「自分はここまでしかやりませんはダメ」は良いのか?
よくあるリーダーの訓示
「自分の限界を自分で決めるな」という訓示は割と受け入れられていると思います。自分の可能性を信じて、より高いパフォーマンスを出せるように成長していこうという、まっこと素晴らしいお言葉ですね。ちょっと茶化して書いていますが、真面目な話、基本的には悪くない考えだと思います。
ただし、言葉を額面通り受け取ってしまうタイプの人は注意が必要です。私なんかその典型だったりします。「そうなんだ!自分の限界は決めちゃいけないんだね!」と自分に言い聞かせ、本当に限界を突破してしまって体調を崩したりします。
あのー、前途洋々たる未来を信じている方がこれを読んでいたら申し訳ないのですが、割と限界って近いんすよ……。2時間集中して仕事して帰宅したら家事が何もできずにバタンキューしてしまった、というレベルだったりします。だから、自分の限界は自分で決めちゃいけないと思いつつ自分の限界は把握していなければいけないという、非常に難易度の高い自己分析が必要になってしまいます。
「自分の限界」の構造化
軽々と限界を突破(悪い意味で)してしまっていた自覚を持つ私としては、自分の限界を把握するということが一大テーマとなっておりました。その一つとして「アイスや冷たいジュースを異様に欲しがる」という行動パターンがあります。欲しがっている自分に「ハッ!」と気が付くのです。
ただ、いつもそうだとは限らないのですね。しかも限界がくるとやってしまう行動をしたことを認識した時点でもう限界だということにハタと気が付きました。気付くのが遅い。遅すぎる。
そこでこの考え方です。タスク管理メソッド”GTD”の開祖デビッド・アレンが著作でこのように言っています。
自分の守備範囲に入ってきたもののすべてについてどんな行動が必要かを考え、その結論をきっちり管理することが組織のルールとなり、すべての人がより大きな問題や機会に意識を向けている世界__それこそが私の理想だ。
(デビッド・アレン「ストレスフリーの整理術」より)
冒頭の訓示を是としている方々からは、ともすればこのような考えをしている人は煙たがられがちです。自分の守備範囲を決める=自分の限界を設定する=成長を諦めている、と映るわけです。そういう方々には申し訳ないのですが、「私はここまで」という守備範囲を設定することで、結果的に身を持ち崩すことなく安定的に結果を出し続けられるのです。その範囲内で精一杯やるしかない。その中でも成長はできると思いますし、守備範囲を慎重に広げることだってできます。
個人レベルで自分の守備範囲をきちんとこなせる人が集まれば、全体で高いパフォーマンスが出せるんじゃないかと思うんですね。会社組織で働く場合は職務分掌という役割分担があるのですから、それをソオレーと乗り越えて動き回る人はときに迷惑な存在だったりします。責任分界点が曖昧なまま仕事を進めると、仕事のボールの落下点に誰もおらずいわゆる「お見合い」状態になることがあります。
組織の中で働くためにも、自分を守るためにも
ということで、自分の限界=守備範囲という枠組みを把握して、その中ではどんどん仕事を進めていくのが良いのではないかと思っています。組織や他者とのかかわり合いの中でやっていく上でも、自分を守るためにも大事だと思います。
その枠組みを構造化(=可視化)して把握させてくれるのがタスク管理とそれを実現するツールです。自分を壊さないためにも、是非ご一緒に。