「時間をかけても完了するとは限らないタスクの扱いはどうすれば?」
またご相談をいただきました。
ペンネーム:三田マシマシ二郎
ひとたびGTDアプリに入力したタスクはやる気が湧いてゲーム感覚で楽しく完了させられるのですが、いろいろな意味で自分に負荷がかかるヘビーな仕事や工程は、優先度が高いのにアプリに入力せず(できず)、自分への逃げ道を残して放置しちゃう、といった問題がたまに発生します。ここでいう負荷とは、作業時間など量的な負担ではありません。むしろ成果や評価度が必ずしも投入時間と比例しないような性質のタスクに関する精神的な負荷や不安です。
ですので、タスクの細分化をすれば解決する、という類の問題でもないような気がします。精神的プレッシャーから優先性の高い大きな案件は先送りし、その他の細かいタスク、楽しいタスクはGTDアプリでひたすらテキパキやるという本末転倒な状況を何とか変えたい。そんな想いからメッセージさせて頂きました。
小鳥遊さん、アドバイスをお願いします。
三田さんには、次の言葉をまずはお伝えしたいと思います。
「気分の検討は行動の後で」
プレッシャーのかかるタスクは、できれば避けて通りたいですね。ところが、さけられないからプレッシャーになるわけで、対処が難しいです。
実際、プレッシャーのせいで嫌な気分になり「ああ、もうやりたくない」と思うようになります。この嫌な気分は想像以上に自分を左右します。つまり、少しでも嫌だなと思うとほぼやらないのです。
では、どうすれば良いか。
まず、原理原則から言ってしまいますが、「色々考えずにまずは取り掛かる」が確実に解決につながります。
ただ、これがスッとできるのであれば苦労はしないですね。「まずは取り掛かる」ことができるための工夫をご紹介します。
タスクの目的の言語化の工夫
タスクの目的は、通常はそのタスクが完了したときのことをイメージして言語化します。
例えば、ウェブメディア記事の執筆を例にとると「ウェブメディア記事へ原稿提出」が通常のやり方でのタスク名となりますが、「でも、いつ書き上がるか分からない……」と考えると途端にプレッシャーがかかります。
今回は違います。「7:00〜7:50にウェブメディア記事を執筆する」というタスク名にして、それを毎日行います。
完了を意識しすぎてかえって着手できないことがあります。それを避けるために「7:00〜7:50にウェブメディア記事を執筆する」といったタスク名にして、とにかく行動に着手することを目的とします。
タスク管理にも造詣の深い作家、倉下忠憲さんのこの記事に、そのメカニズムが詳しいです。
時間帯の工夫
「やるべき/やりたくないこと」は、朝早くにやるのをお勧めします。人間には認知資源というものがあるそうです。脳が活動をするときに使うリソース=「頭の余裕」とご理解ください。つまり、何事をするにも原動力として必要なものということです。そして、認知資源は睡眠でしか回復しないのです。
認知資源がまだふんだんにある朝早い時間帯が脳が活発に動くので、必然的にお勧めになります。
細かいタスクをするのも一助に
三田さんは「細かいタスク、楽しいタスクはGTDアプリでひたすらテキパキやるという本末転倒な状況」とコメントされています。むしろ、細かいタスクをテキパキやれている状況は頼もしい味方だと考えます。
細かいタスクをそのままにして大物タスクに取り掛かろうとしても、もしかしたら気になって集中できないかもしれません。そんな状況でも集中して目の前のタスクに取り組めるのがGTDなのですが、大物タスクに取りかかるためには細かいタスクが無くなるに越したことはありません。
細かいタスクをテキパキこなせている今の状況は、相当良い状況だと思って良いのではないかと。
最後に
それでもどれだけ時間をかければ終わるのかわからないと不安になるかもしれません。その不安を直接取り除くことは難しいです。その不安とは対峙しなければなりません。
不安の裏には必ず同程度の願望があります。その願望を叶え、対峙する精神的負荷を少しでも和らげてやりたいことを成し遂げる技術が、上に挙げた2つの工夫です。
この技術を駆使すれば、気分の上下に囚われず無理なく粛々と物事を進められるようになると思います。