ForGetting Things Done

「水のように澄みきった心」で頭空っぽに。

大学受験で起こった奇跡

 

こちらのツイートをして思い出したことをつらつらと。

 

「モチベーションは上げられるのか?」
モチベーションや意志力と言われるものは、割とたやすく「上げろ」と言われますが、言われた通りに「では上げます!ソオレー」と上げることはほぼ不可能ですね。それができる人は超能力だと思っていいです。

 

タスク管理では、モチベーションを上げるというより、自分のモチベーションはそのままにして、やるべきことの壁を低くするという考え方を採ります。

 

「経営会議資料を作る」というタスクがあったら、まずは「各営業部の実績を収集するために経理へ売上数字を聞くメールを出す」というネクストアクションへ落とし込みます。これでずいぶんやりやすくなる気がします。

 

「祈れ!」「気合を入れろ!」「滝にうたれてこい!」といった不確実な方法でモチベーションを上げるか(しかも、下がる可能性すらある)、それとも目の前のタスクを小さなネクストアクションへ落とし込み実行しやすくするのか。どちらが効果的かは一目瞭然ですね。

 

ところが、後者のやり方によらずモチベーションを爆上げさせた経験が私にはあります。20年以上も前のことですが、今でもその記憶は鮮明に残っています。


ド本命の大学受験の日
私は、一年浪人しました。楽器を趣味として大学のサークルでも楽しみたいと思ったので、吹奏楽かオーケストラのサークルが上手い大学、そして法律を勉強したかったので法学部が有名な大学。これら2つの要件を満たす大学は、いずれも偏差値が高く難関でした。それでも、高校三年生と浪人の合計2年間は頑張って勉強しました。

 

私の本命は、中央大学法学部法律学科でした。中央大学は、吹奏楽コンクール全国大会常連の吹奏楽サークルがあります。そして「中央の法科」といえば全国でも一、二を争う優秀な学部です。並々ならぬ気合と緊張感をもって試験に臨みました。その気合と緊張感の高さが災いしてしまいました……。

 

午前中の英語の試験が非常に難易度が高く、焦ってしまい頭が真っ白になってしまったのです。よく考えれば自分にだけ難しい試験問題を渡されたわけではないので、皆に等しく難しく、それだけ平均点が下がる。ただそれだけのことだと理解して、粛々と受験すれば良いのです。しかし、私はまんまと出題者の罠にかかり「ああ、できない!ダメだ!俺はもうだめだ!」と落ち込んでしまいました。

 

昼食の弁当を食べる気にもならず、殺風景な中央大学のキャンパスをただボーっと眺めていたのを覚えています。せっかく受験勉強をしてきたのにそれが無駄になってしまう、ただそれだけを考えていました。もう午後は受験しないで帰ろうかなとすら思いました。

 

奇跡が起こる
そんな精神状態だったら、午後の試験も満足に実力を発揮することなく自滅していくのが定石でしょう。打ちひしがれながらしょうがなく自席に戻り、何の気なしにMDウォークマンを聴き始めました。

 

ランダム再生で最初に流れてきたのが、私が中学高校とブラスバンド部で定期的に演奏してきた、部オリジナルの行進曲でした。勇壮なトランペットのファンファーレが始まると、今までに味わったことのない大きな高揚感がグググッと湧き上がってきました。気分が高揚して「やってやろうじゃないか!」と思うと同時に、精神的な落ち着きも取戻すこともできました。

 

そこで考えたのは「午前の英語が難しかったのはみんな同じで、落ち込んでいるのは自分だけではないはず。なら、その落ち込みの影響を最小限にして午後の科目で失点を抑えれば勝てる!」ということでした。我ながら素晴らしい判断です(笑)

 

果たせるかな、午後の世界史と国語は、まるで水を打ったような静けさの精神状態で受験することができました。さすがに「これでうかった!」とまでは思いませんでしたが、非常に満足のいくような形で実力を出し切ったなと思いました。

 

数日後、めでたく合格通知を受け取りました。音楽で自分のモチベーションをコントロールすることができたこの経験は非常に印象深く、私の原体験の1つとなっています。勢いというのは恐ろしいもので、記念受験だった大学にも合格することができ、結局そこに入学することになりました。これが奇跡の一部始終です。

 

音楽でモチベーションは上げられるのか
その体験をもとに、では同じ曲を聴けばいつでもモチベーションを上げられるのかというと全くそうではありません。再現性はなかったんですね。なかなか人生うまくいかないものです。他の曲で元気になる時もあれば、どんな曲を聴いても何も感じられなかったりもします。自分の意志力を上げる方法としては、残念ながら確実ではない。

 

とは言え「モチベーションを上げる」ことを100%否定するのももったいないような気がします。タスク管理という「環境」を変える方法、音楽を聴くという自分の内奥に直接作用させる方法、この2つは両方とも大事にしていきたいと考えています。