「いいひと」吉田さんにタスク管理を勧める
私とよく似た吉田さん
ご近所に私とよく似た人がいます。ドッペルゲンガー的な意味合いではなく、性格というか思考法が似ているのです。
仮に吉田さんと言いますが、とにかく自責思考が強く、物腰も柔らかで人当たりの良い人です。
あ、間接的に「自分は良い人」って言っちゃってますね。これは見逃して下さい(笑)
吉田さん、最近かなり疲れているようです。仕事が多くて大変だとのこと。よくある話ですね。「そうですか。頑張って下さいね。」で会話を終わらせることもできるのですが、何しろ吉田さんは良い人なので、つい話を聞いてしまいました。
吉田さんは頼まれたら断らない
よく聞いてみると、吉田さんの人の良さに甘えて、いろんな人から協力を要請されたり、仕事を丸投げされたりされていました。
「仕事が多くて大変」とは言うのですが、丸投げされること等には不満がない。むしろ前向きに取り組んでいるようなのです。
お願いしてくる人は、もっともらしい理由をつけて仕事を依頼してきます。また、吉田さんは組織で働く人間の鑑のような人で、他人のした失敗に対して自分にもその責任の一端があるのではないかと考えてしまう傾向があり、その結果、彼は「これは自分の仕事だ」と思って引き受けてしまうのです。
だから、吉田さんの中では「断れない」のではなく「断らない」という感覚なんだそうです。
本当に自分の仕事なのか
それでも、仕事をしていて「これは本当に自分の仕事なのか?」と思うことがよくあるそうです。よく考えたら別の部署が考えるべき問題なのに、面倒な案件だからと吉田さんに振る。昔少しそのプロジェクトに絡んでいたからという理由でミーティングに参加させられ、中心的な役割を任される(きっと、良かれと思って吉田さんは色々発言したりしたんでしょう)。
引き受けて、冷静になってから「………っていうか、これって俺のやることなのか!?」と気が付くなんてことは私もありまして、吉田さんの話にはとても共感してしまいました。
GTDのフローに沿って考えて「依頼を受ける(=収集)」「その仕事の目的、最終的にどうすれば良いのかを明確にする(=見極め)」ができるようになれば、少なくとも自分がやるべきことなのかどうかは判断がつくようになるのではないかと思います。
全部自分でやろうとしていないか
人の良い吉田さんは「周りもいっぱいいっぱいだし、つい自分がやっちゃうんですよね……」と言います。
これも、その仕事の目的に向かって段取りを組んで、段取りの一手一手それぞれに自分がやるべきこと、自分がやらなくてもいいことのフラグ付けをしていけば、吉田さんの作業量はかなり減るのではないかと思います。
その仕事の目的、それに対する段取りが明確になっていないから自分が全部やってしまおうとするという思考パターン、私も無茶苦茶思い当たります。その思考パターンとは、まず仕事の目的を明らかにして、段取りを組んで、、、というプロセスが面倒臭い。やるべきことが具体的に明確になっていないから人に説明もできない。だから自分でやってしまう、というものでした。
タスク管理を提案
吉田さんは、GTDでいう「収集」「見極め」の段階で「過剰に収集してしまう」「見極めがきちんとされていない」という状態だと思ったので、まずそれを意識するために、タスク管理が有用であると勧めました。
何せ人の良い吉田さんですので、「それは面白そう!」と興味を示してくれ、タスク管理を実践してくれると約束してくれました。
タスク管理をやるようになったら、「これは自分じゃなく、あなたがやって下さい」と仕事の依頼を押し返したりして、周りの人たちのメリットとなっていた吉田さんの人の良さが若干減ってしまうことになるかもしれません。
でも、人の良い吉田さんであれば、そうなってはじめてちょうどいいバランスを保てるのではないかと私は思っています。
考えではなく行動から変える
もし、吉田さんから悩み相談を受けた人がタスク管理を知らなければ「まずは考え方から変えてみようよ!」といった、考えを変えることを勧めたかもしれません。
私がタスク管理を勧めるということは、請け負った仕事について、目的を明らかにし、その目的を達成するのに必要な段取りをし、それら1つ1つを自分がやるのか他の人がやるのかを設定し、締切日を確認し、これらを書き出すという行動を勧めるということです。
行動療法というものがありますが、図らずも行動を変えることで考え方が変わるというセオリー通りになっていますね。
これが身を結ぶかどうか。吉田さんには是非ともタスク管理をマスターしてもらって、疲れをとって欲しいものです。