ビジネスマンの仕事術と障害者の支援プログラム、神経症の治療法が似ているという事実
エリートと非エリートの溝?
「エリートビジネスマンがこぞって習うという"GTD"は、その層だけにしか効果がない」というイメージがあるようです。エリートビジネスマンの定義はともかく、より短い時間でより高い生産性を実現するのは、結果的に評価されますね。
そこまでのレベルにない、それどころではない人たちがいます。発達障害当事者、特に私も持つ注意欠陥多動性障害を(ADHD)を持つタイプは、抜け漏れや忘れが激しく、段取りが苦手という特徴から、仕事がうまくこなせずに社会に適応できなくなってしまう事例が多発しています。
ここにエリートと非エリートの間に溝がある、と言われれば、殆どの人は頷くことと思います。
溝は本当にあるのか?
私は「本当に溝はあるのか?」と見直したくなるような事実を知りました。ビジネスマン必修(私見ですが)である"GTD"と、発達障害当事者支援プログラム"Teacch"、それと神経症患者に有効とされる「森田療法」には、根幹の部分で共通点があるのです。
共通点
それは、「目的を設定し、それまでの手順を明確にする」ということです。手順を明確にすることで、「他の手順があったかもしれない」という不安を解消し、「この手順でいいのだ!」という確信をもたらす。GTD、Teacch、森田療法に共通する効果です。GTDでは「タスクの見極め」、Teacchでは「手順の構造化」あるいは「ワークシステム」、森田療法では「(手段の目的化を避けた)目的本位の行動」という説明がされています。
これは私が独自に気が付いたわけではなく、先日一緒に会食をした社会福祉法人の理事の方から伺った話です。
「発達障害って何?美味しいの?」
先日、EXP立川という障害者就労移行支援事業所でお話をさせていただきました。そこで発した言葉の中に「発達障害って何?美味しいの?」というものがありました。それくらい、悩みのタネにはなっていないということです。
GTDもTeacchも森田療法も、自分がやるべき物事への取り組み方は共通している。これは何を意味するかを改めて考えさせられました。結果、エリートビジネスマンと発達障害当事者、神経症患者は断絶され独立しているのではなくて、地続きなのではないかという考えが思い浮かびました。
もちろん「人類皆同じ」といった、頭の中がお花畑な想像をしているのではありません。現実は明らかにこの三者を区別しています。
ただ、GTDが発達障害当事者にも、神経症患者にも、そしていわゆる「健常者」にも等しく有効であり、健常者とそれ以外の二者はそれぞれ別世界でしか生きられないわけではないと考えたとき、私はすごく嬉しく感じました。
この考えは、もしかしたら大きな誤解を含んでいるかもしれません。また、発達障害特性に悩んで引きこもっている人が一足飛びに高収入のエリートになれるとは思っていません。ただ、この3つ、GTD、Teacch、森田療法には共通点があるんだという事実をお伝えし、それを知って私はとても嬉しかった、ということを書きたかっただけなので、お付き合いいただきありがとうございました!