ForGetting Things Done

「水のように澄みきった心」で頭空っぽに。

「なるはやでチャチャっと」を理解してはいけない

月がきれいですね」
忖度という言葉が有名になりました。大雑把に言って「空気を読むこと」です。言葉にないものを察することですね。これが良い効果を生む場合があります。俳句なんかそうですね。言葉が醸し出す雰囲気を私たちは想像して、文字数分以上の広がりと深さを感じるわけです。

月がきれいですね」という言葉もその類かと。これは、夏目漱石が"I love you"を和訳した際の訳文なのだとか。もうこれは本当に粋で趣深い。いいもんですね。

 

 具体的な言葉が適さない状況
ところが、こと仕事に関するコミュニケーションについては、具体的に分かりやすい表現が必要とされます。「この部材の図面を明日の12時までに作ってよ」という内容を「太陽がまぶしいね」とか言って伝えようとしてもどだい無理な話です。この記事を読んで、そんな話が思い浮かびました。 

html5experts.jp

この記事では、エンジニアが仕事をする上で、コミュニケーションを具体的な表現ですることの大事さが書かれています。

エンジニアの世界では日常茶飯事で交わされている以下のセリフ。皆さんも聞き覚えがありませんか?

「これさ、なるはやでチャチャっと作ってよ」

「とりあえずいい感じに仕上げといて」

「なんかこれ、あんまり動かないよ」

実はこれ、澤さんいわく「マネジメントが欠けている状態」なのだとか。

 

私はエンジニアではありませんが、(言われた方で)身に覚えがありすぎますね。「なるはや」は頻出ワードですし、「いい感じに」も割とよく聞きます。

 

タスクは降ってくるものだという意識でいると仕事はできません。自分たちで定義して作っていくもの、権利だと考えるべきです。不得意なことは人に任せるという手もあるが、タスクを自分で定義することが大事。

 

仕事の指示は具体的に!と相手に要求するだけでは不足があると私は思います。そう考えると、上の記事はとてもしっくりきます。上司から雲をつかむような指示があっても、自分がそれを明確に定義するということも大事だと思います。

 

「キミ、あの昨日のアレだけど、なるはやでチャチャっといい感じに仕上げておいて」という、とてもファジーな指示が飛んできた場合、「はい、昨日お話があった当社株主リスト作成の件、株主番号と氏名、住所、保有数をまとめて明日の9時までにエクセルで作成してメール添付で私からお送りしますね」と返せれば自分で定義できたということになります。おお、デキるビジネスマン的な雰囲気がガンガンに伝わってきますね。

 
別にデキるビジネスマンになるためではなく、きちんとタスクを定義(エンジニアの世界では「要件定義」というらしいですね)することで、後になって「思っていたのと違う!」と言われないための、身を守るための手段でもあります。

 

そう考えると「なるはやでチャチャっと」に対して「はーい」と安請け合いしてはいけないということになります。いくら感覚的なこの言葉を理解してよ臭が上司から漂っていたとしても自分流に定義し直して、その定義にお互いが合意することが必要になります。

 

タスクの定義は、タスク管理で大事な要素です。仕事を進捗させるための「次にとるべき具体的な行動」を明確にするのがタスク管理の鉄則ですが、それはこの記事でいう「タスクの定義」「要件定義」と同じです。1つ1つ足場をしっかりして次に進んでいくような、そんなイメージです。チャチャっと系の脆弱な足場では怖くて前に進めません。

毎日安心して前に進むために、タスク管理を是非ご一緒に。