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「水のように澄みきった心」で頭空っぽに。

パイプオルガンとGTDは似ている

パイプオルガン奏者の苦悩

「チャラリ〜!鼻から牛乳〜!」という嘉門達夫のフレーズでお馴染み(?)のあの曲、名前知ってますか?「トッカータとフーガ 二短調」というバッハが作ったものです。

 

あの曲は、教会によく備え付けられているパイプオルガンという鍵盤楽器で演奏されます。ステンドガラスを通して射してくる光の醸し出すあの独特の雰囲気とセットで覚えている人もいるかもしれませんね。

 

このパイプオルガン、鍵盤楽器と言うからにはピアノと同類と言えますが、2つの違いがあります。

 

1つは、ピアノは内部に張ってある弦を、鍵盤とつながっているハンマーで叩くことによって音を出すのに対して、パイプオルガンはリコーダーのように弁に風を送り込むことで空気を振動させて音を出します。

 

もう1つは、ピアノは構造的に音色を変化させることができないのに対し、パイプオルガンはストップという音色を切り替える装置が用意されており、何十とあるレバーを組み合わせて音色を変えることができるんです。

 

つまり、そのストップのレバーのうちどれを押してどれを押さないかで音色が決まるので、その曲のそのフレーズに合った音色を作り出すことも奏者の腕前の1つになるんですね。逆に言うと、常にそのレバーに気を配っていないと、せっかくの演奏が台無しになってしまいます。

 

演奏の進捗に合わせて、数あるストップレバーを最適な状態にしておかなければいけない。これはピアノ奏者にはない、パイプオルガン奏者ならではの大変さだと思います。

 

GTDの「見直し」フロー

進捗に合わせて最適な状態にすること、これはGTDでも共通します。GTDの「システム」も、パイプオルガンのストップレバー群のように、常に現状を反映させた状態にする必要があります。これをGTDのフローでは「見直し」と言っています。

 

GTDの「システム」とは、具体的に言うとタスク管理ツールにあたるもの、タスクをこなしたらそこからタスクを削除したり新たに発生したタスクを書き込むリストです。

 

タスク管理ツールにある様々なタスクの状態に変化があればそれを反映したり、新たにタスクが発生すれば付け加え、既存のタスクが終われば完了フラグを立てて、という作業が、時々刻々と変化する音楽に対応するためのストップレバーの操作に似ているのではないかと思います。

 

パイプオルガンを弾くより簡単

ただ、GTDを実践するのは、パイプオルガンを演奏するよりはるかに簡単です。常に一つのストップレバーを意識していれば良いのです。1つのタスクをこなしたら、そのストップレバーを押すか、引くか。その判断の連続で、タスク管理ツールをその時の自分のタスク群の状態を正確に反映させることができます。

 

週次レビューは、よりパイプオルガン的

GTDの開祖デビッド・アレンは「週次の見直し」を勧めています。私にとっては、この1週間に一度という頻度はちょっと間があいてしまっている感があります。1週間に50のタスクを完了させたとしたら、週末にはその50のストップレバーを一気に操作しなければなりません。複数のタスク情報の更新作業を溜めるより、都度都度1つずつ更新して、その都度ストップレバーを操作していく方が私には合っていると考えています。

 

ただ、せっかく曲の楽譜が目の前にあるのであれば、多少ストップレバーの操作を怠ったとしても、弾くのはやめない方が良いですね。多少ストップレバーを押さなくてもパイプオルガンの音が出なくなることはありませんし、仕事もそれによって一気に全体が瓦解するような惨事には至りません。