仕事で必要なのは、「完全なひま」ではなく「とりあえずひま」。
こんなツイートをしました。
「仕事が暇な状態」には2つあって、
— 小鳥遊@7/20イベント (@nasiken) 2019年6月26日
①そもそもタスクが発生してない
②発生してるが自分持ちじゃ無い
この2つを混同しがちだなと。
不用意にタスクを増やす原因の1つは、②なのに①だと思っていることだったりします。ボールが返ってきたら一気に忙しくなります。
「完全なひま」と「とりあえずひま」
仕事が暇な状態は2つあると思っています。1つは完全なるひまです。もう1つは、タスクは抱えているがさしあたってすぐにやることはないというひまです。
タスクは抱えているがさしあたってすぐにやることはない状態、もしかしたら想像しづらいかもしれません。
管理部門の法務を担当している私は、取引先との契約書の内容チェックが業務のひとつです。こちらの契約書文案を相手方に送ったら、相手方から連絡があるまでは「待ち」の状態です。そんな状態にある契約書が実はたくさんあります(契約書は、それが無いと話が進まないわけではないので、後回しにされることが多いのです……)。
極端な話、100件未完了のタスクがあり、そのうち80件くらいが取引先検討中の契約書のタスクだったりします。そんなタスクばかりだと、「とりあえずひま」な状態になります。
「とりあえずひま」は、本当に暇ではない。
気をつけなければいけないのは、「とりあえずひま」状態は本当にタスクから解放されてはいないという点です。上記の例でいうと、80社から同時に連絡が入れば、一気に80件のタスクについてのボールが自分のところへ来ることになります。
一時期言われていた「窓際族」という、殆ど仕事をあてがわれずに日がなオフィスに来ては就業時間中すわっているだけ、というイメージが「完全なひま」です。抱えているタスクが無い、という状態です。これと「とりあえずひま」は、傍目から見たら変わりませんが、その実は全く違います。
完全を求めなくていい
ここで考えたいのが、タスク管理をして実現したい状態はどちらかということです。「完全なるひま」を実現したいのか、「とりあえずひま」になりたいのか。
私は、「とりあえずひま」を目指すのをお勧めします。「完全なるひま」を目指すより達成しやすいからです。完全に暇になるには、自分が関わる全てのタスクを完了させなければいけないのですが、仕事は後から続々と発生するものなので、いつまでたっても完全に暇な状態にはなりません。
それに対して「とりあえずひま」は、とりあえず自分から手離れすれば良く、タスクを完全に完了させる必要はありません。
シンプルなTODOリストの弱点
ここに、タスク管理の運用で大事な論点があります。シンプルなTODOリスト、つまりタスク名のみをただ列挙しただけのリストだと、「完全なひま」かどうかしか分からないのです。自分がボールを持っている仕事タスクがほぼゼロだったとしても、誰かがボールをもっているのであればそのタスク自体は完了していないので、シンプルなTODOリストからは消えません。つまり、自分が背負いこむべきタスクだという表示になってしまうのです。ここが、シンプルなTODOリストの弱点です。
私が考案したタスク管理支援ツール「タスクペディア」では、そのタスクが今自分がボールを持っているかどうかを表示する仕様になっています。それは、100件タスクが並んでいたとしても全部が他人ボール持ちであれば「とりあえずひま」だと安心できるようにとの思いによるものです。
タスクペディアの根本思想のベースになっているタスク管理メソッド「GTD」でも、「連絡待ち」「自分が次に取るべき具体的な行動」とリストを分けています。GTDでも、ボール持ちの概念は重要視されています。
最後に
自分の経験上、毎日発生するタスクを完全に終わらせて一日を終えることは、一定の職種をのぞき、ほぼ不可能です。まずは「とりあえずのひま」を実現できれば、かなりストレスフリーに働けるのではないかと思います。