GTD、「把握」と「見極め」の間。
こちらの記事を拝読しました。
私は気になった。本棚が散らかっていることが気になった。
「気になること」を入れるinboxには、当然「本棚が散らかっているのが気になる」と書き込むべきだろう。
もちろんこれは、タスクではない。
(中略)
そもそもどのように対処するのかは、「考え」なくてはいけない。
大事なことに気付かされた気がします。GTDの5つのステップ「把握」について、私はきちんと理解していないのではないかと思ったのです。
GTDの「把握」は、GTD本「ストレスフリーの整理術」には、「頭の中にあるやりかけの仕事を書き出そう」という呼びかけによって表現されています。そして、当然のように「それでは、『把握』したことについて、その目的と次にとるべき具体的な行動を明確にしよう」と続きます。
これ、本当に続けていいのか?
そんな疑問が、この倉下さんの記事でムクムクと頭をもたげました。
そもそも、私はGTDはほぼ仕事でのみ使います。倉下さんの記事のとおり、仕事はタスクっぽい形で自分のところに降ってきます。なので、「把握」から「見極め」そして「整理」へと、割と速く進みます。
ところが、GTDの想定する「把握」ステップは「頭の中の気がかりなことを書き出す」といった性質が大きいので、タスクの形をしていないことが多いです。「なんか、メール関係でモヤモヤする……」ということからの「把握」、つまり書き出す言葉は、おそらく「メール」ですね。そこから「先週きていた父親からのメールに返信する」というタスク名にたどり着く(見極め)には、システマチックにいかないことが多いでしょう。
仮に仕事の場であったとしたら、把握と見極めの間に高いハードルが立つことが多いと思います。「なんかモヤモヤしていることで、タスク化していないもの」は、おそらく締切が過ぎているか、直視したくないで放置しているものである可能性が高いです。
このタスク化にじっくり取り組むために、多くのタスク管理猛者たちは、内省をして「週次レビュー」を行うのかもしれません。ただし、上記のような「締切が過ぎている」「直視したくない」といった業務上のタスクを洗い出すためには、土曜日の午後2時間たっぷり使って……といった優雅なプロセスを経ることは難しいことが多いでしょう。
「直視したくないことをタスク化するためには、こうすれば大丈夫!」というノウハウは、私にはありません。やれることといったら、直視したくないという感情を持たないで仕事に取り組む、ある種悟りの境地に達する必要があるのかもしれません。
1つ、自分だけかもしれませんが、面倒くさそうなモヤモヤを言語化してタスクとして書き出すために有効だと思っていることがあります。それは、「直視するのは嫌だが、直視できずに放置し続けるともっと面倒くさいことになる」という感覚を持つことです。
人間は、メリットを得るよりもデメリットを避けたがる傾向があるそうです。その性質を意識しないでも、「タスクを書き出さなかったら、自分は終わりだ!」と心底思っているので、把握と見極めの間を飛び越えられているのだと思います。
もし、自分も「もうこれ以上失敗できない」「後が無い」といった感覚をお持ちの方、それは自分を助けてくれます。ツールなどを利用しながら、GTDのフローを回せるのであれば、人よりも先んじて、「把握」したタスクを「見極め」られると思います。