手負いの虎は侮れない
手負いの私
手負いの虎という言葉があります。危機に瀕した虎は必死に抵抗し、普段の何倍もの力を発揮するというものです。今考えれば、手負い状態の私はかなりの力を発揮したのではないかと思っています。
私にとっての「手負い」とは、一度のみならず二度も仕事が八方塞がりになって自分を追い込んでしまって、仕事ができない状態(抑うつ状態)になってしまったことです。
家に引きこもって完全に社会からドロップアウトすることはできなかったので、会社の規定最長の3ヶ月休職をし、復帰をしまして復職しました。この時、私の中では「もう失敗はできない」と手負い感MAXでした。
「できない自分」と向き合う恐怖
手負い状態の私に突きつけられたのは、また同じようなことがあっては、今の会社ではやっていけないということでした。「できない自分」のできなさ加減を知り対策を立てなければこの先はないということです。
できない自分と向き合うのは、大変な恐怖です。あれもできるはず、これもできるはず、空も飛べるはず、と考えていた自分の可能性がどんどん狭められ、「お前はできない奴だ」という残酷な現実を突きつけられるわけです。
そこでやっと自分の弱点を受け入れることになります。仕事における「抜け」「漏れ」「忘れ」「先送り癖」「段取り下手」など。特に頼まれた仕事を忘れてしまうことが一番精神的に堪えるものだったので、忘れてもいいように仕事を頼まれたら全部メモしてしまおうと考えて、エクセルでポチポチ入力していくことにしました。今思えば、これが私のタスク管理へのターニングポイントだったと思います。
自分のすべてをさらけ出す
こうして私のタスク管理が始まったわけですが、いわゆるツールを取っ替え引っ替えしてタスクとやらをもてあそぶ高等遊民といったタスク管理への一般的(…かどうかは分かりませんが)なイメージとは違います。
タスク管理メソッド"GTD"の考案者デビッド・アレンは、このように書いています。
無意識に抱いている恐怖に立ち向かい、自分のすべてを紙の上にさらけ出した人たちはその結果何を得ただろうか。彼らは実際には怖じ気づくどころか、すばらしい解放感を得ることができたのだ。不必要なストレスから解放され、自信に満ち溢れてくる。彼らはこの作業をすることによって、真に創造的な力を得ることができたのだ。
(デビッド・アレン「ストレスフリーの仕事術 仕事と人生をコントロールする52の法則」より)
まさにこの境地でして、自己肯定感が非常に低かった私が自信を持って仕事の報告ができるようになり、会社を出ても仕事のあれやこれやに悩まされていたのが仕事を会社に置いて出てスッキリとした解放感を得られるようになりました。
手負いの虎は本当に侮れない、と言うか、むしろ手負った方がいいよ!と言いたいくらいです。よろしければ是非手負いをご一緒に(笑)