つい考えてしまう「余計なこと」
「余計なこと考えないでさっさとやりなさい!」
という言葉、よく言われておりました。
指示を受けたら、まずはその指示通りやるのが正しい。指示内容を実行したら、もしかしたらこういうことになるのではないか?とか考えるだけ無駄、という論調で上司や先輩から諭されること、ありますよね。どうしても、今自分がやっている作業に集中できないということ、ありますよね。
余計なことを考えるタイプとは
余計なこと考えないで!と注意される人、私もそのタイプですが、とにかく気が散る。「あれ、このまま作業をやっても、もしかしたらその先に支障が出るんじゃ…?」「といった、今目の前にある仕事に関して気になる不安なことが頭のなかをぐるぐる回ります。
課営業部門長からの相談
話はガラリと変わります。先日、社内の契約書の雛型を追加しました。社内告知をしたところ、早速営業部門の部長から、「追加された雛型はどういう時に使えば良いのか教えて欲しい。また、それに関して、取引先がどれくらい財務状態が良いか判断する必要があるが、勉強会を開いて教えてあげて欲しい。」という相談がありました。
スタッフ思いの部長だな、よし勉強会をしてみようか、と私は思い、企画しました。
経営者から突っ込み
すると経営者から「部門長がそれぐらいのこと(取引先の財務分析)を自分で教えられなくてどうする」との意見がありました。会社のトップとして、部長が持っているべきスキルだと考えたのでしょう。
さて、法務としてどうするべきか
さて、せっかく企画した勉強会をどうするべきか。やるのかやめるのか。怒られた部長の気持ちを考えると、今さら法務に勉強会やりますと言われてハイそうですかと言えないだろう、けど実際勉強会をやるメリットはあるのかもしれない、でも実行したら「またそんなことやって、時間の無駄だ!」とか誰かから怒られるんじゃないか、色々考え込んでしまいました。
課題の分離を利用
結局、勉強会は実行しました。私が考えていたことは、「だろう」「かもしれない」「〜じゃないか」という、全部憶測に過ぎないんですね。
そういった憶測による不安を排除して、確実に目の前にタスクとして存在することのみを実行するのが、GTDの大事な機能です。そしてそれは、アドラー心理学で言う「課題の分離」というものになります。課題の分離とは、簡単に言うと「私が取り組むべきもの」と「私が取り組まなくてもいいもの」を分けて、後者を切り捨てるという考え方です。これをGTDは踏襲しています。
私が課せられたのは、勉強会を行うこと。それについて是非を問うたりするのは、私のすることではない。そう考えて、中止の指示がされなかったので実行しました。
書いてみれば当たり前のように思えるのですが、当事者になるとこういった冷静な判断はつきにくいものです。
余計なことも悪くはない
ところで、「つい考えてしまう余計なこと」は本当に余計なのでしょうか。
言い換えればそれは「気遣い」にもなります。本当は切り捨ててはいけないのかもしれません。先の例では、もしかしたら「やっぱやめときましょうかね?」と営業部門長さんに話すべきだったのかもしれません。
この「余計な考え」「気遣い」をどれだけするかは、これはもう難しい判断が必要で、私は正解は見つけていません。「気遣い」であれば良いのですが、私の場合は往々にして「余計な考え」であったことが多いので、基本的に切り捨てる方向がいいのかなと思っています。
それよりも、今私にとって大事なのは、「切り捨てることができる」スキル、つまり「課題の分離」、GTDでの「自分がやるべきことを収集し明確化すること」だと考えています。