。タスク管理で定時帰りをしていると、押し寄せてくる仕事の波を適切にいなして、ストレスに潰されないようにするのが目的なんだなとつくづく実感します。

 

GTDの理論は、私たちを押しつぶしかねないストレスを把握し、それらを軽減するための極めて実用的なアプローチだ。
(デビッド・アレン「ストレスフリーの整理術 実践編」)


ストレスに打ち克つ!という精神論
やりたいことをするにも負荷はかかります。どんなことをやるにもストレスは生じますね。やりたくないことをやっているならなおさらです。その、いずれも発生するストレスとおさらばして、やりたいことを心ゆくまで追求できる状態にする方法、あるいはやりたくないことを最低限の時間でおさめ、精神的な影響をできるだけ少なくする方法、それがGTD(なんかiPhoneのCMみたいですね)。

 

ストレスに負けるな!と言うと即根性論、精神論にいきがちですが、GTDを実践することで不要なストレスを背負い込まないようになりました。結果としてそれは働き方を変えることになり、仕事のスピードを上げ、効率的に仕事をこなすことができるようになりましたが、あくまで結果です。我慢に我慢を重ねてその結果を出したのではなく、方法を工夫することでストレスを軽減することは可能だと考えています。

 

GTDは誰のためのもの?
英語でGTDなんて書かれると、一部の意識高い方々のためのものだという印象があるかもしれません。しかし、ハイスペックのエリートビジネスパーソンのテクニックではなく、毎日の仕事が嫌だ、面倒でしょうがないと愚痴る人全般にも使えるものだと感じます。むしろ、そのような人たちのためのものではないかと思うほど、高度なスキルは必要なく、紙とペンさえあれば即実践可能なものです。

 

ストレスから解放されて、趣味や家庭、その他自分のやりたいことに時間をたくさん割けるようにしないとあっという間に人生の残り時間が少なくなってしまいます。その仕事は自分が人生かけてやるべきものなのか、他に大事にしたいものはないのか。GTDはそれを問うことができる格好のツールでもあります。

どの時点で仕事のボールを投げるか問題

ボールを投げる前の逡巡
誰かに仕事を振る場合、どこまで噛み砕いたり細かくしたりして渡すべきかは配慮が必要ですね。例えば官公署へある申請をしてもらうとします。申請用紙をポンと渡してヨロシクですむなら話が早いですが、そうはいかない。

 

では、どこまで噛み砕いたり、作成のための資料をこちらで用意してから投げなければいけないのか。申請書類に書き込むために必要な情報を別の機関に聞いたり、社内のキャビネットの奥底に埋まっている資料を掘り出さないといけなかったりします。自分から手離れさせるためにはこれくらいのことは自分で調べて用意してあげてから渡さなきゃいけない、とか思ったりしませんか。

 

自分がどこまでやって、どの時点で他人に仕事を投げるか。この切り分けを考えることは、タスク管理の「タスクの分解」の重要な1つだと思います。

 

ボールの投げ時
内容も把握せずに他人へボールを投げる、いわゆる「丸投げ」は論外ですが、かと言って相手に配慮するあまり、長時間自分でボールを持ち続けるのも考えものです。

 

特に責任感が強くて真面目な人は、「もうちょっと自分で噛み砕いてから仕事のボールを投げよう」と考える傾向にあると思います。ちょうど良いボールの投げ時を見つけ、それに合うようなタスクの分解をするのは案外難しい。

 

これは、その組織の組み方や人員構成によって変わるので、普遍的なタスク分解の方法というものは無いと考えて良いと思います。

 

どうすれば「ボールの投げ時」が分かるのでしょうか。

 

タスク分解を数多く経験する
私は、柔道の乱取りのように、何回もタスク分解の経験を重ねることで投げ時を見極めるセンスが磨かれていくものだと考えています。ただ、その乱取りは無闇にやるのではなく、自分なりにタスクを分解し、その分解内容を上司やボールを投げる相手に前もって相談します。「部長、こんな段取りで進めようと思うんですが。」「田中くん、ここでいったん渡すけど大丈夫?」といったように。

 

こうすれば、タスクを分解して適切なボールの投げ時を把握していき、自分がボールを持ちすぎず、丸投げもしないで仕事を効率的に進めることができるようになるのではないかと考えています。

 

脊髄反射をやめて「準備→実行」へ
やるべき仕事に脊髄反射でしか動けない時期がありました。それだと効率も悪くなります。周囲への仕事の振り方も雑になります。結果、自分の首を締めることになりかねません。

 

あらかじめ進め方を考えてから実行するのは、何も大プロジェクトをやる時だけに限りません。小さな仕事も同じだと思います。