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「水のように澄みきった心」で頭空っぽに。

「タスク管理界隈」という優しい世界

「〜が好きな人に悪い人はいない」

「〜が好きな人に悪い人はいない」という話を聞くことがあります。音楽が好きな人に悪い人はいない、この本が好きな人に悪い人はいない、落語好きに悪い人はいない、などなど。

 

実際にはそうでない、つまり悪い人もいい人もいるんでしょうが、そう言いたくなる心理はとてもよく分かります。まずは、同じ趣味趣向を持つ人同士なので気が合う確率が高いということ。そして、そうあってほしいという願望。最後に、同じ関心事で集まると実際とても居心地が良いのです。

 

タスク管理界隈の合言葉

そこで、ここ2〜3年私が入り浸るようになったタスク管理好きが集まる「タスク管理界隈」について考えてみました。

 

もちろん、同じ関心事で繋がるので、居心地が悪かろうはずがありません。特筆すべきは、タスク管理に特有のことです。

 

以前、タスク管理マニアの集いで「意志の力は信じない」という言葉が自然に出てきたことがありました。自分の意志だけで自分の行動を律したり、何か事を成し遂げたりするのは無理だということです。一言でいえば「無理をしない」ということです。

 

諦めの先にある暖かい目線

この考え方は、後ろ向きなようで実はとても暖かく、緩やかながら確実に前を向いていると思っています。タスク管理に注目している人は、多かれ少なかれ自分の限界を知っています。その限界を拡張するために方法や環境を変えようとします。タスク管理は限界の拡張のための方法論と言い換えられます。

 

タスク管理界隈の人たちは、自分の限界を知るという無知の知」という下地があり、だからといって自分を否定するのではなく、むしろそこを起点として「拡張の方法論」によって目的や目標に向かっていく気概がある、といって良いのではないかと思います。

 

自己否定にならずに、自分の限界を知っているという心境は、他者に優しい眼差しを向けられるものだと感じています。その感覚を共有できるタスク管理界隈は、とても優しい世界だと感じています。

 

人と人との距離が近い

さらに付け加えると、タスク管理という分野は未成熟だということも、居心地の良さに影響しているかもしれません。体系化されておらず、タスク管理界の権威という不可侵の存在もない(第一人者とか、誰もが認めるインフルエンサーはいらっしゃいますが)。

 

そういった状況だと、お互いが持つ知識や経験、アイデアに興味津々になります。関係が密になり、三顧の礼をもってその人の持つ情報をいただこうという気持ちになります。私はタスク管理に触れ初めて3〜4年ですが、10年20年選手の方々が同じ目線で喋ってくれます。相手への敬意を持てば持つほど、より自分の欲求が満たされるようになります。

 

「水のように澄みきった心」

タスク管理手法"GTD"の考案者デビッド・アレンは、タスク管理を行うことによって「水のように澄みきった心」が手に入れられると説いています。しかし、もしかしたらタスク管理を実行せずともこの界隈の中にいるだけで精神的に良い効果があるのではないかと思っています。