ForGetting Things Done

「水のように澄みきった心」で頭空っぽに。

振り回されない人になるための、仕事の進め方。

 

悪気はない人に振り回されるというテーマで、マイクロソフトの澤円(さわ・まどか)さんがvoicyで話していらっしゃいました。反響が大きかったそうです。

voicy.jp

 

この放送を聴き、悪気はないけど迷惑をかけている人に自分がなっていないかを考えました。過去の記憶をたどってみると……悲しいかな、当てはまるような気がします。

 

逆に、悪気はない人から自分が迷惑をかけられたときのことを思い出してみました。割とすんなり出てきました。「迷惑はかけた方よりかけられた方がよく覚えている」と聞きます。その通りですね。

 

小善は大悪に似たり、という言葉があります。確固たる信念・善意でやっている人に周りが振り回される。周りがそれに疲弊し、いつしかそれが善から悪に変わっていってしまう。

 

もし、自分が振り回されそうになったらどうすればいいか。例えば、明らかに「それ私がやることでしょうか?」と疑問を持つような仕事を押し付けられたときにどうすればいいか。

 

澤さんはいくつか対応策をおっしゃっていましたが、とても現実的だと私が思えたのが、「素早く2〜3割のものを返す」です。早いことで完成度は少々大目に見られるし、なにより「返した」という事実は大きいですね。

 

拙著「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」でも、このように書いています。

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回ってきたボールをあまり持ちすぎず、少しドリブルをしてまた返す。この姿勢が功を奏します。それでも振り回されることはあると思いますが、それでも私は随分楽になりました。

 

澤さんが番組の中でおっしゃっていましたが、物事を進めるために悪気なく周囲を振り回す人がときには必要な場合もあります。自分がそうしなければいけないときもあるでしょう。また、「お互いさま」の精神もセットで持っておくといい、という話もされていました。

 

だからこそ、自分が振り回されすぎないようになっておくことが大事だと思います。「振り回さないで」と振り回す人にお願いするより断然コスパがいいです。

 

振り回されすぎないためにも「ボールを受け取ってパス」という仕事の進め方を意識しておくといいんだな、と改めて思いました。

 

 

 

 

 

 

決定することを恐れずに進もう

こんなツイートをしてみました。

 

このツイートをしたきっかけは、「会議って決定事項を明確にしづらい雰囲気があるなぁ……」とふと思ったことです。

 

決定してしまったら後戻りできない。責任が重くのしかかる。だから、できるだけ「決定」というプロセスに参画したくない。そういうことでしょうか。

 

同じ現象が自分の中でも起きている気がします。例えば、「プレゼン資料はこのレイアウトで作ろう」「先月の実績のまとめはこの数字で確定させよう」といった決定を含むプロセスは、その次の段階へ進むときに少しばかりグッと力を入れなければいけない気がします。

 

「実はそのプレゼンのレイアウトは適切ではなかった」。「先月実績は間違っていたことが後になって判明した」。そんな後に引くに引けない状況に陥ることを想像するからだと思います。自分はそうでした。

  

私が日々使っているタスク管理ツール「タスクペディア」では、まさにタスクは意思決定の連続であることをまざまざと可視化するのです。

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この画像では、少なくともドラフト(草案)の作成をして依頼者へ返答するときに、「自分なりのドラフトはこれで良しとする!」という決定を自分の中でしているわけです。いったん相手(ここでいう「依頼者」)の手に渡ったら、「ちょ、やっぱドラフトもっと修正させてってば」とか言いづらい。

 

そこで、決定する恐れをより軽くするコツを。それは、決定をする際の判断基準を次の3つとすることです。

 

  • 事実
  • 権限者の意見
  • その他自分が納得できる理由

 

裏を返せば、なんとなくで決めないということです。上記の3つのうちいずれかの理由を必ずつけると、自分の判断に自信を持つことができます。

 

画像の例で言うなら、

  • 「以前別の取引先と取り交わしたのと同じ内容である」という事実がある
  • 部長が以前この内容でOKをくれた
  • 考えられる限り当社側が有利な内容だと思える

 

このいずれかであれば、契約書のドラフトはこれで良し!と判断するといったことになります。このときに、上記「事実」「意見」「理由」を疑ってはいけません。これが、手順における「決定」に全幅の信頼を置くということです。

 

 

こうして、何を根拠に「決定」するのかを意識していけば、決定することに対して恐れを抱くことはだんだん少なくなっていきます。手順に書き出して、その手順を根拠を持って進める。これが回り始めると、徐々に仕事で自信とスピードを手に入れられます。

そのうちタスク管理やツールは不要になるかもしれないけれど。

将来的にはAIが色々と人間の知的作業を代替してやってくれるとはよく聞きます。だから、タスク管理ツールはおそらく今のままではなく進化を遂げるか、あるいはツールどころかタスク管理自体が不要になる世界になるかもしれない。私はそんな将来は大いにあり得ると思います。

 

極端な話、会社にある業務の全てを記録にとって一か所にぶち込んで何かをどうにかすればできそうじゃないかと(すみません適当な表現で……)

 

手順書に書き出しましょうといっている拙著だって、そのうち「昔はこんなことしなきゃいけなかったんだね」といわれるんじゃないかと思ってます。

 

つまり、うまく仕事が進められないというタスク管理の悩みはそのうち解決されるんじゃないかということです。

 

でも、「そのうち解決できる」の「そのうち」はいつくるのか。ほとんどの人は分からないですね。

 

一方で、仕事がうまく進められない人の苦しみは「今」なんです。少なくとも、そのような悩みを抱えていた数年前の私は、今すぐにでもどうにかしたいと考えていました。そのときの私に「将来はAIがどうにかしてくれるよ」と伝えたとして気休めにもならないでしょう。

 

私は、タスク管理が担っている役割はいずれ人間の手を離れ、タスク管理に関する知見の価値はなくなるかもしれないと思うときがあります(形を変えて存続するかもしれませんが)

 

それはそれとして、今私が向き合っていきたいのは、今悩みを抱えている人。本を書いているときに常に考えていた、昔の自分が置かれていた状況・気持ちを思い出して、今やるべきことを見極めていきたいと思います。

自分も相手も納得いく「なるはや」対応をするには?

今年4月に発売したF太さんとの共著「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」では、「なるはや」という言葉の扱い方についこんなことを書いてるんですね。

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これだけ読むと、徹底的に自分に有利な条件に持ち込むために虎視眈々(こしたんたん)と手ぐすね引いて待ちかまえているような印象を受けるかもしれません。すきあらば相手をおとしめようとするような、食うか食われるかの交渉のように思えるんじゃないでしょうか。

 

ある意味仕事上のやり取りは交渉的な側面があります。何でもかんでもハイハイいっていたら、たくさんの仕事を押し付けられて身を持ち崩してしまいかねません。ある程度は引き受け、またある程度は受け流す必要があります。

 

だからといって、職場でのすべてのコミュニケーションは交渉だ!戦場だ!気を抜いてはならぬ!と身構えるのは残念だなぁと思います。これまた身が持ちません。

 

自分に無理なく、でも相手にも配慮した「なるはや」の締切設定をしたいところですね。

 

この本でいう「手順書」を繰り返し作り続けていると、「この類の仕事は、まずこれをやればいったん手離れするな。それにはこのくらいの時間がかかるな」と分かってくるようになりました。最初に手離れするまでというのがミソです。その仕事が終わるまでではありません。

 

現代における、いわゆる「仕事」は、1つやり終えてその次に取り掛かって……を毎日繰り返すようなものではないことが多いです。「マルチタスク」というやつです。

 

マルチタスクへの対処は「細かく刻んで誰かにパスする」です。いくつものタスクの細かい作業を1つやって誰かにパスして、また別のタスクの細かい作業をやってまたパスして……の繰り返しです。

 

えーと、なんでしたっけ。そうそう。「なるはや」案件の締切日をどうするかでしたね。

 

私が考える理想的な「なるはや」への対処法は、

 

なるはや案件をいつどのくらいの時間でできるかを、ある程度の精度をもって予測できるようにしておいた上で、ほんの少し余白を加味して相手に締切を伝える

 

です。ただ単に「今日すぐに終われそうだけど、大変そうだからなんとなく10日後っていっちゃおう!」といったどんぶり勘定は、ちょっとやりすぎかなと思ってます。

 

「ある程度の精度をもって予測できるようにするだなんてどうすればいいの?」とお思いかもしれません。上に書いたように、私は手順書を繰り返し作り続けていた結果、完全ではないながらもこうした予測がしやすくなりました。言い換えると「スケジュール感を鍛えることができた」といえます。

 

手順書作りでスケジュール感を鍛えるというテーマでも以下のように書いています。

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「こんな時間のかかる方法ではなく、もっと手っ取り早く締切日予測をしたい」という方には、パッと思いついた締切までの期間を自動的に3倍する3倍ルールをお勧めします。かなり精度は落ちますが、短い締切期間を言って泡を食ってしまうよりは良いと思います。

 

この本でいうなるはやへの対応は、特に「相手の期待に応えようとしすぎて、無理な締切の約束をしてしまいがちな人」のために書きました。

 

そんな方は、スケジュール感を鍛える3倍ルールを使ってなるはや対応をしていくと、自分も相手も納得いく進め方ができると思います。

タスクの形ってどんな形?

みなさん、「仕事」といわれて頭にどんなものを思い描きますか?

 

仕事のみならず、何かを想像するときは、人によって文字だったり図形だったり色々だと思います。私は比較的画像(映像)で思い浮かぶタイプです。

 

ある種の情報を、自分が理解しやすいように、ある枠組に当てはめることがあります。私はこれを思考の枠組み「フレームワーク」だと考えています。

 

考えるべきポイントをパターンとして落とし込み、誰でもできるようにしたもの

フレームワークとは〜思考時間を短縮して成果を上げるビジネスフレームワーク9選|ferret

 

私は、今取り組んでいる全ての仕事をある1つのフレームワークに落とし込んでいます。

 

こちらです。

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拙著「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」のCHAPTER1でご紹介している手順書です。

 

私にとってタスクはこんな形です。頭の中でこの枠組みが思い浮かび、枠の中にタスクの名前や締切日など必要な情報をポコポコ入れていきます。

 

「この形!」と決まれば、自分の理解も進みやすくなり、そのまま書き出して他人に説明することもできます。

 

私の経験上、仕事の指示を受けたときに頭の中でこの形で手順書が作成されていくようになるにつれて、「どうしたらいいか分からない」といった不安を感じることが格段に減りました。逆に、手順書に落とし込めれば勝てる!(タスクを完了できる!)という自信が湧いてくるようになりました。

 

タスク管理メソッド”GTD”では、「信頼できるシステムに情報を預けよう」といっています。信頼できるとは、まさに手順書に落とし込めれば勝てるという自信がある状態だと思います。

 

もちろん、諸般の事情でタスクが完了できなかったものもありますが、こうして自分なりの勝ちパターンを持っておくと、大変精神衛生上よろしいものです。私と同じ形でなくてもいいですが、「私のタスクは、こんな形です!」と即答できるようになると、とても仕事がやりやすくなります。

着手しやすい魔法の言葉「たたき台」

仕事の早い遅いは、「スタートしてからのスピード」ではなく、「いかに早くスタートするか」だと思います。

 

まれに頭の回転がド級に速い人がいますが、まずは例外として除外した方が良いです。少なくとも自分の競争相手には選ばない方が良いです。

 

いかに早くスタートを切るか。気合いと根性でスタートできる人はそれで良しです。ただ、最初から最後まで気合いと根性で乗り切ろうとしたら、息切れしてしまうのではないかと私は思います。

 

そこで、着手するハードルを下げるのを大いにお勧めします。そのハードルを下げる魔法の言葉が「たたき台」です。

 

「取引先に出す夏休みのご案内のたたき台、作ったんで送ります。修正ありましたら今週中にお知らせください」

 

「今期のコスト削減提案、まだたたき台レベルですが現時点でご指摘ありましたらお願いします」

 

こんな感じで使います。

 

仕事が遅い理由の1つに、完成度を高めるために自分の手元で温めすぎてしまうというのがあります。常に100%の出来映えで提出したいという願望によるものです。

 

自分1人の視線では、0%のものを60%の出来映えまで持っていくのは比較的簡単ですが、60%を100%まで持っていくのは相当大変です。そこで、60%の段階で他人に見てもらって意見をもらうのです。

 

さらに、こうして人を巻き込むと、「うん、これでいいよね」という雰囲気を作ることができます。

 

ただ、「まだ6割の出来なんですが……」というのは抵抗がありますね。「たたき台」はそんなときに使える便利な言葉なんです。

 

もちろん、たたき台に修正意見をもらったら反映させて完成させる必要はあります。ただ、自分だけで100%の完成度を目指してウンウンうなっているより遥かに仕事の進みが早くなる気がします。

不安になったらやりたい2つのこと。

約2ヶ月強ぶりのごぶさたです。皆さま、コロナ禍をどうお過ごしでしたか?

 

私は、4月のメンタルダウンからの回復に約1ヶ月半かかりまして、やっと8割5分程度回復してきたところです。

 

メンタルダウン経緯はこちらを。

hochebirne.hatenablog.com

 

そんな中、4月に発売しました拙著「要領がよくないと思い込んでいる人のための仕事術図鑑」は、「発売たちまち重版! 3刷2万8千部突破! 」(Amazonの紹介文より)とのこと。ありがたいことです。

 

そんな気分が上がるような出来事に支えられて、やっとブログが書けるまでには回復してきました。

 

最近こんなツイートをしました。


なお、紹介動画が間違っておりまして、正しくはこちらです。

 

タスクとして書き出したらそれだけで終わってしまい、結局タスクに取りかかれない

 

そんなことってありませんか。きっと多いと思います。タスクって「不安」そのものなんです。そんな不安を抱えるあなたのためにタスク管理がお役に立てるかも……できたら立ちたいなと。

 

拙著ではタスク管理を「手順書(づくり)」といっています。その本質を5つのステップに分けて説明します。その最初の2つが、先のツイートにある不安への対処法「立ち向かう」の「言葉にして」「正しく理解する」なのです。

 

STEP1「名前をつけて書き出す」

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STEP2「タスクの手順を書く」

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そして、こんなツイートもしました。


別の方からも「仕事術の本なのに、心理的な側面への言及がある」との感想をいただきました。

 

この「手順書づくり」は、タスク管理メソッド"GTD"がほぼベースになっています。GTDの対象を仕事に限っていません。極端な話、生きていくこと全般に有効なんですね。だからこそ、仕事以外にも活用できるとの声をいただけるのだと思います。

 

自分自身も、タスク管理を境にして変わった気がします。この思考パターンで取り組めば進められる!解決できる!という自信がつきました。

 

ご紹介した「あかはなそえじ」先生の動画のおかげで、その自信がより強くなった気がしました。

 

ということで、不安への対処法としても「手順書づくり」が役に立ちますよー!というお話でした。