ForGetting Things Done

「水のように澄みきった心」で頭空っぽに。

誰でも1つは「持って」いるのか。

6年前とかなり昔の番組ですが、NHKの「仕事ハッケン伝」を見ました。

 

オリエンタルラジオ中田敦彦さんが、スタジオジブリに「1週間程度」入社して、プロデューサーの鈴木敏夫さんから「風立ちぬ」の新聞広告デザインとコピー作成の依頼を受けるという内容。

 

最後の数分の展開に、良い意味で言葉を失いました。

 

「傾向と対策」で挑む

中田さんは、鈴木さんとの出会いがしらのジャブ「頑張らなくていい、才能だけ出してもらえれば」にも負けず、持ち前の受験テクニックを駆使して、これまでの傾向と対策を分析して、案をひねり出します。その手法は私にとって鮮やかで見事、これなら採用間違い無しではないかと思いました。

 

ただ、鈴木さんは一筋縄ではいきません。

 

中田さんと鈴木さん、丁々発止のやり取り

100個のコピーを考え、オリラジ相方の藤森さんに意見を求め、13個まで候補を絞り、鈴木さんへプレゼン。その結果、1つのコピーの「人間・宮崎駿」という言葉が鈴木さんの目にとまり「君、才能あるね!」と評価されます。しかし、中田さんはもう一段上の完成度を求められます。「人間・宮崎駿」の後に続くフレーズが欲しいと。

 

ここまでの言葉を創りだした中田さんはすごい!と思いながらも、観ていて、確かにもうひと押しだな、と思いました。

 

そのあと、中田さんは自分なりに「これだ」と思う言葉を考え抜き、付け加えて完成させて持っていくも、その案は採用されませんでした。

 

しかし、落胆する中田さんへ鈴木さんが見せた最終コピー案は、すべて中田さんが創りだした言葉から作られていました。鈴木さん曰く「君が出してきたものをテクニックでまとめようと思っていた」とのこと。

 

誰でも1つは「持って」いる

「自分からめぼしい言葉が出てこなかったらどうしていたんですか?」と中田さんが鈴木さんに聞くと「あるんだよ!」と力強く即答。「誰だって1つは持っている!」。

 

長々と番組のダイジェストを書き連ねてしまいましたが、この鈴木さんの力強い返答が刺さり、何も言葉が出ませんでした。

 

鈴木さんが長年の経験の中で培ってきたものは、他人を信頼することへの自信でした。「誰でも」1つは「持っている」。

 

信頼することは、信頼を裏切られるかもしれないという疑念に打ち克つ必要があります。力強く即答した鈴木さんには疑念が思い浮かぶような迷いがありませんでした。

 

発達障害当事者は強みを生かして仕事を」

私はかねがね、「発達障害者は弱みと強みの差が大きい。だから、強みを生かして生きていこう!」という考えには距離をとってきています。とは言え、この考え方を否定はしませんし、実際強みを生かせるときも多くあるかもしれないなとは思っています。

 

しかし、最初から弱みを何もカバーせずに強みだけ生かそうと思っても挫折する可能性が高いと考えています。そのため、まずは弱みをカバーする仕組みとしてタスク管理を習得するのを勧めています。

 

タスク管理で弱みをカバーできれば、もしかしたら強みが見つかるかもしれない。もし強みを発揮できなくても、それはそれで満足して当然であるべきだ、とどこかで思っていました。

 

この番組を見たあと、強みの存在をもっと強く信じても良いのではないかと思いました。もちろん、弱みをカバーする仕組みは必須だという思いは変わりませんが、そこで満足せずに、その先の「自分の強みを発見する」という段階もあって良いなと。自分自身の可能性を信じ抜くのも良いんじゃないかと。

 

最後に

「弱みをカバーしさえすれば、とりあえず生きていけるし良いんじゃないか。強みが見つけられないかもしれないし」という考え方を自分がある程度許容していたことに少なからず「いかん」と思っています。「強み発見」に希望が持てる状態を作るための、タスク管理による弱みカバー、という位置づけを大事にしたいなと思わせてくれる。そんな番組でした。