ForGetting Things Done

「水のように澄みきった心」で頭空っぽに。

「仕事を見渡せる」リストの数

「仕事を見渡せる」安心感

 システムの中のものを「見直す」目的は2つある。(中略)1つは、それぞれの項目を最新の状態にすること。もう1つは、そうすることによって事態をきちんと見渡せているという確信を持てるようにすることだ。

( 「ひとつ上のGTD ストレスフリーの整理術 実践編――仕事というゲームと人生というビジネスに勝利する方法」より)

 

要は、自分が抱えている全部の仕事について現在の進捗状況が分かる状態にしてあるということですね。部下を抱える上司であれば口を酸っぱくして言う「報・連・相」が完全に機能している状態です。

 

もちろん、部下がいない人でも、自分の仕事の範囲で自分の仕事がどうなっているかを逐一把握しておきたいのは共通だと思います。自分の予想外のことが起こっていやしないか、自分の知らないところで勝手に仕事が発生したり、進んでいたりしないか。これらを完全にコントロールできていると、とても安心ですね。

 

脳内の機能の補完

では、その「把握しておくべき全ての仕事の進捗に関する情報」はどこに置いておくのでしょうか。自分の脳内で完結できる人は殆どいないんじゃないんでしょうか。何十年に1人いるかいないかの天才(というか異常に記憶力が発達した人)はこれができます。これができない大多数の人は別の何かで補完するべきです。その別の補完手段は、例えば付箋やノートにメモすることや、パソコン等のデータで保管することです。

 

このノートにメモするもの、パソコンに保管するデータについて、あちこちに分散して良いかどうか、という問題があります。「仕事を見渡せるリスト」は、少なくとも「(さしあたって)今やるべきことリスト」と「今後やるべきこと全てリスト」の2つに分かれることが多いのです。

 

今やるべきことリスト

買い物に行く際は、その買い物に必要な物リストをポケットに入れてスーパーへ行きますね。これさえ買えば「買い物」という目的を達成できるというリストです。そのリストには、買う商品以外の情報はありません。買い物リストに、2年越しで購入を検討している車を書く人はいません。

 

全部入りリスト

「買い物リスト」とは別に、自分が今行っている活動すべてに関する買いたい物のリストも無ければ、たちまち記憶の奥底にそれらは沈んでいきます。前述の車などは常日頃買いたいと思っているので頭に残りますが、「京都に出張に行った時に忘れずに買いたい、妻の好物の生八つ橋」は、ともすれば忘れてしまいます。その結果、仮に京都に出張に行ったとしても、生八つ橋を買いそびれて「アンタって本当に駄目ね!」と怒られてしまうわけです。

 

そういった「車」や「生八つ橋」も含めた、「自分が買う可能性のある全ての物リスト」は、前述の買い物リストの他に用意しておかなければなりません。

 

2つのリストの関係

当然ながら、「買い物リスト」は「買うかもしれない全ての物リスト」の一部です。前者にあって後者にないものはありません。ありませんというより、「あってはいけない」と言った方がより正しいかもしれません。

 

その考え方を貫くと、買い物の最中に「大根も買ってきて」と、買う物の追加があった場合は、「全ての物リスト」にまずは追加し、その後に「買い物リスト」に追加しなければいけない、ということになります。ああ面倒臭い!

 

「見渡せて」いれば2つは必要ない

タスク管理に関する方法論では、上記の考え方が基本となっています。もちろん、場合によってその人のやりやすいように変えることが第一ですので、絶対に守らなければいけないものでは無いと私は考えます。結果的に「買うかもしれない全ての物」が分かり、その時の「買い物で買うべき物」も分かれば、この2つのリストは分ける必要はない言えると思います。

 

複数のリストを管理する危険性

さらに、一方のリストに追加や削除があった場合、自動的に他方のリストも反映されるような仕組みがあれば良いのですが、それも手作業で双方のリストの追加や削除をするとなると、何せ人間なので間違う可能性があると言えます。

 

自分の記憶に絶対の自信があれば別ですが、「仕事を見渡せる」リストは少なければ少ないほど良いと考えます。つまり、リストが1つであれば最高です。私は、自分の記憶の無さに絶対の自信がありますので、「全ての物リスト」のみしかありません。それらはエクセルで管理していますので、その一部を抽出して「買い物リスト」を作るのは簡単ですし、上記の間違いを起こす可能性は避けられます。

 

もし、自分の情報処理能力に自信がなければ、「これについての情報はこのノートに」「こちらの情報はパソコンのこのファイルに」「これはカレンダーに書いておこう」と分けることはせず、一つのリストのみに全部書くというのをやってみてはいかがでしょうか。