ForGetting Things Done

「水のように澄みきった心」で頭空っぽに。

仕事を押し返した話

職務分掌外の仕事を頼まれたとき

職務分掌(個別の部署や特定の担当者などに業務内容を配分すること)の無い会社は無いと思います。明らかに自分の担当外のことを業務としてやれと言われたらどうしますか?

 

しかも、世の中の大多数を占める中小企業では、助け合いという言葉で美化された「仕事の押し付け」が日常化しています。「それは自分の担当じゃない」が禁句になっているのが普通です。

 

自主的に自分の担当を超えて仕事をしないと良い評価をもらえないという考え方がまかり通っているのは、よくよく考えてみるとおかしいと思いませんか?

 

そもそも雇用契約でそのあたりをフワッと書いている会社が多いですね。限定的に書いてしまったら、それ以外の業務をさせてしまったら契約違反ですから。経理担当として入社させても「管理部門に関する業務」とか雇用契約書に書いておけば、労務の仕事を追加することだってできるわけです。

 

そんな「よくある中小企業」で、契約上は違反ではないが、実質的に明らかに担当外の業務を依頼されたら、どうするか。

 

なぜ依頼されたか

例えば、会社の清掃を社員でもしっかりしなさいよ、という社長からのお達しがあった場合。社長から直接指示を受けた部署が、全員「ああ、掃除面倒臭いな」と思ったとします。何とか他人に押し付けたい。おだてれば何でもホイホイ引き受けそうな人に押し付けちゃえ!と考えて、「お願いしていいかな?」と依頼(というか丸投げ)する。

 

社長直轄の部署が直々に掃除なんてやっちゃうとアレだからさ、とか、君みたいな部署の人が動くことで会社全体が活性化するんだよ、とか、とにかく何でも良いから適当な理由をつけられると、依頼を受ける当人は断りづらくなります。社員同士助け合うのがあるべき姿なので、「いやいや、それはウチの仕事じゃないでしょうよ」とは言えません。

 

うっかり引き受ける

それに近い状態で、私先日それレベルの仕事を引き受けてしまったんですね。恐るべし、日本の企業文化の同調圧力。そういう時って、なんでこうスルッといつの間にか引き受けちゃうんでしょうかね。

 

返したくて悩む

しかし「なんで引き受けちゃったんだろう」とそれからイライラし始めます。本来なら私がするべき内容ではなく、特別なスキルを必要とする業務で、たまたま私がそれに合っているだとか私でなければいけない特別な理由もない。投げてきた方にも事情はあるのかもしれませんが、どう考えても私である必要はない状況でした。

 

いったん「いいですよ」と引き受けてしまった以上、おいそれと押し返すことは難しい。困った。何が困るかというと、理由がはっきりしないイライラが募り、精神的な安定性が著しく失われつつあったからなんですね。だからと言って、喧嘩して「そんな仕事やらん!」と押し返すなんて大人げないことは避けたいところ。

 

返し方

まずは落ち着いて、このイライラの元を探ってみました。まずは「面倒臭いだけで丸投げしたから」という感情的な理由があります。ただ、これを主張してもしょうがない。それに、時と場合によっては、何とも思わず引き受ける時だってあり得ます。

 

そこで、タスク管理ツールを見てみると、ちょうどその丸投げ業務をする頃、いくつかの仕事が集中していて、引き受けると時間がかかり過ぎてしまうのではないか、という想像がつきました。

 

そこで、具体的な業務名を挙げながら、これらの業務と時期的に被ってしまってできない可能性があるから、申し訳ないが他をあたって欲しい、と伝えました。相手は納得してくれて、じゃあ他を当たりますね、と言ってくれました。タスク管理ツールで自分の抱えている仕事を全て把握しているので、このような対応をすることができました。

 

押し返した後

いつもの話の持っていき方だと、だからタスク管理は良いよ!ということになりますが、正直、これで良かったのか迷っています。俗に言うDQN返しをしてしまったのではないか?と思っています。

 

DQN返し

自分に低劣な仕打ちをした相手に対して、自らも低劣な手段を使って仕返しをすることを意味するネットスラング

 

やってやれないことはなかったのに、結局「自分が面倒臭いから丸投げしてきた」ということに対する感情的な反応の域を出ていないのではないか、だとしたら、タスク管理という武器をこのように使うのはよろしくないのではないか、と考えています。

 

タスク管理は、第一義的には自分の身を守るためにあることはもちろんですが、それによって自分が必要以上に頑なな態度を取るようになり、周囲をぎくしゃくさせるようなことにはしたくないと思っています。

 

武器の扱いにはくれぐれも注意していこう、と思いました。