ForGetting Things Done

「水のように澄みきった心」で頭空っぽに。

不動産営業マンの虎の巻

「タスク管理行為」が面倒くさい
タスク管理を広めようとすると必ずぶち当たる「そんな面倒くさいことできないよ」「今やってる仕事だけでアップアップなのに、さらに何かするの?」という抵抗。そう言いたくなるのも分かります。

 

あくまでタスク管理とか〇〇の仕事術といったものは自分たちの身近にあるのではなく、高いセミナー代を払って身に付けたり、元からスペックが高い人だけがやるようなものだ。そんなの自分がやっても意味がない。そんな風潮があります。

この複雑な現代において、生産性を高める方法を人に教えるなどということが、本当にできるのだろうか。一般には、一部の人々は生まれつき生産性が高く、他の人々はそうでないと信じられている。営業の人たちに関しても同じことが言われてきた。だがそれは、効率的な営業パターンがあることを誰かが見つけるまでのことだった。そのパターンさえ見つかったおかげで、それは誰もが学び、実践できるものになったのだ。
(中略)
生産性に関しても、同様のプロセスが存在する。それがGTDだ。GTDは世界中の誰もが学び、導入していくことができる実践的な理論なのである。
(デビッド・アレン「ストレスフリーの整理術 実践編」)

 

不動産販売会社の営業進捗会議
以前勤めていた会社が一戸建ての不動産販売事業をしていました。全国に支店を持ち東証一部へ上場もしている、実績のある会社です。そこで営業職の方々が使用していた共通のツールが、お客様とのファーストコンタクトから家の引き渡しまでの段取りを書き出したチェックリストでした。数か所の拠点を統括する事業所に営業マン全員が週に1回集まり、そのチェックリストを使って一人ずつ進捗の報告をするのです。聞けば、トップセールスを保持し続けている社員が作ったものだとのこと。

 

全員が一か所に集まって報告する意味があるとは思えませんでしたが、共通の進捗管理チェックリストを使用していることには大変意義があると思いました。

 

パターンを見出しリスト化して共有することの重要性
営業マンの中には、自分の営業スタイルがあってそれは他人とは相容れないものだと言う人もいると思います。ただ、会社の業務として行うからには、営業マンによって差異があり過ぎるのは効率が良くないことが多いように見受けられます。営業マンの独断で進めていると、まずはバックオフィスがそのあおりを食います。そして何かあった時の対応が煩雑になったり、時にはその独断が逆効果となり会社に損害を与えてしまったりします。

 

そういった意味で、上記の全社共通のチェックリストは、業務の平準化という意味でもとても有用だといえます。また、リスト化することで、進捗の見通しをつけることができ、さらにはその業務を行っている本人による抜け漏れを防ぐ効果も期待できます。さらには、全員共通のフォーマットを使っていることで、他人への共有がより簡単になります。このチェックリストは、まさにGTDの「見極め」における「次に行うべき具体的な行動」を順々に書き出して完了までを列挙したものでした。

 

チェックリストを作成するのは一見面倒くさそうに見えるが、『効率的な営業パターン』をいったん見つけられれば、その会社の「勝ちパターン」となり、無形の財産となります。その根底にはGTDの思想が見え隠れします(私にとっては見え見え以外の何物でもないのですが)。

 

私が見た限り、「自分のセンス」「お得意のアドリブ」に従って仕事を進めるより、チェックリストに従って淡々と進める人の方が、毎月安定した棟数の受注を得ていました。どんな人でも1回会話しただけで虜にしてしまうような天賦の才を持つ選ばれた一部の人ではなく、むしろそのような特技がなくても安定して結果を出せるような、そんな役割をチェックシートは果たしていました。つまり、「(タスク管理は)元からスペックが高い人だけがやるようなものだ。そんなの自分がやっても意味がない」という冒頭の台詞は、むしろ逆だという結論になることを是非お伝えしたいです。