ForGetting Things Done

「水のように澄みきった心」で頭空っぽに。

「優先順位を付ける」に対する誤解

空回りする「優先順位」という意味
私の感覚では「優先順位を付ける」という言葉はとても安易に使われ過ぎではないかと思います。この言葉を付け加えれば何となくデキる感がでてくるような、そんな雰囲気すら感じてしまいます。俳句や和歌の枕詞のようです。特定の意味は持たせずに、調子を整えたりするためだけに使われるもの。「優先順位を付けて目標達成に向けて全力で頑張ります」という発言は、「目標達成に向けて全力で頑張ります」という意味でしかないということです。

 

さらに言うなら、「全力」「頑張る」もあまり具体的な内容ではないので、先の発言を意訳すると「目標達成に向けてなんかします」程度の、つまり何も中身のあることは言っていないということになってしまいます。ちょっと皮肉が過ぎましたか。

 

優先順位を付ける大前提
出走者6名の徒競走のうち、3名がスタートの号砲にも関わらず走り出さないで寝ていたとします。走った3名については1位から3位まで付けることができます。寝ている3名の順位は付けられませんね。なんとおバカな例えかとお思いかと思いますが、多くの人の頭の中では優先順位はこのような感じで付けられてしまっているのではないかと思います。

 

全員出走させないと順位はつかないのです。 本当に当たり前すぎて申し訳ないです。ただ、これが仕事の優先順位を付けるとなるとどうでしょう。自分が抱えている仕事全てを「いちについて」とスタート地点に並べることができている人はどれくらいいるでしょうか。優先順位を付けるためには、自分の抱えている仕事を全て揃えて出走させないといけないのです。極端なようですが、全ての仕事をメモか何かに書き出して把握した人だけが「優先順位を付けて…」と言える資格があるのです。

 

常に変化する優先順位
全ての仕事をメモか何かに書き出すことができたとします。それらに優先順位を付けるとなると、以下のような問題が発生します。

「重要かつ緊急な」仕事は一体どこから来るのだろう。そう、それはあなたが「重要かつ緊急な」仕事にかまけて無視していた、「重要だけど緊急でない」仕事からくるのだ。
(中略)
私の分析では、この現象が起こる理由のひとつは、「仕事の優先順位をABCでランク付けしましょう!」という間違えた手法であると思う(そう、あなたも受けたことのある時間管理セミナーでおなじみのあの主張だ)。
(デビッド・アレン「ストレスフリーの仕事術 仕事と人生をコントロールする52の法則」より)

一般的に良いとされている「重要度別にABCに分けて」という手法が否定されています。私はとてもよく分かります。割り込み仕事が入ってきて、しかもそういった仕事に限って他のどんな仕事よりも早く取り掛からなければいけなかったりします。10分前に優先順位第1位だったものが、今は第3位になっているかもしれません。

 

では、どうすればよいのか?
「じゃあ一体どうすれば良いんだよ」と思いますね。唯一絶対の正解は無いと思います。私なりの解決案は、全ての仕事を一望できるようなリストを作り、自分がボールを持っている仕事のみを絞り込むことができるようにしておき、割り込み仕事が入ってきたらすぐにリストに追加し、常にリストを見ながらその時の優先順位を決めていく、です。今のところはこれでうまくいっています。

 

優先順位を決めるためには、全ての仕事をリスト化し把握し続け、常にそのリストを見張っていること。その手順を一から作るのは難しそうに思うかもしれません。タスク管理メソッド”GTD"は、それを一般化して5つのフローに落とし込んでいます。本当の意味で「優先順位を付ける」ことができるようになります。よろしければ是非ご一緒に。