タスク管理とその道の達人
楽器の達人
私は趣味でクラリネットを吹いておりまして、四半世紀それなりに頑張っておりますが、アマチュア界でも巧拙の差が出てくるんですね。上手い人は本当に上手い。
そんな人は、とにかくパッと音を出した瞬間に分かります。そもそも音が魅力的であったり、超絶テクニックを持っていたりします。ただ、上手い人、達人に共通するのが、基本ができている感が半端ないという点です。基礎的な技術がいつでも発揮できるかどうか。これがきちんとできているんですね。
基礎練習は簡単
楽器でもスポーツでも、基礎練習がまずありきですね。スポーツのことはあまりよく分かりませんが、クラリネットでは「音をまっすぐ伸ばすこと」「音階(ドレミファソラシド)を指に覚えこませる」といったものになります。音の出し方さえ覚えれば、誰でもできます。そしてその基礎練習を毎日毎日繰り返して上手くなっていくわけです。
要は繰り返して積み重ねること
基礎練習自体は難しいものではなく、むしろそれを愚直に毎日繰り返すのが難しい。もっと突っ込んで考えると、「基礎練習の繰り返しが嫌で面倒臭い」と思う自分を叩き潰して基礎練をすることが難しい、ということになると思われます。
難しさしか目に入らない
例えば超絶技巧を要する難曲をやりきったら、舞台上で喝采を浴びることができます。これが良いリターンとなって、より難しい曲を弾きこなしてもっと観客をわかせてやろうと、モチベーションにつながります。
ただ、演奏のたびに高い評価を受ける達人の達人たる由縁は、ただただ基礎練習を繰り返すという、一番達成しづらいことを黙々とやることにあるのではないかと思うんですね。
もはや世界的なサックス奏者になった須川展也さんは、とにかく基礎練習の鬼なんだそうです。基礎ができていなくて上手い人は100%いません。誰にでもできる基礎練習を、ただ黙々と、やる。想像するだけで「あ〜っ!」と叫んで楽器を放り出したくなります。
継続こそ力なり
つまり、どんなに難しい曲に挑戦するよりも、基礎練習のような簡単なことを続けるのが一番難しく、かつ一番重要なんだろうと思います。
分かってるけどできない。時々思い出したようにやるけど続かない。それを実行したら確実に上達することが明白なのに、やる人とやらない人が出てくるのは、考えてみれば不思議な話ですね。楽器が上手くなりたくない人はいないのに、です。
GTDは基礎練習
楽器については、自分の腕を誇るまで地道な練習を積み重ねられてはいませんが、GTDが題材なら、ある程度語れるかと思います。GTDのフローを回すことは、その行動1つ1つは驚くほど簡単、単純で、それらの組み合わせであることに気が付き、しかもそれを習慣化できているからです。
GTDを始めて知る人は、その説明を聞いて「なんだ、やることはいつもとそう変わらないじゃないか」と考えるんじゃないでしょうか。そんなこと簡単さと馬鹿にする人もいるかと思います。ですが、この単純作業を毎日繰り返していく過程では、途端に脱落する人が続出するんですね。楽器の基礎練習とまさに同じではないでしょうか。
タスク積もれば自信となる
単純作業が重なった結果、今2,800個のタスクが発生して2,700個完了しています。その表示されている数字を見るだけで力が湧いてきます。自信が出てきます。
出せるパフォーマンスの高低はあったとしても、毎日タスクを書き出して実行して完了させることを繰り返すことで、自分なりに自信を生み出すことができる、ということですね。
タスク管理の達人とは?
つまり、楽器の基礎がしっかりしている人と同じく、タスク管理での達人には、ただ同じことをひたすら続けられることが必要だと考えられます。頭一つ抜きん出て目立つ人しかタスク管理の達人になれない訳ではない。むしろ、一攫千金よりもコツコツ努力することを厭わないタイプの方が、達人になれる可能性が高いのではないかと思います。
努力するのも才能のうち、と言ってしまえばおしまいですが、「タスク管理はやれればできる(のにやらない)」と思っている人は、一歩踏み出してやり続ける覚悟を決めませんか。自分の可能性を見つけることができるんじゃないかと思います。