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発達障害者支援"Teacch Program"をタスク管理で実践!⑤

発達障害者支援プログラム"Teacch Program"が実はタスク管理で実践できる!という連載記事の5回目です。

 

前回は、構造化の4要素のうち「視覚的構造化」について書きました。

hochebirne.hatenablog.com

 5回目の今回は、Teacch Programで行う「構造化された教育」の要素の1つ「時間の構造化」について書きます。

 

時間の概念がイメージしにくい特性
私にはよくある話ですが、1時間ぐらい余裕を持って起きても、最寄駅で乗る電車はギリギリになることが多いです。先日は家から最寄駅まで歩いたら間に合わなくなってしまいまして、3~400メートルの道をダッシュしなくてはいけませんでした。メタボリックな四十男にとってはかなりの危険を伴う行為(笑)です。

 

一般的に、仕事の時間の見積もりは短くしてしまうというのが定説になっているようです。調べたわけではありませんが、この仕事をやろうと思って取り掛かったけど予想よりも時間がかかって押してしまい残業をしなくてはいけなくなったなんて話はしょっちゅう聞くものではないでしょうか。

 

時間の構造化
発達障害、特に自閉症スペクトラム障害の方は、先の予定が分からないことに対し強いストレスを感じることが多いです。頭の中で時間の概念をイメージするのが苦手なので、この先どうなるのか見通しがつかず不安を感じるのです。

一日の時間を縦軸に書き、その横にやることを書いていけば、時間の構造化は完成です。小学生のときに「一日の過ごし方の予定を書きましょう」と表が表示されてそこに一日の予定を書きこんでいった経験はあるかと思います。まさにあの表がそれにあたります。

また、12時とか15時などを指したアナログの時計の絵を表示しておいて、壁に掛かっている時計がこの絵と同じになったらお昼ご飯、おやつ、と決めておけば__このご飯やおやつも絵で表示しますが__頭で時間の概念を扱わずに済む、というやり方もあります。

表の長さや絵などで時間の概念を別の表現に置き換えて、時間の経過や見通しを本人が認知できるようにして不安を取り除くというのが時間の構造化の本旨です。

 

タスク管理での実現

私のタスク管理ツールでは、時間単位までの表示はしておりませんでした。下の画像の赤枠内のように、やるべきことは日単位でした。例えば、赤枠で囲った5のタスクの「依頼者への返答」という行動については、7/13に発生して、7/14に着手して、7/19が締切となっています。

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この契約者の作成依頼をしてきた依頼者が7/19までに私へフィードバックをしてくれる(はず)という内容です。7/19当日になったら、このフィードバックが来るものと思っていれば良いわけです。

 

先月までは、上記の画面と下の画面を行き来しているだけにしていました。今どのようなタスクがいくつあって、それぞれの締切がいつなのかがわかれば、自分としては見通しがついた(=時間の構造化ができた)からです。

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さらに先月末、1日にどういう(分解された)行動をいつするかを試しに作り、予想以上に時間の構造化による安心感が大きく、その安心感を味わうことに耽っています。

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1日にやる予定のものを予定欄に書き出し実際に行ったものを実績欄に事後入力していきます。このレベルまでいつ何をやるかを可視化すればTeacch Programの目指す「時間の構造化で見通しがつく安心感」はまず間違いなく得られるものと考えます。

 

時間の構造化にひと工夫

すでに鋭い方はお気付きかと思いますが、予定欄と実績欄に分けるのも、自分が安心して仕事を進められる工夫の1つです。予定を立てようとすると、勤勉で頑張り屋ほど目一杯やることを詰め込んでしまいます。それが無事完遂できれば問題ありません。しかし、大抵の場合は完遂できません。100メートルを10秒で走れるから1,000メートルを1分40秒で走れるものと思ってスケジュールを立てているようなものです。多くの人は、自分は自分が思っているほど安定して走り続けられません。

 

 予定欄だけでは、毎日完走できなかった記録しか残りません。これは非常に精神衛生上悪影響を与えます。予定と実績の両方を表示して、その差異から自分の本当のペースを守れるように、実績に予定を合わせていく。その経過をたどって、自分に無理のない1日のスケジュールを立てられるようになり、ますます安心できる時間の構造化が実現できるようになります。

 

この「ひと工夫」は、タスクシュート式という考え方によるものです。その考え方を生かしたエクセルのツール"TaskChute"(そしてその有料版"TaskChute2"、スマホで使えるようにした有料アプリ"たすくま"、クラウドで使えるようにした"TaskChuteCloud”)がこの概念で動くタスク管理ツールです。私の使用している自作ツールとは離れますが大変評判の高いツールですのでご紹介します。

 

TaskChute、TaskChute2  

タスク管理ツール・TaskChute2

 

たすくま

『たすくま「超」入門』

 

TaskChuteCloud

 TaskChute Cloud by jMatsuzaki

 

タスクシュート式においてはとにかく時間が重要な要素になっています。一日にやるべきタスクを一直線に並べて、一日の始まりには予定として入力し、終わる際には実績として記録され、時間の見積もりと実績の差が如実に表れてしまいます。

 

そもそも私のような発達障害特性を持つタイプは一般的な人に輪をかけて時間の見積もりが苦手なことが多いです。さらに、緊急の割り込み仕事等のような予想外の出来事が起こったらパニックになる傾向が、特に自閉症スペクトラム障害の方には多いようです。そこで、Teacch Programでは、一日のスケジュールを見えるようにした掲示板を掲げたり、食事の時間、作業開始の時間といった特定の時間にベルが鳴るような仕掛けをしたりして、本人に時間を認知してもらうようにしています。その機能を究極まで追求したのがこのタスクシュート式という考え方であり、ご紹介したツールです。

 

時間管理は、私含め発達障害者はとくに苦手とするものなので、 図式化(時間な可視化)を始めとする時間の構造化はとても頼りになります。発達障害というカテゴリーに入っていなくても、普通に仕事術として有用なものです。時間を時間という概念そのままに頭の中だけで把握するのではなく、何らかの形に変換して認知できるようにすることは、不安を取り除き精神的に安定して生活していくためにはとても重要だと感じています。

 

これで、Teacch Programの「構造化された教育」における構造化の4要素と、タスク管理との共通点の説明は終わりです。次回にまとめと感想、雑記を書いて終わりにしたいと思います。

 

とにかく、発達障害やそれに近い程度の不器用さを感じている方には、タスク管理をお勧めしたい。極端なことを言えば、私はこれでガラッと世界が変わりました。よろしければ是非ご一緒に。