ForGetting Things Done

「水のように澄みきった心」で頭空っぽに。

日常を笑うものは日常に泣く

♪なんでもないようなことが
日々の何気ない価値を大事に生きましょうね、といった話ではありません。私はその考え方には大いに賛成します。しかし今回のテーマは違います。

 

日常的で些細な行動こそ管理が大変なこと、それが崩れると大コケしてしまうということがテーマです。

一般的には、電話をかけるといったタスクや、買い物などの用事はあまりにも日常的な作業なので、整理システムも同じようにカジュアルで単純なもので事足りると思っている人が多いようだ。だが、実際はその逆である。行動レベルの「やるべきこと」は量が多くて変化のスピードも速く、カレンダーやTo Doリストのように単純なツールでは対応しきれない。
(デビッド・アレン「ストレスフリーの整理術 実践編」より)

日常的だから管理するまでもない?
あまりにも小さく日常的すぎて、こんなものタスク管理するまでもないと思っていやしませんか。しかし、そのような小さなほころびから事態はだんだん大きくなっていくものです。

 

えてして大きなミスの発端は「この程度のこと、後でいいや」と放置して地雷化してしまう経験が多かったです。しかも、なぜか学習しないで繰り返してしまうんですね。

 

その負の連鎖を断ち切るためには、思い切って「そこまで書き出すの?」というくらい、仕事の記録を詳細までツールに入力するようになりました。

 

タスク管理ツールへ記録する手間は確かにありますが、ツールへ入力しなかった場合に負っていたリスクを考えると、とても「タスク管理ツール更新の手間」を面倒臭がってはいられないという、なかば強迫観念のようなものに追い立てられるような気がしています。

 

日常業務だからといっておろそかにして笑っていると、とんでもないところで足元をすくわれて泣いてしまう、そんなことはよくあるものです。

あなたの大切な資産は?

「寄せ書きブログ」企画に参加

ツイッターで見た、ぞのさん(@z02n05)発信のこの企画に参加することにしました。「あなたの大切な資産は?」というテーマでブログ記事を書くというものです。

 

自分の大切な資産?

このブログの題名にもなっているGTDを運用できていることが、私の大切な資産の1つです。GTD本の邦題は「仕事を成し遂げる技術」と仕事に限っていますが、この考え方が役立つのは仕事だけではないのです。

 

「気になっている『やるべきこと』を書き出す」

 

「その『やるべきこと』について、望んでいる結果を明確にする(言語化する)」

 

「その結果のためにするべき『具体的な次の行動』を明確にして実行する」

 

これらを、ナントカの一つ覚えのようにやる。習慣化できたら、自分の勝ちパターンになります。

 

 しかも!

この勝ちパターンは、形を変えて他の領域にも通用します。びっくりするくらいに酷似していたのは、発達障害者が社会性を習得するための支援プログラム"Teacch"の「構造化」という考え方です。

 

また、障害者支援とは全く別の領域、ビジネスの世界で有名なビジネスアナリシス知識体系ガイド ( BABOK:A Guide to the Business Analysis Body of Knowledge) にも、GTDは共通する点があります。

 

GTDを運用しているだけでここまでの地平が開けるのですから、やっていてよかった!と思うことしきりです。私にとって、大切な資産だと言って良いと思います。

 

資産だから守るべき?

この資産、お金や不動産と違って、使うと減ったり時間が経ったら価値が下がったりしません。貯めることはできるし、使っても減らず、使い続ければその価値を高めることもできます。

 

昨年から活動している「自分は要領が良くない、と思い込んでいる人のための仕事術」や障害者就労移行支援事業所での講座などのような、以前の私と同じく社会に生き辛さを感じている人のために惜しみなく私の資産を注ぎ込み続けようと思っています。

「机の上が汚い人は仕事ができない」という理由

汚い机の上を見たとき
何となく一般的な了解事項になっていますが、机の上が汚いと仕事ができないとはよく言われます。気になっていなければ、机の上がキレイであろうとあるまいと関係ありません。しかし、殆どの人は、乱雑に書類が置かれている机を見ては、「あ、そういえばあの件どうだったっけ?」と考えます。無意識に、頭のメモリーが占領されているのです。

 

常にささやいてくる小さいおっさん
以前、妖精のように小さいおじさんを風呂場で見たという不思議発言をした女優さんがいましたが、あんな感じのちっさいおっさんがあなたのそばにもいるとお考え下さい。

 

そんなちっさいおっさんに「おい、あれやらなくていいのか?」「これはまだ持ってていいものなのか?本当か?」と始終まとわりつかれたら目の前のことに集中できないですよね。そのくらい気になる(ウザい?)ものです。

私のセミナーでは、この辺りを理解してもらうために次のようなエクササイズをよくやる。会場に持ち込んだもの、とりわけ財布やシステム手帳、バッグや書類カバンを取り出してもらい、その中に、そこにずっと入れておくべきではなのに数時間以上入っているものがないか探してもらうのだ。(中略)イライラを増やす元になっていたものが、ここで少なくとも1つは明らかになったわけである。そんなとき、私はそのことを指摘し、それらが小さな声で「捨ててくれ!」とあなたに訴えていたものだと説明する。
(デビッド・アレン「」より)

ちっさいおっさん「いいの?」
机の上と頭の中は同じです。頭の中に何か余計なものに占領されると、目一杯その領域を使って作業をしたいのに、あれやこれやが目に入って集中できないし、心ゆくまで作業ができない。「あれ?備品発注しなきゃいけないんじゃなかったっけ?いいの?」とか「今日中にお金をおろしておかないと手数料かかっちゃうよ?いいの?」とか、始終ささやいてくるわけです。ちっさいおっさんが。

 

そのささやきをなくすために、机の上や頭の中から余計なものをなくします。だから、外部ツールに書き出すことが必要になります。私は目に見えないちっさいおっさんがいなくなるように努めています。

30数年前のGTD

荷物を詰め込んだカバン
こちらの一節を読んだとき、小学生の頃の思い出が蘇りました。

リュックやカバンに大量の情報や資料を詰め込んで歩いている小学生を目にすると、私はいつも疑問に感じてしまう。この子たちは相変わらず「気になること」だけを押しつけられて、それを適切に処理する方法を教えられていないようだ。
(デビッド・アレン「ストレスフリーの整理術 実践編」より)

 

私です。

 

厳密に言うと、小学生学期最終日の私です。

 

あまりにも忘れ物が多く、先生と両親との連絡帳には「今後、忘れ物はしないよう、しっかり言い聞かせます」という親のコメントがそこかしこにありました。しかも、肝心のその連絡帳を忘れるという体たらく。毎日何かしら忘れてきて、それでいて「ただいまぁ!」とご機嫌で帰宅する私を、親はどう思っていたのか。さぞ悩んだことでしょう。

 

アレンより早くGTD「収集」を実践?
学期中であれば翌日取りに行けば良いのですが、夏休み前などはそうはいきません。親はそのために私に策を授けました。

 

「机の中のものを全部入れて持ってこようか!」
「うん!(笑顔)」

 

そして、机の中にある教科書やノート、文房具、靴下の片方や体操着まで(!)全部をとにかく1つのカバンに入れて、重くなったカバンを一生懸命持って帰ったことは、今でも覚えています。「これを持って帰ったら、お母さんが褒めてくれる!」との思いで玄関を開け、予想通りに「重いのによく持ってきたねぇ!偉いねぇ!」と褒めてもらい、私はご満悦でした。

 

これ、GTDの「収集」ですよね。とにかく気にかかるものを全部一所に集める。約30年超前の出来事ですから、もしかしたらデビッド・アレンよりも先にGTDを実践していたのかもしれません。

 

スッキリ感
カバンに全部を詰めて帰った時、親に褒められた嬉しさと共に、通常では得られないようなスッキリ感がありました。これはある意味GTDが提唱する「水のように澄みきったこころ」なのではないかと、今思い返して実感しています。

 

思い出せば思い出すほど、当時の私の親の苦労が分かってきて、ああ!と頭を抱えたくなる「収集」の記憶です。

ついやってしまう「安請け合い」

「社員の駆け込み寺」
今思い出すと恥ずかしいのは「私は会社の駆け込み寺として、何かあったときに頼られる存在となり、屋台骨を支えてきました」といった発言を、転職の面接でしていたことです。いやぁ、今書いていてもこそばゆい。

 

実際、そのような立場で頑張っている人はいると思います。総務と呼ばれる人たちですね。その方々を馬鹿にするつもりは毛頭ありません。私も総務でした。総務として自分は何ができるかを考えたら、「多少無理な要求でも頑張って応えてこその総務」「総務はNOと言わない」といった結論を出したのです。これも悪くはないと思います。

 

では、何が恥ずかしい要素なのか。そんな頑張っている自分に酔ってしまい、キャパシティを超える業務負荷がかかってもなおウヒヒとヒロイックな快感を覚えていたところです。対応しきれないほどの仕事を抱えて「もう忙しくて死にそうだよォ」と恍惚の表情で話すタイプの人いますね。あれです。結果、抱えている仕事をポロポロ取りこぼして迷惑をかけているのに、本人は「そんなオレってカッコいい」と思っていたりします。周囲でフォローしなければいけない人たちが割を食う状況ですね。つまりは、大迷惑なんです。

 

自分の満足感を爆上げする「安請け合い」
依頼を引き受けると相手は自分に感謝します。そこに充実感を覚えます。多少業務負荷がかかっていても引き受けてくれる人には、余計に感謝しますよね。相手の役に立っている充実感が、続々と自分に安請け合いをさせ続けます。甘美な安請け合いの快感が、自滅への一本道になってしまいます。

現代社会に暮らすほとんどの人が、(少なくとも心の中に)自分の能力を圧倒的に上回る「気になること」を抱え込んでしまう(中略)。
自分がやるべきことのすべてを把握している人はほとんどいない。そのため自分があとどれだけやれるのかを把握しきれずに、一時的に自分の能力を超えた約束をしてしまうのだ。こうして安請け合いをしてしまった約束はたいていの場合、後々のトラブルにつながっていく。
(デビッド・アレン「ストレスフリーの整理術 実践編」より)

「こうすることが正しい」という思い込み
この甘美な安請け合い、当人は「こうすることが正しい」と思っているから始末に負えないんですね。このまま引き受け続けたらいつかパンクすることは分かっているのですが、まだ大丈夫、まだ大丈夫とズルズルいってしまいます。

 

「正しくある」ことをやめる
「正しい」ことを守って精神的に参ってしまっては元も子もありません。正しくないこと__引き受けない、つまり「断る」こと__を励行せねばなりません。「え、だって……」とこれを読んで思った方、もしかしたら崖から落ちる瀬戸際かもしれません。正しさにも適量があります。用法、用量を守ってお使い下さい。

 

用量を守るためには、自分の抱えている仕事の総量を把握することが大事ですので、ここでもやはりタスク管理は必須だなぁと、我が身を振り返って思う次第です。

無事終了!第13回&14回「自分は要領が良くない、と思い込んでいる人のための仕事術」

感謝御礼無事完了
去る9月24日、無事に「自分は要領が良くない、と思い込んでいる人のための仕事術」が終了しました。参加された皆様、おかげさまで良い会ができたとおもいます。

www.kokuchpro.com

(※すでに終了しています)

今回もこくちーずプロの告知ページは満席となり、多数の方にご参加いただき、盛況でございました。

 

ワークを充実させました
今回もまた前回からパワーアップし、ワークを増やしました。以前は、仕事や日常でやるべきことをTODOリストのように書き出す「タスクの収集」と、収集したタスクを細かい手順に分けて自分専用のマニュアルのようなものを作る「タスクの分解」のみでした。

 

今回は「タスクの分解」ワークを3つに分けました。1つ目は以前と同じ、収集したタスクを分解すること。2つ目は、具体的な状況を想定し「退社するために行うタスクの分解」を皆で行うというもの。3つ目は、1つ目で分解したタスクの手順それぞれに着手(予定)日と締切日を入れるというものでした。

 

「タスクの分解」と「日付を入れる効果」によってよりタスクが進むことをご理解いただけたのではないかと思っています。

 

参加者の方々の反応に助けられる
大勢の人の前でしゃべった経験がある人はお分かりだと思いますが、聞いている人がうんうんと頷いたり、ニコッと笑ってくれたりするだけで嬉しいものです。それだけでテンションが上がって、口も滑らかになったりします。

 

本当はそれじゃいけないことは分かっています。ですが、正直、よい反応があると嬉しくなって喋りやすくなることは確かです。今回、全体的に笑ってくれたり、頷いてくれたりする方が多くいらっしゃいました。とても楽しくお話をすることができました。

 

質問も高度に
ワークの種類を多めにしたからか、より深く参加者も理解していただけたと思います。質問の内容が、すでにタスク管理を運用しているのと同じくらいのレベルでした。例えば、「タスク分解」自体についての質問がくるのではなく、タスク分解の理解を前提として、「分解の途中の過程が分かっていなかった場合は、どのようにツールに記入すれば良いですか?」といった、ツールの使用を想定した具体的な質問が飛んでくるような、教える側としてはとても嬉しい内容でした。

 

実は根はメンタルにある?
タスク管理の問題だと思っていることが実はそうではなく、自分の考え方にある場合もありました。「たくさんタスクがあってどう効率的に処理すれば?」という問題を抱えていたとします。それをどれだけ速くこなすかということを考えていたところが、「まず引き受けてしまう自分の考え方を変える」という話になったりしました。

 

タスク管理というと小手先のテクニックで仕事をパッパッとうっちゃる、といったイメージがあるようです。しかし、その実は本人のメンタルと密接に関わっているものであることを実感しています。

 

次回は関西へ!
次回は11月4日(名古屋)5日(京都)にて行います。ついにこのイベントも東京を離れて関西へ行くことになりました。せっかくですので、こちらをご覧の関西にお住まいの方、告知開始しましたら是非お越し下さいませ!

企業勤めのイチ法務マンが、個人的にやっている活動を会社に持ち込み半日で事業化した話

好きでやっていた社外活動を、会社の業務として行うことになりました。

 

2種類の社外活動とは

ここで言う「社外活動」とは、ツイートでも書いているようにいわば副業的なものです。大別して今のところ2種類です。①個人事業主の方や他の法人に勤めている方と共に、発達障害当事者(と思しき方)向けのイベントを開催し、②障害者就労移行支援事業所で講師をしています。

 

社外活動を行う理由

私の散々しくじってきた経験を他の方のこれからに役立てて欲しいというのがその理由です。

 

私は、発達障害という特性を持っています。それゆえ、仕事を進める上で要領が悪かったり、不器用さが裏目に出たりします。気にせずノホホンとできれば良いのですが、さにあらず。「なんて自分はだめなんだ」「こんな自分は周りに迷惑ばかりかけている」「自分なんて必要とされていない」と、勝手に落ち込んで仕事ができなくなってしまう、の繰り返しでした。

 

発達障害のうちADHDの不注意優勢という診断を受けた私が持つ特徴は、ケアレスミスを連発する、抜け漏れを発生させる、段取りをつけることが苦手というものです。特性を克服すべく頑張りましたが、無理だと悟りました。

 

30代半ばで、すでに結婚もしていた私にとっては、これからの社会人生活の道が閉ざされたような絶望に襲われました。ひとしきり落ち込んだあと、自分が足りない部分を何かに頼るしかないと諦めました。

 

しかし、それが良い意味での開き直りになりました。結果、仕事のやり方を見直して自分独自の方法__それが一般にも通じる「タスク管理」という手法そのものだったのですが__を編み出し、会社員としての仕事がまともにできるようになりました。

 

ざっと書きましたが、発達障害特性を持つ私が過去どんなしくじりをして、それをどうやって乗り越えて、現在どんなタスク管理で仕事をしているか/するようになったかを、同じような悩みを持っている人たちにお話ししたいと思い、社外活動でイベントを開催し、講師をしています。

 

上司との面談で今後のことを考えた

先日、今後の私のキャリアについて上司と面談をしました。社外活動のことを知っている上司は、事業化できればいいねと言ってくれました。

 

事業所の理事さんへ相談

素直な(あるいは、空気が読めない)私としては「なるほど、それはいいかも」と思い、私が月一で講師をしている事業所の理事さんへ相談。月一ではなく週一で、会社の仕事の業務として請け負うという提案をしました。結果、良い返事をいただくことができました。これがある日の昼休み終わり頃の話。

 

上司、そのまた上司へ相談

早速上司へ相談。「いいんじゃない?」とすんなり了解。そのまた上司の執行役員も「いいと思う」との返答。理解ある方々で助かります。午後の業務も半ばくらいの時間でした。

 

社長に相談

忙しい会議の合間を見つけて社長に話しかけました。障害者就労移行支援事業所での週1講師活動を会社の業務として認めてほしいと相談。社長も興味を示してくれました。私が発達障害の診断を受けていることも知っているので、熱意をもって私が社外活動をしていることも理解してくれていました。

 

ただ、ここまで読んできて皆さんもきっとうすうす勘付いていることでしょうが、「今までの業務の量は同じなのに、5日分を4日でやれるのか問題」を指摘されました。

 

私には奥の手がありました。私を立ち直らせるきっかけとなった「タスク管理」は、業務の無駄な時間を排して生産性を上げてくれます。おかげで私はほぼ毎日定時退社をしています。5月から7月にかけての累計残業時間が5分であること、緊急時には電話等で対応することを説明しました。

 

結果、社長も快諾。夕方の会議が始まる直前のことでした。半日で社外活動を業務にすることができました。できるだけ淡々と書いていますが、気持ちは数日間飛び上がって喜び続けている(!)状態です。

 

私なりの働き方改革

サイボウズ社が提起した「働き方改革、楽しくないのはなぜだろう。」に対する私なりの答えが出せたような気がします。社外でやっていた「楽しいこと」を社内に持ち込んでみてはいかがですかというものです。

www.buzzfeed.com

 

ただし、かなり限定的な条件のもとでのみ可能なものです。私と同じような失敗体験をしないと再現は難しい。あくまで、こんな形の働き方もあるのかな、くらいに思っていただければと思います。

 

口頭でオーケーをもらったので、上司や社長の気が変わらないうちに契約を締結し一刻も早く当該業務を開始するべく、急ピッチで社内事務処理を進めております。

 

弊社はごく普通の中小企業です

私の所属する会社は、業務の多様性を積極的に認めるとか、リモートワークを推進するとか、そういった志向性はありません。ごく普通の中小企業です。ある程度自分の業務の管理はしっかりした上での話ですが、そんな会社でも、割と思い切った働き方改革をやっている人間がいるということを是非知ってほしいです。

 

さらに、よく理解してくれる上司や社長がいるなら、部下や従業員はきっと会社が好きになるということも合わせてお伝えしたいと思います。