タスク管理ツールはコックピットのダッシュボード
週次レビュー
タスク管理手法”GTD"では、定期的にタスク管理ツールをメンテナンスする「週次レビュー」の重要性を説いています。タスク管理上の「レビュー」とは「見直し」とも言われており、把握したタスクが完了したらタスクリストから消す、タスクが進捗したらその進捗をツールに記録する、新たなタスクが発生したらツールに書き込むといったことを指します。
「週次」でなくてはいけないのか
GTDの開祖デビッド・アレンは「1週間に1回レビューをしよう」と言っていますが、私は個人的に1週間にこだわる必要は無く、「定期的」くらいに解釈するのが良いと考えています。なぜなら、1週間前に終わらせたタスクのことなんて忘れている可能性がとても高いからです。私は、タスクを終わらせたり進捗させたり発生させたりするごとにツールに変更を加えています。
レビューは飛行機のダッシュボード
タスク管理ツールは、飛行機のコックピットにあるダッシュボードのようなものだと思います。
今どんな場所にいて、どのくらいのスピードを出していて、その他色々な情報が逐次表示される画面のようなものです。機体の状態が変化すればその変化があったことを表示し、目的地が近づけばそれを計器類で知らせてくれる、そのような物です。自分をうまく操縦するには、自分の位置や状態を正確に知らせてくれるダッシュボードのような存在、つまり私にとってはタスク管理ツールが必須だと思います。
シンプルだが、それこそ世界を変えてしまうぐらいの破壊力をこの「週次レビュー」は持っている。
(中略)
頭の中なんて信用してはいけない!望むべき結果と次の行動を明らかにし、リストを整理・更新することで、つねに頭をすっきりさせ、前向きな考え方ができるようにしておこう。これは週次レビューなしでは決して実現できないのだ。
(デビッド・アレン「ストレスフリーの仕事術 仕事と人生をコントロールする52の法則」より)
ダッシュボードなしでやると…?
ダッシュボードを見ることなく航行をするとどうなるか。たとえば翼に異常が発生しているかどうかを、コックピットから出て確かめに行かなければいけない。今時速何キロメートルくらいで飛んでいるかを自分の感覚に頼らなければいけない(そしてその感覚は不正確だ!)。だだっ広い雲の上の空で、いま自機はどの方角に向かっているかを太陽や月の位置から割り出さなければいけない(古代の天測レベルまで精度は落ちます)。自機に向かってくる他の飛行機等を目視で避けなければいけない(米粒程度にしか見えなかったものが数秒後には目前に迫ってくる!)。危なっかしくてしょうがないですね。
レビュー無しで仕事をすること
タスク管理ツールを定期的にレビューせずに仕事をするのは、ダッシュボード無しに飛行機を操縦するようなものだと思います。そこまで極端な話ではないにしろ、多かれ少なかれ似ていると考えています。タスク管理ツールを日常的に使って仕事をしている人からツールをいきなり取り上げてみたら、仕事をまともに進められなくなるでしょう。
自分はそんなものなくてもできている!という人はいると思います。飛行機の操縦ほどリスクの高いものではなく、ダッシュボード無しに操縦することによって発生する仕事上の事故はごめんなさいで済む程度なので、そのようなことが言えるのではないでしょうか。私はその「ごめんなさい」を言わなければいけない状況がすでに精神的負担なので、そのセンはなるべく取りたくないです。
もともと優秀なパイロットではない自分はダッシュボード=タスク管理ツール頼みです。そして、いくら優秀なパイロットでも、ダッシュボード無しで飛行機を操縦することはしませんね。むしろキチンと航行するためにはダッシュボードの表示を的確に読み取るようにするのが優秀なパイロットなのではないかと思います。
タスク管理ツールに時々刻々と変化する自分の仕事の状況を表示させるようにすることで自分の仕事をコントロールするのは、複雑化した仕事をこなさなければいけない現代においてはもはや必須のことだと言えます。この考え方、一見すると「えっ!そんな面倒くさいことをするの?」と突拍子もないことと思われるかもしれませんが、案外大事なことではないかと。