仕事をいったん手離れさせるコツ
ボール持ちの概念
私のタスク管理ツールの重要な機能の1つに「ボール持ち」という項目があります。これは、その仕事を誰が今受け持っているかを明確にするため、もっと言うと、自分ではなく他人がやるべきタスクまでその実行状況を心配することがないようにするために設定しました。「この仕事のボールは誰が持っているのか?」「自分じゃないっす」と言うため、です。あまり良い印象はありませんが、組織で仕事をする際に重要な「責任の所在の明確化」には必須の考えだと思っています。
ただし、仕事なら何でもかんでも丸投げして他人にボールを持たせてしまおう!ということではありません。やるべき仕事が発生したら段取りに分解し、自分がやるべきことと他人がやるべき段取りを分け、自分がやるべき段取りをいち早く終わらせて他人へ早めに渡そうということです。
「結局自分ばかりになってしまうんです……」
発生した仕事を段取りへ分解するとよくある話が「分解したら全部自分ボール持ちになってしまうんです」というもの。もちろん、山奥にこもって自分ひとりで作業をしているのであればどう考えてもボールは常に自分持ちです。
しかし、組織で仕事をするのであれば、必ず協力したり指示を仰いだり確認を求めたりすることはあると思います。私の感覚としては、多少無理矢理、不自然でも「他人ボール持ちの段取りを挟もう!」と言いたいです。
「人に頼る」「報連相」
仕事を受け持ったら、自分があれもこれもしないといけないと思って抱え込む人は割といると思います。特に自分の仕事についてまじめに取り組み、悩んでいる人ほどその傾向がある印象があります。他人へ仕事を振ったら悪いから、と考えた結果、結局全部の段取りを自分がやることにしてしまい「結局自分ばかりになってしまうんです……」という言葉が出てくるという流れです。
私もそう考えていました。自分で背負い込み過ぎて処理しきれずに自己嫌悪に陥り、自信をなくしていく。そんなパターンが常でした。しかし、自分でタスク管理ツールを作ると、むしろ人に仕事を振ったり、思っている以上に上司や周囲に相談したり確認を求めたりすることが大事だということ、逆に相談や確認をしないで自分ひとりで進めるとあまり良い結果が伴わないことが分かりました。
ツールでタスク管理する利点
ツールでは、他人へ確認を求め、その返答をもらうという2つの段取りを書き出し、いったんボールを他人へ投げます。その方がボールを投げ返してくるまでは他のタスクを実行する。そうすることが組織で仕事をする上での「業務効率化」につながることになると実感しています。
ツールに書き出すと不思議と「他人に仕事を押し付ける」といった罪悪感が少なくなります。むしろ、他人が気持ちよく引き受けてもらえるようにするには自分はどこまでやったら良いかと考えられるようになり、より良いチームプレイを意識することができるようになりました。仕事を押し付け合うというイメージではなく、元から協力しておこなうべき仕事を、より気持ちよく進められるようにする。これがツールでタスク管理をするようになって良かったと思った点です。
ボールを投げづらいと感じるのは良いこと
ボールを移動させられない人は責任感が強い人です。信頼できる、良い人です。しかし、それは自分の首を絞めてしまいがちになってしまいます。責任転嫁になってしまうんじゃないかと危惧する気持ちがあると思いますが、気にしないでドンドン投げるのが良いと考えています。もともと投げづらいと感じているのですから、思っているような酷いことはしていません。
とにかく人に頼む。報連相をする。その隙に別のタスクを実行する。チームプレイも円滑に行うことができ、さらには自分の作業も効率的になります。仕事をいったん手離れさせるコツは、このあたりにあるのではないでしょうか。