やりたくない仕事は、努めて親切に実行する。
先日、次の一手すら手探りになってしまうような、見通しのつかない仕事をしました。厳密にいうとまだ継続中ですが、少し完了までの光明が見いだせたような状態なので、ちょっとホッとしています。
どんな仕事?
こんな仕事でした。
- 昔の担当者がスタンドプレイでやってしまっている
- それが今になって炎上する
- しかもそのプロセスの記録が残っていない
- 関係者全員が退職済み
あるあるですね。全然あるあるじゃないと思った方は、すごくきっちりした会社にお勤めだと思っていいです。
避けたい仕事
次に何をすれば良いかも熟考しないと分からないような仕事でしたので、当然見通しがつきません。見通しがつかないということは、いつ終わるともしれぬことをしなければならないという、非常に不安な状態に陥ります。
私は、とにかく仕事上の不安をできるだけ無くしたいと思っているので、そんな私にとってできれば避けたい仕事が回ってきてしまいました。
そんな私がとった行動
避けたい仕事なので避けたのかというと、そうではありません。逆に、真正面から突っ込んでいきました。正直、突っ込む前は非常にブルーな気分でした。しかし、何かやれば何かが開けると思って、やれそうなことから手を付けていき、それを周囲に相談し、その結果得られたヒントをもとにまたやれそうなことに手を付けて……ということを繰り返しました。
すると、少しずつヒントとなるものが見つかり始め、もしかしたら大炎上を免れるかもしれないという状態になりました。町人に話しかけまくって色々なところを捜索するドラクエをやっているような気分でした。
行動するときに気を付けたこと
そのときに気を付けていたことがあります。なにせ上に挙げたような炎上(しかかっている)案件なもので、自分も含めて誰もやりたくない、関わりたくないのです。だからこそ、その進行役・整理役をかってでてみました。
というのも、この実験のことが頭にあったからです。
実は、全従業員のうち19人には事前に研究者から協力をお願いして、「意識して同僚に親切をしてあげてください」と頼んでおいたんだそうな。会社全体の「親切」の総量を増やしたら、どんな変化が出るかをみたわけですねー。
(中略)さて、1か月でどんな違いが出たかと言いますと、
- 親切にされた側もした側も、同じぐらい「オートノミー」が向上(仕事への自信がついたってことですな)
- 親切にした側は人生と仕事の満足度が向上し、気分の落ち込みが減少
(中略)
さらにこの研究で新たに確認された事実としては、
他人から親切にされた人は、そのあとで他人に親切にする確率が、コントロール群の3倍も高くなった
ってあたりはナイスなポイントっすね。「親切」はその場かぎりのものではなくて、どんどん組織全体の幸福の総量を増す作用があるんだ、と。
行動した結果は?
これを念頭にやってみたところ、まず自分が前向きに取り組めるようになりました。モヤモヤした気分がかなり解消され、相談する相手からは「あまり関係ない立場なのに、巻き込んじゃってごめんね」とありがたいお話もいただきました。実験通りの結果!たった一日でこの即効性!ちょっとびっくりでした。
このとき、特に親切な態度で行動したわけではなかったのですが、炎上しかかっている案件に首を突っ込んで交通整理をするという行為自体がむちゃくちゃ親切なので、このような結果が出たのだと考えています。
最後に
やりたくないタスクに着手するにはどうすればよいか?という質問をタスク管理の講座などでよく受けます。今回の経験は、その答えの1つになるかなと思いました。やりたくない仕事ほど関係者に親切にするとだんだんやりたくなさが減ります。やってみる価値は大アリです。
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それ、本当にあなたのタスクですか?
先日、別の部署の方から私の同僚に相談がありました。隣で聞くとはなく聞いていると、あれこれと四苦八苦しております。私はそれを一発で解決できる方法を知っています。あまりに時間がかかるようであれば教えてあげようかと思っていたところ、その方々は別のやり方で解決しました。
ただ、横でその方々が四苦八苦している最中は、「こうすれば良いですよ」と言いたくてしょうがなくて、悶々としておりました。「あー、また駄目だったか」「もう一回やってみますか」と試行錯誤を繰り返しているのをただただじっと見守るのは、忍耐力が必要ですね。
自分のタスクにしてしまうひと
この考え、この感覚は、タスクの断捨離とは対極にあるなあと思いました。自らタスクを引き寄せてしまうのです。この場合は、すぐに「いや、このやり方なら一発でできますよ!」と私がその方々のところにいって手伝うイメージです。
この欲求はかなり大きくて、「やってあげている」という感覚というよりは、「自分がやってあげなければ」「これこそ自分がやるべきことだ!」という感覚です。つまり、自分のタスクとして把握してしまうのです。
こうしてタスクは積みあがっていく
押しつけられるタスクが多すぎて飽和状態になるパターンももちろんあると思いますが、このように「自分でタスクを多くして爆発してしまう」というパターンも一定数いるのではないかと思っています。
私がそうでした。他の部署でやり漏れた仕事を率先して拾うのが総務だ!と考えて、そこらじゅうに落ちている業務タスクを拾って集めていました。そういえば「総務は会社の駆け込み寺です!」と面接の自己PRで言っていましたね…(遠い目)。
そんな人にとっては自分で引き寄せた(他の人がやるはずだった)タスクも自分がやるべきタスクに変えてしまうので、その結果タスクの量が抱えきれないほど多くなっても、「自分で引き寄せなければよかった」とは思わないことが多いです。傍から見たら「自分で自分のやることを増やしている」のが一目瞭然だったとしても、です。
自分でタスクを増やしておいて、それに押し潰されるなんて、どうしようもないですよね…(過去の自分を思い出しつつ)。
でも、そんな人も必要だったりしますよね
ここまでの内容だと、「だから、他人のタスクは見て見ぬふりしましょう!」という結論に行き着きがちです。私自身、タスク引き寄せがちな性格なので気を付けている面は確かにあります。ただ、全員が全員、「余計なタスクは引き寄せないぞ!」と考えている職場を想像してみてください。ギスギスした雰囲気この上なしになるような気がしませんか。
組織やチームで協同して作業をするときは、ある程度引き寄せ体質の方が人間関係も含めてうまくいくことが多いと思います。「そんな人」は必要なんです。
大事なのは「これは何か」
要は、常に「これ、本当に自分がやるべきタスクなのか?」と問い続けて、その上で引き受けるかどうかを判断する姿勢を持つことが大切なのではないかと思います。
GTDでは、やるべきことを把握したら「これは何か」と自らに問う「見極め」というステップがあります。「これは何か」と問うた結果タスク化しないという判断も大いにありえます。
「自分はこれ知ってる!やってあげる!はい!」と衝動的に動くのではなく、「ちょっと待て、これって自分が手を出すべきことなのか」と「見極め」ステップで自問することによって、自分がやる必要がないタスクを引き寄せないで済むことができます。
GTDのステップに乗せるようになったおかげで、自分の衝動性をある程度抑えることができるようになりました。「これ、本当に自分のタスクなのか?」と問える自分になると、本当に自分がやるべきタスクに集中することができ、無理せず無駄なく仕事ができるようになるのではないでしょうか。
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「希望」を語るリーダー、「見通し」をつけるタスク管理
私は、革命のファンファーレを読んで以来、キングコング西野亮廣さんのファンです。
そんな西野さんが更新したブログ記事「日本のリーダーは希望を語れ」で考えました。
どうやら、人という生き物は、希望が見えた瞬間に頑張れるようです。
小難しい言い回しをすると、人は、希望が見えた瞬間にボジティブ方向で運動が安定し、逆に、希望を失うとネガティブ方向で運動が安定してしまいます。
(中略)
「もしかすると、いけるかも」と思ってもらうことが大切だと思うので、皆様が期待できるぐらいの努力を、そして結果を出し続けていきたいと思います。
リーダーになるかどうかはともかく、「もしかして、いけるかも」という希望が見えると人はポジティブ方向に動き出すという力学は肝に銘じたいです。
「希望」とまではいかなくても
希望を見出すという言葉には、壮大な夢を実現するような距離感を覚えます。もうちょっとスケールダウンして「見通し」と考えると、ちょっと身近に思えないでしょうか。
自分がタスク管理ツールを使いはじめて安心感を覚えるようになった原因の1つは、「このタスクは、このプロセスを経れば達成できる」ということが可視化された点でした。完了までの見通しがつくと、現在地とゴールまでが一気に地続きになり「いけるかも」と思えるのです。
「希望」のようなスケールの大きい言葉にはリアリティを感じなくても、「見通し」と言い換えることで、この「力学」は作用しやすくなると感じています。
GTDと「タスクペディア式」の違い
GTDでは、「次にとるべき具体的な行動」のみを書き出せば良いとしています。それに対して、タスクペディア式タスク管理術では、可能な限り「タスク完了までのサブタスクを仮でもいいので全部埋めよう」と言っています。この違いは、「見通し」がつくことを重視するかどうかです。
タスクペディア式は、自分なりにでも完了までの順路設定をすることで、「自分、このタスクやれるかも」という見通しがつく安心感を得ることを重視しています。GTDでは、「とにかく次の一歩を設定しよう」と、少しずつでも前に進むことを重視しています。
どちらも大事ですが、私は見通しをつけることで得られる安心感が欲しくて、とにかく完了までのサブタスクを全部入れることが多いです。
TODOリストが挫折する理由
この「力学」を反対解釈すると、人は見通しがつかないとタスクを完了する方向に動かないということになります。タスク名だけを書き出しただけのTODOリストに挫折しがちな理由がここにあります。
タスク名だけ書かれていると、ゴールだけ示されてそれまでの順路が分からないので、ゴールにたどり着くという見通しがつきづらいです。そうなると、タスクを完了することに対してネガティブになり動かなくなります。リスト上にずっと残るタスクがどんどん増えていき、見るのも嫌になり挫折します。
日々のタスクをこなすには、まず「見通し」
「もしかして、いけるかも」という希望が見えると人はポジティブ方向に動き出すという力学を働かせるためには、タスクの目的を明確にして、そこに至るまでのサブタスクを(仮でもいいので)埋めて見通しをつけるというプロセスは大事かもしれません。
希望を語って人々をモチベートするリーダーと、見通しをつけてタスク完了しやすくしてくれるタスク管理。どちらも心強い存在です。
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「集中できる環境を作る」について
先日参加したこちらのイベントで、一点集中(シングルタスク)する工夫について話し合う時間がありました。
私も参加しています! https://t.co/AzmZkodin7
— 小鳥遊 (@nasiken) 2019年5月27日
特に、気が散りやすい特性を持ちがちな発達障害ADHD当事者にとっては、不要な視覚・聴覚情報が入ってこないようにする工夫は大事です。
GREEの特例子会社「グリービジネスオペレーションズ」は、周囲についたてを設けたり、ヘッドホン着用を認めたり、休憩スペースを作ったりと、障害者が働きやすい環境を作っていることで注目されています。
会社における集中できる環境づくりですが、グリービジネスオペレーションズのように、まずは会社がそのような環境をつくることが多いです。障害者雇用で雇用側が負う「合理的配慮義務」というものです。
ただ、身体障害に比べてどんな配慮をすればいいかが分かりづらいのが精神障害、特に発達障害です。車椅子使用者であればエレベーターがあったり段差をなくしたりすれば良いです。対して発達障害当事者は、どうすればいいのかが見た目では分かりません。本人すら分かっていないことが多いのです。
そこで、普通の就業環境でとりあえず働いて、何か不都合あったら配慮するから教えてほしいと、会社側は障害者雇用で働く発達障害当事者に伝えることになります。
ただ、先ほど書いたように、どんな配慮が必要なのか本人は分かっていない、配慮を受けることに負い目を感じて言い出せないといったことが、自分の場合はありました。
結局、配慮が欲しいと思ったときには精神的な負荷に耐えきれなくなってしまいお休みをいただく必要がある状態になってしまいました。
そこで、まずは自分が働きやすい環境はどういったものかを考え、それを自分でつくるのが確実だと考えるようになりました。具体的に言えば、自分にとっては GTDによるタスク管理ができるツールの存在がそれにあたります。
タスク管理が厚労省から発表されている「合理的配慮事例」の1つだったという話を、こちらの記事でしています。
個人差はあるかと思いますが、今の自分にとってはついたてやヘッドホンのようなものの必要性はさほど感じていません。
目に留まったものや耳に入る音に集中力が持っていかれやすい特性は依然としてありますが、まずはタスク管理がしっかり運用できていることが、結果的に合理的配慮相当の環境を作り出しています。
その他、例えば電話中に隣の人が喋り出したら容赦なく耳に指を突っ込みますが、それはあらかじめそうしますのでご容赦くださいと言ってあるので問題ありません。
こうした形で自分発信で集中できる環境を作ることができれば、周囲で騒がしく話をしていても、メール着信通知が画面に出ていても仕事に破綻をきたすほどではないな、というのが実感です。
自分の家で一人で仕事をしているのであれば、自分が働きやすいように環境に手を加えられます。しかし、会社のような共用のスペースだと、なかなかそうはいきません。
少なくとも、私と同じような特徴を持っている方であれば、タスク管理は「自分でできる合理的配慮相当の環境づくり」になります。
以上、ご参考までに。
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「時間を創り出す」ことができない、と思い込んでいる人のためのタスク管理。
引き続き、こちらの本を読んでいます。
SINGLE TASK 一点集中術――「シングルタスクの原則」ですべての成果が最大になる
- 作者: デボラ・ザック,栗木さつき
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2017/08/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ときに、こんな話を聞きました。
時間を創り出すことを易々と諦めてしまう人がいる。やることが増えて負荷がかかってくるとすぐに「できない」と放棄してしまう。
「時間を創り出す」の誤解
「時間を創り出す」という言葉に対して「それは無理」と思っているから、すぐに「できない」と諦めるのではないかと考えます。
創り出すという言葉から、無から有を生み出すようなイメージがあるのではないでしょうか。そう考えたらハードルも高くなって、それは無理だと考えるのも当然かと思います。
そもそも時間は自分の手でつくりだせるものではないですね。ただ与えられて消費するだけのものです。寿命100年の人がいたとして、「うおおおおお」と気合を入れれば150年になるかというと、そうではありません。
「時間を創り出す」は具体的にいうと、他のことに費やしていた時間を別の目的のために振り替えることではないかと思います。
時間の「振り替え」をするために
時間の「振り替え」をするためには、次の2つのやり方があると考えます。
- 元の目的にかかる時間を短縮して余った時間を別の目的に振り替える
- 元の目的に時間を費やすことをやめて別の目的に振り替える
1.は、無駄を省いて効率化を図ることであり、2.は、やるべきかどうかを自問してタスクの断捨離を図ることです。
それぞれについてさらに深堀りをしていきたいと思います。
1.無駄を省いて効率化
1.については、タスクの分解で着手するハードルを下げて着手できずに思考停止していた時間をなくすことであり、ツールに情報を一元化することであちこち探していた時間をなくすことです。
また、神経を使うタスクをできるだけ早い時間帯に行うことでより速く実行できるようになったり、「タイムシフト」という集中と休憩を交互に繰り返す方法を採りいれてタスクの実行速度を速めることも、効率化の1つです。
2.タスクの断捨離
2.については、そもそもこのタスクをやるべきかと、タスクに着手する以前に考えることが大事になります。「このタスク、やらなかったらどうなる?」と考えると、案外自分が思い込みで行動していたことに気が付いて捨てることができたりします。GTDの「見極め」ステップでは「これは何か」と問うことになっています。その問いによって、ただの参考資料になったり、捨てるという判断をします。
例えば、上司の思わせぶりな「これ、他社の業務改善事例な」と言われてポンと資料を渡されたとします。「はい!当社もこのとおりに業務改善を行います!」と約束してタスク化するも良し、「ありがとうございます。参考にさせていただきます」とタスク化しないでキャビネットにしまい込むのも良しです。
タスクが詰め詰めになっているときには、後者の策を採るのが良い場合が多いですが、いずれにしても「これは何か」「やらなかったらどうなる」を考える癖をつけておくと良いです。タスクの飽和状態を避けることができます。
また、2.の例として、GTDには「週次レビュー」という言葉が登場します。上記の「見極め」を既存のタスクにやり直すことです。あるタスクが手が付けられずに放置されていたとき、放置されても大丈夫だったという事実があります。なら、断捨離の対象にしても問題無い可能性が高いです。
最後に
時間を創り出すためには、まず「時間を創り出す」とはどういうことかを認識することが大事です。そして、そのための具体的な方法を知り実践することで、負荷に耐え切れずにタスクを簡単に手離してしまわないようにできるのではないかと思います。
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「時間管理」と「タスク管理」の違いと、その実践のしかた。
こんなツイートをしました。
"時間管理するためには、状況をはっきりと把握しなければいけないということです。"
— 小鳥遊 (@nasiken) 2019年5月21日
至言。時間管理とタスク管理は別ではなく、相互に関連している、ということはすごく腹落ちしました。 https://t.co/hi8srelz3G
タスク管理界隈の巨頭、Taskchuteの生みの親である大橋悦夫さんが主宰する「シゴタノ!」は、タスク管理・ライフハックに興味があれば読んでおきたいウェブメディアです。
Taskchuteを使いこなし、数々のライフハックに関する(だけではありませんが)書籍を出版し続けている佐々木正悟さんがシゴタノ!にアップされた記事に非常に興味深い内容がありました。
要するにこのことから明らかなのは、時間管理するためには、状況をはっきりと把握しなければいけないということです。今、なにを急ぐ必要があるのか、それともないのかということをです。
もしも時間管理することが苦手だというのであれば、ますます状況そのものをはっきりさせることです。これは把握とは限らず、たとえばプロジェクトのための締め切りを設定したり、人に会う予定を先のカレンダーに入れたりすることで、はっきりする状況というものがあります。
私の考える時間管理の定義は「時間を有効活用すること」「締切に間に合わせること」です。
今までなんとなく頭の中で理解したつもりになっていたのが、時間管理とタスク管理(特にGTD)の関係です。別世界のものだと勝手に考えていました。しかし、上に挙げた佐々木さんの記事では、時間管理をするためにはタスクをはっきりと管理しなければいけないという旨があります。この部分に腹落ちしました。時間管理が目的、タスク管理が手段という理解です。
そもそも、GTDには時間の概念がありません。解説書(「ストレスフリーの整理術」等)にも、タスクには締切を設定しようとは書かれていません。おまけ的に締切日などの時間情報を入れるくらいにしかGTDは想定していないのだと思います。そうでないと、締切日が分からないタスクを相手に仕事を進めなければいけなくなってしまいます。あな恐ろしや。
私が考えた「タスクペディア式」では、各タスクとそれにぶら下がるサブタスクそれぞれに着手日や締切日を入れるようにして、GTDに時間管理の要素を補っています。ツールへの入力が即タスク管理と時間管理を同時に実践する仕組みになっています。今まであまり時間管理とタスク管理の関係性について意識してこなかったのは、この仕組みに慣れていると特別に意識する必要がなかったからかもしれません。
佐々木さんは記事中で、急ぐべきか、急ぐべきでないかをはっきりさせる(時間管理をする)ために状況を把握する(タスク管理する)と書いています。確かに、状況を把握して、タスクやサブタスクに締切日を紐付けてはじめて「これはすぐにしないといけない!」と分かった経験がよくあります。
時間管理とは何か。タスク管理とはどういった関係にあるのか。それらをどうやって実践すれば良いのか。これらが一気に自分の中で明確になった気がします。
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シングルタスクを貫くことは、迷惑がかかる?
昨日こちらのイベントに参加しまして、
こちらの本を読む機会を得ました。
SINGLE TASK 一点集中術――「シングルタスクの原則」ですべての成果が最大になる
- 作者: デボラ・ザック,栗木さつき
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2017/08/31
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シングルタスクは、周囲に迷惑?
シングルタスクは、脇目も振らず自分のことばかりやるイメージがあるから、他人に迷惑なのではないか。そう考える人は多いと思います。自分も、薄くそう思っています。
例えば、ある作業に熱中している人がいたとして、別の最優先順位の作業をお願いしたい場合、「今シングルタスクやってるんで」と断られてしまう。そんな状況が想像できます。そんなコントみたいな感じで断られたくないですね。
この本では、シングルタスクを「今の作業に集中するあまり、他のことを聞き入れない状態」とは定義していません。むしろ、自分にも、周囲にも良い影響をもたらすものとしています。
シングルタスクは人のためになり、自分のためになる。
本では部下が上司へ相談する状況を例にとって説明しています。「5分間だけ、視線をこちらに向けて集中して話を聞いてくれる上司」と「話には長時間付き合ってくれるが、他の作業をしながら聞く上司」のどちらが良いでしょうか。
前者の方が良いと大多数の人が答えると思います。この本から外れますが、塩野七生のエッセイで、あるイタリアの政治家と話をしたときのエピソードを思い出しました。
スケジュールがとてもタイトな中、「10分しかとれないんだけど」と言われたが、その10分は一切の情報を秘書から取り次がせず、その10分間は自分が彼を独り占めできた、嬉しい。
そういった内容でした。しかも、イタリア語での言い回しが「10分間、私はあなたのお望み通りです」というもので、イタリア男の人(女)たらしっぷりが際立つ一節でした。
このエピソードでのイタリアの政治家さんは、まさに塩野さんと話すというシングルタスクを実践していたわけですね。
シングルタスクを貫くための「期待のコントロール」
それでも、相手に無礼だと思われるかもしれないと思いますよね。それには期待をコントロールすることが大事だとしています。具体的には、「5分間だけなら大丈夫です」「午後イチなら時間あります」といったものです。
「私には無理」と「今すぐには無理」では、意味合いは全く違います。「できない」とだけ伝えるのではなく、「今はできない。けど、~~ならできる」と、条件を提示します。そうすることによって、相手の期待に沿いつつ、自分の事情も通すことができます。
シングルタスクに徹するメリット
また、シングルタスクに徹すると相手の反応に集中できるので、特に直接対面しているときに大きなメリットがあります。それは、相手が無意識のうちに送っている本当のメッセージに気づけることだとしています。
例えば言葉の抑揚であったり、考えるちょっとした間であったり、視線だったり、些細なジェスチャーだったりします。テキスト文書の顔文字では表現しきれないものが、実際の対面でのコミュニケーションで多くあるのは、お分かりかと思います。
「フォーカス」が大事
シングルタスクは、これらを通して時間の有効活用を実現します。時間の有効活用とは、一度に多数のデバイスを使うことではなく、その場その場で今にどれだけ集中して質の高い時間を過ごせるかだと、この本ではいっています。
「シングルタスク」は、タスク管理をより効果的に回すために必要な考え方です。GTDでも「コントロール」「リラックス」そして「フォーカス」が、より生産性を高めてゾーンに入るための大事な三大要素だといっています。
目の前のタスクにフォーカスして質の高い時間を過ごすことが、翻(ひるがえ)って自分や関係者のためになる。そのために、シングルタスクの考え方は非常に大事だと考えています。