業務外として始業前に「仕事の整理」をするという考え方の危うさ
始業時間には仕事を始められるように、始業前に出社し、その日やるべき仕事の整理を「仕事の準備」としてやっておく
この考え方に違和感ありませんか?
私にはあります。その準備のために始業時間より30分早くデスクにつかないといけないといった話にモヤモヤ感があります。
早く出社したくないというわけではなく、仕事の準備は仕事のうちに入らないという感覚がおかしいのではないかと思うのです。
先日受けたGTD研修のワークブックが気づきにあふれている。
— 小鳥遊@3/10イベント (@nasiken) 2019年1月23日
仕事は3つの性質に分けられる。
①事前に明確にされた仕事をする
②計画されていない活動を行う
③仕事を明確にする
③を仕事と捉えられるかどうかで、GTDがうまくいくかどうかの1つの分かれ道かもしれません。
仕事の準備は仕事
GTDでは、「③仕事を明確にする」も仕事だと説明しています。この考え方でいくと、仕事の準備もれっきとした仕事ということになります。
この考え方はとてもしっくりきます。メールを見てタスク管理ツールに「把握」し「見極め」て「整理」する、いわゆるGTDの第1〜第3ステップをすることは、対価性のある業務であるということです。
仕事の準備は業務外と捉えてしまうと…?
逆に、仕事の準備は業務開始前に終わらせるべきオマケのようなものと考えるとどうなるか。
新たな仕事が発生しても、目につくもの手当たり次第やっていくことが良しとされ、いったん立ち止まって自分が抱えている業務タスクの整理をすることは「仕事をしていない」という評価になってしまいかねません。
その結果、タスク管理がなおざりになり、抜け漏れや段取り不足が発生するトリガーになってしまいます。
仕事の整理は始業前に業務外として済ませるべきで、始業してからが本当の仕事である、という考え方には、このような弊害が生じる恐れがあります。
最後に
上記の認識があると、冒頭の違和感を覚えるようになります。たくさんのタスクをさばく立場にいる人は、この違和感を持てるようになっておくと良いのではないかと思います。
たくさんのタスクが同時並行で走っている状況で必要になるのは、自分が千手観音になることではなく、あくまで二本の手で、目の前のタスク群を整理するタスク管理スキルを持つことです。
冒頭の違和感を持たない人は千手観音になろうとする人で、違和感を持てる人はタスク管理スキルを習得して立ち向かおうとする人です。どちらが現実的かは、自明ですね。
気が重いタスクに着手する方法
タスク管理のみならず、ライフハック、知的生産の分野(大雑把な表現すみません)で著作を出されている倉下忠憲(くらした・ただのり)さんのツイート。
まあ、「やるべきこと」や「やりたいこと」をすべて書き出したら気が重くなりますよね。これはもう、どうしようもないことで。
— 倉下 忠憲 (@rashita2) 2019年1月27日
本当に、しょーもない結論ですが、自分が「できること」からスタートするしかありません。少なくとも、ある程度の心の穏やかさをキープしたいなら。
— 倉下 忠憲 (@rashita2) 2019年1月27日
多くのノウハウには[見えない前提]があって、それを加味しないとあまり成果はあがらない。https://t.co/HSMU8FlHVe
— 倉下 忠憲 (@rashita2) 2019年1月27日
やるべきことを全部書き出したら手が出せなくなる
「やるべきこと」や「やりたいこと」をすべて書き出したら気が重くなるから手がつけられずタスクが進まないのはまことに真実です。
GTDの「把握」ステップは、まさにやるべきこと・やりたいことをすべて書き出そうというものなので、書き出したはいいものの、膨大な項目を目の前にして「そんなたくさんのことできないじゃないか!」と思うのが普通ですね。GTD推しの私もそう思います。
消去法で残る解決策
では、どうしたら良いのか。倉下さんも書いている通り、解決策は以下2つに尽きます。
- やるべき/やりたいことの断捨離
- できることからやり始める
1.に関しては、GTDのステップで言えば、「見極め」ステップの「それはなにか」の段階で「ゴミ箱」あるいは「資料」行きにする数を多くすることが具体的な方法です。
ただし、その判断をするために必要なものがあります。これが大変厄介なものです。「自分の方向性」「これからどうありたいか」「人生の目的」といった抽象的で壮大なテーマの自己分析に答えを見出していなければなりません。
そこまでできていないのがほとんどだと思います。そんなときは、とりあえず自分の意欲とか願望を排除して「やるべきこと」だけを実行する対象にするのをお勧めします。
やるべきことだらけになってツールが味気なくなりますが、割り切ってしまえばそのうち慣れます。
「できることからやり始める」という2.に関しては、「見極め」ステップの「次に取るべき具体的な行動」を明確にすること、それと「整理」ステップが関係します。
GTDの「整理」ステップで用意されている「次に取るべき具体的な行動リスト」に、自分でもあり得ないレベルに噛み砕かれ簡素化された行動を書きます。
「こんな些細なことを書くなんて……」と思って書いていないものが、実はタスクを実行するトリガーになったりします。メールを送るタスクであれば「相手先のメルアドを入力して未送信フォルダに入れる」といったレベルです。書き出さなかったとしても、その小さな行動に意識をフォーカスすることで、少しずつでもタスクを進捗させることができます。
最後に
「ゴミ箱」「資料」へ入れる数を多くする。自分でもあり得ないレベルまで細かくする。この2つをやると、多くのやるべき/やりたいことの前に気が重くなる自分を、どうにかできるのではないでしょうか。
第29回「自分は要領が良くない、と思い込んでいる人のための仕事術」開催します!
イベントの告知をさせていただきます。
自分は要領が良くない、と思い込んでいる人のための仕事術
2016年9月から定期的に開催し続け、今回で29回を数えるようになりました。イベントの性質上、リピーターがほぼいない中、毎回たくさんの方々に参加いただいていることに大変感謝しています。
まとめサイトもご紹介!
いつもイベントの受付をしていただき、懇親会の素敵な料理を作っていただいているトモさん(@tomos0105)に、 まとめサイトを作っていただいています。とても分かりやすくまとまっているので、ご覧下さいませ!
できるけど疲れる人
発達障害グレーゾーンとカテゴライズされる人たちがいます。明らかに就業に支障をきたすまでではないので、周囲からは特に配慮されません。しかし実のところは、本人が相当頑張っているからこそ支障をきたさない。そんな人は多いのではないでしょうか。
この「自分は要領が良くない、と思い込んでいる人のための仕事術」は、リピーターはほとんどいらっしゃらないにもかかわらず毎回満席になります。「できる人」と「できない人」の狭間で人知れず悩んでいる「できるけど疲れる人」こそ、声なき多数派ではないかと思っています。
そんな人たちにこそ、タスク管理
そんな人たちに対して何か救済制度はあるかというと、なかなか無いというのが実情です。
自分の力でどうにかするという方法は救済に代わる有効な選択肢の1つになります。下記のような特徴を「頑張る」のではなく「やり方」でフォローするタスク管理は、とてもコスパが良いです。
- 抜け漏れ忘れ
- 先送り
- 自責傾向
- 段取り苦手
- マルチタスクで頭が真っ白
タスク管理は自ら助くる者を助く
ただし、タスク管理は手取り足取りしてくれて我々を目的地まで連れて行ってくれるものではありません。「タスク管理をする」という作業1つ1つは単純ですが、それだけにやめてしまうことが多いのです。
もし、このイベントに興味を持っていただいているのであれば、「イベントでタスク管理に触れてからが本番!」と思っていただきたいと考えております。その上で、私を救ったタスク管理の話を是非聞きにいらしていただけたらと思います。
最後に
今回もまた、懇親会を予定しております。大きな会場では気がひけるような質問も、直接お話ができる懇親会ならできるのではないかと思います。そんなお話ができればと思います。
こちら(↓)の告知ページをご覧になって、ピンときたら是非お越しください。お待ちしております!
焦らずに、計画と実行は分けていこう。
こんな記事を書きました。
復職後いきなりヘビーな仕事
私は昨年2018年の10月から今年2019年の1月まで、育児休暇を取っておりました。上の記事は、育休からの復職後「待ってました!」とばかりに(私にとっては)ヘビーな仕事をやることになったという状況下のものです。
その時のも含めて、一連のツイートがこちらです。
ただ今、先行きが非常に分かりづらいタスクと向き合っております。
— 小鳥遊 (@nasiken) 2019年2月4日
とある書類を指定日までに揃えて提出するという、ザッツ事務職なタスク。ですが、時間の見積もりが難しいのです。
まずは、次にやるべき具体的な行動を明らかにして、できるだけ完了までの見通しを立てる。タスク管理の基本から。
根気よく「次にとるべき具体的な行動」をスモールステップで踏んでいくのを繰り返していると、おぼろげながら見通しが見えてくるものですね。
— 小鳥遊 (@nasiken) 2019年2月5日
GTDで「見極め・整理」と「選択(して実行)」を分けている恩恵にあずかることができています。焦って闇雲に進もうとしないのは大事ですね。 https://t.co/Oe9TLNBKJH
さらに、こまめに報告すると効果倍増。
— 小鳥遊 (@nasiken) 2019年2月5日
・方向性について細かくFBがもらえる。
・進捗内容の整理ができているか確かめられる。
当たり前やん!とお思いの方は、心の中で盛大にツッコミをしてくださいませ。。。 https://t.co/RtVPE9zbwU
焦りを抑える
締切日は決まっていて、どんな書類をどれくらい作って提出するのかも決まっています。しかし、その書類に記入すべき情報集めが相当難航するだろうことは目に見えていました。
私はタスク管理のおかげで毎日ほぼ定時帰りを実現していますが、自分自身はタスク管理前後で変わったわけではなく、相変わらずプレッシャーに弱い豆腐メンタルの持ち主です。
そんな自分にとって、差し当たって何か動き出せば、そのときはプレッシャーから逃れられます。しかし、その動きが見当違いであれば1日無駄にしてしまっただけで、なおさらプレッシャーが強くなるだけになってしまいます。
「とにかく何か動き出したい」という焦りを抑えて状況判断をすることにしました。
次にとるべき行動を明らかにしていく
焦りを抑えて何をしたかというと、タスクの分解です。次にとるべき行動は何か、その次は、そのまた次は、と分かる範囲で1つずつ具体的な行動に落とし込んで、ある程度先まで落とし込みが終わったら行動していきました。
「これをやると計画して、その通りに実行する」という状況を自分に作ってやると、「これをやっていていいんだ」と安心して目の前の作業に集中することができます。
こまめな報告の恩恵
さらに、こまめな報告を上司にしていくと、上のツイートのような効果がありました。報告をすると「そこは、こうやってみようか」「それはしなくてもいいよ」とアドバイスをしてくれます。
こうして上司をある意味共犯者にすると、お互いの気分も前向きになり、無駄な動きを省くことにもつながります。これ、とてもお勧めです。
最後に
私はADHDの多動性、衝動性という特性も持ち合わせていると感じています。そんな人はなおさら焦りに耐えきれず行き当たりばったりの行動をしていきがちです。
その衝動を止め、より確実な方向へ導いてくれるのがGTDの「見極め・整理」ステップの後の「選択(して実行する)」ステップという流れです。
ADHD当事者に限りませんが、「やるべきことと締切は決まっているのに、方法が分からない」というタスクに出くわしたときこそ、「仕事を成し遂げる技術」であるGTDの基本を意識すると良いなと思いました。
不安にGTDで立ち向かう方法
なかなか難しいタスクに取り組んでいます。
ただ今、先行きが非常に分かりづらいタスクと向き合っております。
— 小鳥遊 (@nasiken) 2019年2月4日
とある書類を指定日までに揃えて提出するという、ザッツ事務職なタスク。ですが、時間の見積もりが難しいのです。
まずは、次にやるべき具体的な行動を明らかにして、できるだけ完了までの見通しを立てる。タスク管理の基本から。
プレッシャーのかかる仕事
とある書類を作成して指定日に提出するのですが、その内容の一部に不明点があります。社内の過去の記録に当たって内容を補完しなければなりません。
しかも「分かりませんでした」とはいかない性質のものなので、精神的な負荷は強いのです。必要以上に精神をすり減らさないよう、手順と締切を慎重に計画して進めなければいけません。
日常タスクと同時並行
さらに、このタスクは日常タスクと同時並行で進めています。ますます綱渡り感が増してシビれます。ここがGTDの出番で、限られた時間内で必ずタスクを完了させるべく、キチッとタスクを整理していきたいと考えています。
GTDの目的に今一度立ち返る
GTDは、今抱えているタスクを整理して「コントロール(感)」「リラックス」「フォーカス」を手に入れ、「真に生産的な体験」をすることが目的です。
注意力散漫な私にとって、真に生産的な体験をするためには、ふとした不安によって気がそれることをなくす必要があります。
不安はどこからきているのか。言うまでもなく、上で書いた内容の不明点です。それが明らかになれば、あとは作業のみになるので、不安要素はかなりなくなります。そこで、「〇〇書類の作成・提出」というタスクとは別に、「〇〇書類の〇〇項目を書き出す」という不明点を明らかにするタスクを別個独立させて立てることにしました。
不安の出所を突き止め、そこに照準を合わせて不安を解消するためのタスクを見極めて整理する。
タスクの設定、見極め・整理の方法として、なんらかの参考になるかと思います。
最後に
この方法は業務効率を上げることを主眼にしてはおらず、自分の不安にどうGTDで向き合うかというアプローチです。これを書いている今時分展開が読めませんが、なんとかやり遂げたいと思います。
週次レビューへの疑問が解消された話
GTD研修で、週次レビューについての理解が深まりました。
もともと週次レビューの必要性が分からなかったのですが、考えが変わりました。
②は、自分の決めた方向性・ありたい自分がすべきかどうかをかえりみて、タスクを加えたり減らしたりすること。
— 小鳥遊 (@nasiken) 2019年1月27日
②の前提として、1週間を振り返ることが必要になるわけですね。
私は①のみやっていました。正しくは、①に「これは自分のやることだ/やることじゃない」という判断をしていました。
私が「週次レビューはやっていない」と言っていたのは、これが原因ですね。自分の来し方行く末を見定めて、これから取り組むべき課題やタスクを整理するために、随時レビューと週次レビューを切り離すのは大切なのかもしれません。
そこで、簡単な週次レビューをやりたいなと思っていたところに、e-Education代表でありタスク管理にも造詣の深い三輪開人さんのnoteを読みました。
実はタスク管理マニアの三輪さん。タスク管理の大事なキーワード「週次レビュー」の簡単で効果的なやり方が書いてあります。 https://t.co/KfOgcQUd1P
— 小鳥遊 (@nasiken) 2019年1月26日
曰く、次の4つを項目として週次レビューとして行うとのこと。
- 大きな出来事
- 学んだこと
- 今週書いたnote
- 来週に向けて
さらに、次の3つの「〜しない」ルールを課しているとのこと。
- 頑張り過ぎない(時間をかけない)
- 反省し過ぎない
- ネガティブに終わらない
自分の方向性を再確認して気分を上げるために良いのではないかと思っています。
ベイビーステップ・クラッシャーに負けないで。
こんなツイートをしました。
ベイビーステップ・クラッシャーというのがいましてね。私が今考えた言葉なんですが。
— 小鳥遊 (@nasiken) 2019年1月4日
目の前のタスクに着手する壁をできるだけ低くするのを「何それ、ちっちゃ」とバカにしたり「もっと高くなきゃ壁じゃない」などと言ってくる人がいますが、無視して良いと思います(負荷の軽い筋トレをしながら)。
ベイビーステップとは
前提として、目の前のタスクに着手しやすくするために、最初の一歩目は簡単に軽くできるものにするというタスク管理の大原則があります。簡単に軽くした一歩目のことをベイビーステップといいます。
「田中さんとイベントを開催する」という目的があれば、最初の一歩目は「開催候補日をいくつか挙げたメールを田中さんに送る」といった具合です。
クラッシャーにやられる
ベイビーステップ・クラッシャーは、こんな感じで言ってきます。
「毎日10分ずつ歩こうかな…」
「いやいや、10分って短すぎでしょ」
ダイエットのため、まずは少しずつやっていこうと決めた途端に否定されてしまうのです。そして、確かに10分は短い(笑)
「業務手順を工夫して5分の時間短縮をしました!」
「たった5分!?」
確かに5分という時間は短いと言われればそうです。「いや、5分は長いです!」と100%の自信を持って言える長さではないですね。
このようにして、ベイビーステップを潰してくるのです。
歩幅の小ささこそ大事
ベイビーステップは歩幅が小さいからこそ価値があります。最初から1時間ランニングを継続できたり、業務時間を100分短縮できるのはまれです。新たな挑戦や改善は、小さなことからコツコツとやっていくところから、だと思います。歩幅が小さければ小さいほど、ベイビーステップは大事にしたいです。
とはいえ、10分歩くこと、5分の業務短縮は、それぞれ単体だと些細なものなので、なかなか大事にするのは難しいです。その些細な行動1つ1つの先に、必ず大きな成果があると見通しがつけば、目の前の些細な一歩を大事にできるものではないかと思います。
たとえば、メールを送るにしても、このくらい小さなサブタスクを設定してベイビーステップを踏むのもアリかと。
最後に
ベイビーステップ・クラッシャーは、ほとんど無意識に自分が今やっている行動の価値を貶めてきます。
言っていることは間違いではありませんが、その言葉によって自分は「そうだよな、こんな些細なことじゃなくて、一気に大きなことをやらないといけない!」と焦ってしまい、結局進められずに断念してしまうことが私にはよくありました。
「確かに、10分歩くだけでは効果が出るまではすごく時間がかかるよね」と受け止めた上で、「でも、このやり方なら続けられるし、続ければ必ず効果は出る。だから、自分は続けることを第一に考えて、今は10分歩くだけでも良いんだ」と考えられるようになれれば、無理なく確実に「やるべきこと」を進められると思います。