就労移行支援事業所で、ただひたすらGTDを教え込む
先日、私が週1回講座をしている障害者就労移行支援事業所「EXP立川」で、GTDに基づいたクラウドタスク管理ツール「タスクペディア」を使って、ただひたすらGTDを教えるという講座を行いました。
こちらが当日のスケジュール。「今日のGTD」というタイトルからしてトチ狂って、もといイカしていますね。
この日は、私のタスク管理ツールを基に開発されたクラウド版タスク管理ツール「タスクペディア」の使い方を覚えながら、GTDの5つのフロー「把握」「見極め」「整理」「選択」「更新」を実践してみるという内容の講座でした。
↓暗くて見づらいですがGTDのフローの説明(ちょっとこの講座用にカスタマイズしています)
参加者全員分パソコンを用意し、あらかじめ設定しておいたタスクペディアのアカウントを割り振ってログインしてもらいました。
最初は「帰宅準備」というお題でタスクペディアの画面をスライドで映しながら、「タイムカード」「ロッカー」「荷物」といったトリガーリストを参照しつつ、終礼が終わってEXP立川を出るまでをどのようにタスク登録ができるかをみんなで考えました。
↓画像2枚で1タスク分です。
「当たり前のことこそ書き出す」「ここまでする必要ないんじゃないか?と思うくらいサブタスクへ分解する」といった注意事項を利用者さんは理解してくれ、上記のようなタスクの内容となりました。
さらに、毎月やっている交通費精算について、こちらもトリガーリストを参考に今月分の清算手続をタスク化して各自タスクペディアに登録し、その内容を全員1人ずつ発表してもらいました。
↓トリガーリスト
↓あらかじめ講師側で作成した見本のタスク内容。こちらも2枚組。
そして最後に、晴れて就職が決まりEXP立川を卒業することになったときのために「卒業講座でのスピーチ」をするためのタスクを各自で作成。
↓トリガーリスト(殆どヒント?)
↓講師側で作成したタスク例
リアルに感じてもらうためもあり、実際に卒業する利用者さんと同じスケジュールで作ってもらいました。
念のため申し上げますが、これらは企業の社員研修ではなく、うつ病や統合失調症、発達障害などの障害者のための就労移行支援の講座です。
ここからは私の個人的な思い入れです(厳密にいうとここまでもそうですが)。
私が発達障害の診断を受けたときには、そもそも発達障害などの障害者の就労を支援してくれる場はほぼ無かったか、あまり有名ではなく私は知ることができませんでした。
そんな私のような人間は、障害者雇用で安い賃金・単純作業の仕事に就くか、障害を隠して一般雇用でビクビクしながら働くかのほぼ二択でした(完全にそうとは言い切れませんが、大体そうでした)。
障害者雇用の合同面接会に行ってその現実を見せつけられとても悲しくなり、泣きそうになりながら(いや、泣いていたかも)帰ってきたのは今でもよく覚えています。
精神障害の診断を受けた人でも能力が人並み以上にある人もいます。そのような人は、仕事のやり方さえ工夫すれば、立派に働ける余地は大いにあると考えています。
社会に出て稼ぎ、美味しいものを食べたり、旅行に行ったり、友達と飲んだり、好きな人と生活を共にしたりしたい人は多いはずです。なのに、障害者雇用というくくりに入ると、一部を除いてそれが叶わぬ夢になってしまいがちなのです。それがとても悲しく「なぜ?」と怒りすら覚えます。
幸い、私はタスク管理で仕事のやり方を工夫することで、なんとか安定して仕事ができる状態になることができました。タスク管理は、合同面接会帰りの私のようなつらい思いをする人を少なくできる突破口の1つになり得るのではないかと思っています。
そんな考えを持つ私にとって、この日の講座は一段と熱が入ったものになりました。
正直、タスク管理が福祉の世界でどこまで通用するかは未知数です。しかし、少なくとも自分はその効果を身をもって経験できたので、その可能性を信じていきたいと考えています。