実行の壁と誤解
タスクの優先順位が決まり、取りかかろうとするが、なぜか一向に目の前のタスクが終わらない。
思い当たる節はないでしょうか。
優先順位を付けるスキルと、付けられた優先順位に沿ってタスクを実行していくスキルは別物と考えた方が良さそうです。
もちろん、目の前にあるタスクが実行可能な状態にあるかどうかは、実行するスキルの対象ではなく、優先順位を付ける際に、適切にタスクを分解する段階の問題です。
例えば、「部長の言っていた本を買ってくる」というタスクがあったとしたらそれは不十分で、まずは「部長に本の名前と著者名を確認する」というタスクと「その本を買いに行く」「部長に渡す」というくらいまで分解する必要があると私は考えます。そのくらいまでしないと、頭の中からこのタスクを完全に追い出すことはできないと思うからです。
そして、キチンと実行可能をタスクが目の前に用意できたら、ただ取り掛かるのみなのですが「面倒臭い」「他のタスクが気になる」等といった理由で、なぜか取り掛かれないことがあります。
もちろん、それらを無視して、一旦決めた優先順位通りに実行しなさい!と言うことは簡単ですが、現実的ではありませんよね。
実際、会社にかかってきた電話を取ったり、同僚から急用を頼まれたり、郵便配達が来たりと、目の前のタスクの実行を阻む要素はいくらでもあります。
これは、GTDでいう「2分以内に完了できるなら、記録しないですぐに終わらせてしまう」という原則に当てはまるなら、さっさとやっちゃいます。
もっと大きな、時間のかかるタスクであれば、改めてタスク管理ツールに記録して、優先順位を見直します。大して時間はかかりません。先ほどやろうとしていたこととどちらが先かを判断するだけです。もし自分で判断がつかなければ、上司がいるのであれば、上司に判断を求めても良いのです。
それでもありなぜか手につかないときがあります。それは自分がそのタスクをやりたくない時です。
これが一番厄介です。無意識であることが多いので。
自分は、タスクの優先順位が適切に決められれば、その通りに実行できると思い込んでいる。まるで自分がプログラムが組まれたらその通りに動くコンピューターであるかのように考えていたりしませんか。
自分を省みると、そこまでキッチリ実行できる機能は私は持ち合わせていません。その時の気分、気力、やる気、体力、腹の空き具合で、実行できるかできないかが変わります。コンピューターとしてはえらくポンコツです。そして、たいていの人は、そんなものではないでしょうか。
そして、その事実を意識していないと、いつまでたっても「タスクは目の前にあるのに実行できない」と違和感が残ります。
自分が、(自分自身も含めて)何にも邪魔されず実行できるかどうかは、「自分はタスクがあればどんな状態でも即実行できるはず」という誤解を解き、かなり懐疑的に自分自身を省みる必要があるのではないかと思います。