ForGetting Things Done

「水のように澄みきった心」で頭空っぽに。

信頼できるシステムとは

信頼できるシステムに預ける
GTDでは、頭の中から追い出して紙やPCに書き出した「やるべきこと」を、信頼できるシステムに預けよう!と説きます。確かに、書き出したタスクを、チラシの裏とかに書いて、間違えて捨ててしまったりしては元も子もないですよね。それなりに「残したい」と思えるような紙やデータベースのようなものに記録した方が良いと思います。
 
信頼とは?
信頼できるというと「絶対に消えません!」とか「地震にも耐えられます!」というイメージだと思います。GTDで想定しているシステムは、そのような堅固さを売りにしたようなものではないかと。どれだけ安心して自分のタスクを預けられるか。さらにいうと、そのシステムにどれだけタスクを預けたいと思えるかではないでしょうか。
 
私は自分でタスク管理ツールを作ったため、特にそう思うのかもしれません。タスク管理ツールに触りたいのです。内容を更新して、完了タスクをより溜めこんでいきたいのです。タスクが溜っていけばいくほど、タスクを集約して表示させる一覧表示シートを無駄にスクロールさせながら「おお…美しい」などと怪しいことを内心つぶやいてはニヤニヤしております。若干行き過ぎの面はあるかと思いますが、「信頼できるシステムに預ける」の「信頼」とは、こういうものに近いのではないかと思います。
 
GTDの「システム」は媒体を選ばない
信頼できるシステムであるためには、自分が気に入らなければいけないわけです。私の知り合いの中に、とにかく手元にあるという「物としての存在感」を重視して、紙でタスク管理をしている人がいます。私は、検索・追加・削除が容易で、かさばらない、どんな仕事場でもおよそ使えるという理由で、エクセルでタスク管理ツールを使っています。ツールにはどの媒体をどんな風に使っても良いんですね。
 
タスク管理に習熟した人は、ほぼ、自分の構築したタスク管理システムを見せたがったり、お互いに情報交換したりして、より良いタスク管理環境を求めることが多いです。そのような広がりがあるのも、GTDを走らせるツールは媒体を選ばないということが理由の1つになるんじゃないかと思っています。

「書き出し」に20時間も必要か?

「人によっては20時間」

GTDでまず最初にとりかかるのがタスクの「収集」、つまり頭の中にある「やるべきこと」を書き出す作業です。長い人は20時間やっても終わらなかったという話があります。それほど、人は頭の中にやるべきことを溜め込んだまま日常生活を送っているということですね。

 

まとまった時間、取れますか?

まずタスク管理で挫折してしまうのが、「え?!20時間も取れないですよ!」ということ。確かに、それでなくても忙しいと嘆いている人が殆どなのに、パッとそれだけ長時間まとまった時間を取るなんて無理ですよね。

 

私も、今現時点で頭の中にあるやるべきことを存分に書き出して下さい!と言われたとしたら「間に合ってますんで」と丁重にお断りします。

 

これは、時間が取れないという理由と、ただ頭の中にあるやるべきことを書き出すという単純作業を長時間続けるのに耐えられない、飽きてしまうという理由もあります。

 

細切れ時間を活用

そこでお勧めしたいのが、少しずつの収集を継続することです。頭の中に100のやるべきことがあったら、まず10書き出す。次のタイミングにまた10書き出す。やることは時々刻々と増加しますが、いつか追いつきます。

 

また、タスク管理をする分野を絞るのもありですね。私は仕事に限ってタスク管理をしています。仕事のことだけ、と限ると、案外楽に収集ができる気がします。

 

むしろこれもタスクとする

そして、これは少し勇気が要りますが、タスクの書き出しもタスクとするというやり方があります。私は仕事中にタスクが発生したら即タスク管理ツールに入力します。誰かに話しかけても無視する勢いです(実際は「ちょっと待って下さいねー」と言って入力する少しの間待ってもらいます)。そうすれば、タスクの「書き出し」の時間を作り出すことができます。

 

もし、「20時間」という数字に壁を感じてタスク管理、GTDに踏み込めないでいるならそれは勿体無いことです。細切れにして1つでも良いので、まずは書き出しに取り掛かってみてはいかがでしょうか。

 

「やり方」を変えるだけで自分が変わった

行動療法

例えば、タスク管理ツールを使ってGTDのフローに忠実に今の仕事をやっていけば、そのうち、それが自分な仕事の方法となります。そして、その方法のエッセンスが、新たな仕事に取り組む時の自分なりの方法論となったり、仕事以外での「やるべきこと」への姿勢となったりします。そうすることで、「仕事」や「やるべきこと」を目の前にして起こる、自分の心のザワザワ感を鎮める。これは、ある意味「行動療法」なんだそうです。行動することで、自分の精神状態を良い方にコントロールするというものです。

 

勝ちパターン

言い方を変えれば、自分の勝ちパターンに持ち込めば絶対に失敗しないという安心感を得るための方法論が、タスク管理だということですね。

 

フレームワーク

もっと違う言い方をすると、フレームワークという言い方もありますね。これも、自分が仕事に相対している時に、どのようにその仕事に取り組めば良いかという方法とその順序を表したものです。難しそうに言っていますが、要は仕事のやり方、マニュアルの内容とほぼ同義かと思います。

 

やり方から自分を変える

何かを実行することで自分を変えると言うと、それこそ超常的な何かの力に頼って、根本的に考え方を変えたり、別人格になって聖人君子のような振る舞いをするようになったり、というようなある種の胡散臭さが付きまといます。「自己啓発」という単語に怪しい雰囲気を感じてしまうのも、大概このような思考が自動的に働くからだと思います。

 

しかし、こと仕事の方法、取り組み方といった現実的な色を帯びると、胡散臭さは無くなります。仕事のやり方、フレームワークを学べば、毎日の実務が大いに捗ったり、具体的で目に見える何らかの変化を自分に引き起こします。日々実行する方法論が、自分の思考・中身までそっくり変えてくれる。そんな実感があります。

 

ここはひとつ、地道で地味な作業の寄せ集めではありますが、タスク管理を実行することで、自分の心のありように変化を来すという経験をしてみてはいかがかと思います。

 

奇蹟を起こす教祖にお布施を払うより、ずっと地に足のついた成長ができるんじゃないでしょうか(笑)

障害者就労移行支援施設で講師をします!

縁とはすごいもの

一昨年末から今年にかけて、行動を起こすことの大切さを強く実感し続けています。とっかかりは「声をかける」「やりたいことを言う」「イベント参加のボタンをクリックする」といった、今すぐにでも、誰でもできるようなことです。それが分岐点となって、とても面白い道へ自分を連れて行ってくれています。

 

Twitterで人気の「ひらめきメモ」というアカウントの中の人、F太さんと共に昨年から定期的に開催している「自分は要領が良くない、と思い込んでいる人のための仕事術」も不思議な縁で開催するようになりました。タスク管理界隈の巨人大橋悦夫さんが毎月開催している「タスクカフェ」に参加した際にたまたまF太さんも同席し、自分の発達障害という特徴とそれをタスク管理で克服したことを広めたいと言ったところから始まりました。

 

そして「自分は〜」のイベントをやるためにリハーサルをしようと、かなり前もって会場に行ったところ、HIKARILABの代表清水さんが、同じ会場でセッティングの練習をしていました。同じような目的なので手伝い、「ちなみに何をここでされるんですか?」と聞いたところ、メンタルヘルス系のイベントであることが判明。これがきっかけとなり、HIKARILABで活動なさっている臨床心理士の兵働さんとも知り合いに。

 

そして、兵働さんが所属しているのが、この度私が講師をさせていただく障害者就労移行支援施設「EXP立川」です。

 

今から振り返るとバッチリきれいに点と点が繋がった一本線のように見えます。しかし、点はあらかじめ打っておいたものではありません。まるで誘導されるように、新しい繋がりができています。

 

障害者就労移行支援について

障害者就労移行支援とは、およそこのようなものです。

 

一般企業に就職を目指す障碍をお持ちの方に対し、就労に必要な知識・能力の向上を目的とした訓練や準備、就職活動支援及び就職後の職場定着支援を行う。

 

私が発達障害の診断を受け、就職活動していた10年前は、このようなものは一般的ではありませんでした。多分"無かった"のではないかと思われます。それに類似するものとしては、デイケアとか言われる「障害者が社会に適合するための気づきを与えたり訓練したりする場所」というものがありました。私も1、2回デイケアに行きました。

 

当時の関係者の方には本当に申し訳ないのですが、社会に適合するための訓練というイメージでしかなく、これで本当に会社などで働けるようになるのか?と半信半疑であったことが否めませんでした。デイケアに参加している人たちはあまり「会社」を想定しておらず、この先に就職という段階があるという実感が得られなかったのです。今の自分がどうしたら社会復帰できるのか、自分の特徴に対してどんな工夫をしたら周囲の健常者と渡り合っていけるのかという問いに対しての明快な答えを見つけることはできませんでした。

 

「しくじり先輩」「ガチトーーク」

10年前の私が知りたかったこと、受けたかった訓練内容は前述のようにより実戦的で、自分が会社で働くことを具体的に想像できるようなものでした。そこで、今現在現役の会社員である私が、会社で働けるようになるまでを話し、働きやすくなるきっかけを与えてくれたタスク管理を教えることができれば、10年前当時の私がそこにいたらとても喜んでくれたんじゃないかと思い、この度EXP立川さんと企画して実行の運びとなりました。「会社で働けるようになるまで」を「しくじり先輩」、「働きやすくなるきっかけを与えてくれたタスク管理を教える」を「ガチトーーク」と名付けて行う予定です。障害者の就労移行支援事業の内容としては他に類を見ないものだとちょっと自負しています。

 

これらのことをまとめて話せる酔狂な人はなかなかいないと思いますね(笑)普通ならちょっと二の足を踏むのでしょうが、私はまさにこのようなことがしたかったので、渡りに船でした。

 

私のように、どうしても生きづらさを感じて心が折れてしまう人はたくさんいると思います。そんな人たちに私なりのリカバリー方法を教える、というのは昨年からやっているイベント「自分は〜」の一番伝えたいことでもあり、このEXP立川での企画の本旨でもあります。

 

これを続けることで、1人でも多くの人に社会復帰できるような自信を持ってもらい、実際に普通に働けるようになっていけたらと思っています。

 

割り込みタスクには「急がば回れ」

割り込み仕事への対応

よく誤解されがちなのは、割り込み仕事に多く対応する人は、あまりタスクを記録せずに、パッパッと終わらせるイメージだというもの。違うんじゃないかと思います。私の実感は、日々引き受けているルーチン業務をしっかり記録しているからこそ、割り込み仕事を即時対応できるというものです。つまり、業務を引き受けるたびにチマチマとその記録をしている方が、即対応が可能だ、ということ。

 

すぐやります!

「すぐやります!」と言ったはいいけど、今手を付けたばかりの仕事があるのでちょっとこれを終わらせてから…あ、さらに割り込みの仕事が…と後からドンドン仕事が溜まっていき、元々すぐやると言った仕事に全然手が付けられないということはよくある話ではないでしょうか。

 

本当にすぐ取り掛かるためには

例えば、社長からの緊急案件の依頼がきた場合。会社員ならお分かりだと思いますが、何にも優先して対応しなければいけないですよね。今仕掛かっている仕事のすべてをほっぽりだしてでも、真っ先に終わらせなければいけない仕事です。それができるかできないかは、それまでのタスクのログ(記録)がどれだけあるかが鍵となります。

 

社長からの依頼は、優先順位の急激な変更という説明ができると思います。最優先のタスクを割り込ませることができるということは、その他の仕事を先送りするということです。そのために、他の仕事の納期、進捗を一瞬で俯瞰できて、「先送りできる!」と判断する必要がありますね。

 

まずは自分がボールを持っている仕事がどれくらいあるかを確認します。それでかなり数を絞ることができます。さらに、絞った仕事のうち納期を確認して、先送り可能かどうかを判断し、自信を持って先送りして社長からの仕事を最優先に取り組む、ということになります。自分のタスクを全て書き出して一か所にまとめることが、ひるがえって最優先順位の仕事に着手しやすくしてくれるということです。

 

即対応≠すぐに取り掛かる

即対応ができるということは、言われたら反射的に手を動かしだすということではないということは、以前の自分の比べての実感です。どんな仕事が来たとしても、いったんタスク管理ツールに書き出して、すぐに対応可能であることを確認してからおもむろに着手する。GTDの「収集」「処理・整理」のプロセスを辿った上で実行するという基本的なフローを守ることこそ、安定して即対応することができる自分の土壌を作ることができていると考えます。

捨てないと必ず地雷化して爆発する!

捨てられない人

私は物を捨てられない人です。引っ越しの時には要るものと要らないものを選別して、どんどん捨てていかないといけない。これが全く捗らないんですね。昔に走り書きをしたメモのようなものも、「あー懐かしいなぁ!これはあと20年経ったらもっと懐かしく感じられるだろうなぁ」と考えて、取っておきたくなります。典型的な捨てられない人ですね。

 

ただ単に物が増えるだけであれば害はない(家族からは怒られるでしょうが)のですが、仕事に関してこの特性をいかんなく発揮してしまうと大変なことになりがちです。

 

必ず地雷化する

別に懐かしむ目的で溜めるのではなく、日々数多く降ってくる仕事に対して「これは後で」という判断を続けていると、自然に溜まっていきます。1つ1つの仕事を数分先送るという感覚でいると、いつの間にか仕事の書類の山ができあがる、そんな経験はないでしょうか。

 

そして、そんな山ができあがってしまうともう手を付けたくなくなりますね。すぐに対応しなくて良い仕事だったからとりあえず置いておこうなんて考えてしまいます。私はそうでした。

 

日を追って地雷の威力は増していく

この仕事という名の地雷は、最初は手元で「ポフ…」となる程度の威力しか無く、まだ大丈夫と余裕をかますことができます。しかし、日を追うごとにその威力は大きくなり、まだまだと思っているうちに、手におえる程度の爆発ではなくなってしまいます。これが、自分の感覚だと二次曲線のような急激な右肩上がりっぷりなんですね。この地雷が今炸裂したらどれくらいの威力なんだろうと考えるだけで辛くなり、ますます手が付けられなくなっていきます。そして、最悪のタイミングで地雷を踏まざるを得なくなります。上司から「あれどうなった!?」と叱られてはじめて手を付けるようになり、そのマックスの爆風を浴びることになるという次第です(いやぁ、経験があり過ぎてここらへん筆が進む進む!)

 

すぐに投げる!捨てる!

それを避けるにはどうしたら良いか。分かり切ったことなのですが、とにかく投げられた手りゅう弾はすぐにどこか別方向に投げる、捨てる。これに限りますね。実際に手りゅう弾が飛んできたら、皆さんそうすると思います。これが、仕事になると、その威力を甘く見てしまって、手元に持っておいてしまうんですね。そんなに暖めてどうする。ダメ、ゼッタイ。

 

とはいえ、飛んできた仕事を、何も自分が手を加えることなく丸投げをしてしまっては、自分がいる意味がありません。どれだけ自分が手を加えなければいけないかも判断しなければいけないですね。

 

そのためには、その仕事を段取りに分解して、自分が他に投げられるまでの最低限のことを明確にし、そこまでやってすぐにパス!というプロセスが必須になります。タスク管理は、この段取りへ分解するプロセスで自分を助けてくれる強力な助っ人です。「もう投げていい?いいの?」と訊くと、「いいよ!」とタスク管理はGOサインを出してくれます。この安心感、とても心強いです。

自分を責めない自分を手に入れた話

自分を責める癖のある人

良い人ほど反省をしっかり行いますよね。反省してスッキリ!という人はいい方で、反省しだしたらスッキリせずにクヨクヨとずっと考える人もいますね。私はそういうタチでした。自分を責めることこそ自分を成長させる正しい道だ!と信じて疑いませんでした。自分を責めるということは、自分で自分を傷つけるということだと気が付いたのは、満身創痍になってからでした。

 

ショック療法

まずはその自分の悪い癖を直さないといけないんですが、なかなか直るものではなりません。そのために自分がしたことは、ある意味ショック療法のようなものでした。自分が悪いと思うことをあえて行う、ということです。「これくらいやらなければいけない」というレベルがあったとしたら、その2割引きくらいまでしかやらない。「やった方が良いのではないか」と思ったら、それはやらない。そんな自分を肯定するために、「自分はすごいから~しちゃったよー」「もう完璧にやってやったぞ!」などとあえて言う、ということもやりました。場所は選びますが。

 

こうして、無理矢理にでも自己肯定感を上げていくというのをやってみました。もちろん、口ばかりで何もしないのではなく、2割引き程度の範囲内でやった実績は重ねていきます。仕事がうまくいかずに休職を余儀なくされた自分は、その両輪で自信を取り戻していくことができました。


ひたすら我慢

この自己肯定感を上げるという方策ですが、とても我慢が必要でした。「やってあげればいいのに」と思う自分を「やっちゃだめだ」ともう一人の自分が諌めます。その繰り返しになるので、大きな違和感を持ちつつ毎日を過ごしていました。その違和感を払しょくするのには、ある程度時間が必要でした。ひたすらに我慢して、やっと「必要以上に自分を責めない自分」にかなり近づくことができました。


ただ、迷いも……

「できました」と偉そうに言っていますが、そうなったらそうなったで今度は「逆に行き過ぎていやしないか?」と思わないでもありません。会社員であれば、社内の人との協力は不可欠です。会社にいる限り、必要な手助けをすることと不要な巻き込まれの境を峻別するのはとても難しいですよね。今までは、必要以上に巻き込まれ体質であったので逆張りをしたのですが、これからは逆の逆張りをしなければいけないかもしれない?などと考えたりもします。いっそのこと、どちらかに振り切れば良いのかもしれませんが、それは避けたい。「どっちなのか」と常に考え続けるしかないのかもしれません。

 

自分を責めないことは確かに大事ですが、偏り過ぎないよう考え続けることも必要なのかと思います。