物を選ぶ基準は、物に付着した物語に惹かれるかどうか。
私には珍しく、服が欲しいと思いました。
本当に珍しいことです。いつもは「洋服を買いに売り場に行くだけで体力がどんどん奪われる」と考えているくらいなのです。
欲しいと思ったのは、オリエンタルラジオ中田敦彦さんの立ち上げたアパレルブランド「幸福洗脳」です。
服嫌いがなぜ?
服はできるだけ買わないで済ませたいと思う自分が、なぜこのアパレルブランドに惹かれたのか。それは、ブランドイメージです。
幸福洗脳のブランドイメージは、3月まで半年の期間限定で放送されていた「オリエンタルラジオ・中田敦彦のオールナイトニッポンPremium」で吹き込まれました。
ラジオでは、ブランドを立ち上げて、乃木坂に実店舗を出し、一枚も売れない日があったと言っては大騒ぎし、オンラインショップをやめると言ってはすぐに復活させたり、どんな店員がふさわしいか試行錯誤してみたりと、失敗も成功も赤裸々に語っていました。
幸福洗脳の服は、かなり値段が高いです。なのに、中田さんの熱い語りが付着して「その服、欲しい!」と思うようになりました。
実際は、きっとサイズがないんでしょうけど……。
物に付着した物語と共に生きる
共感できる物語が付着した物は、日常的に使ったり身に付けることで、自分もその物語の文脈の中で生きられるような気がします。
そう考えて、こんなツイートをしてみました。
共感できる信念や物語が付着した物は人を惹きつけるなぁと、ふと思いました。
— 小鳥遊 (@nasiken) 2019年3月27日
良い物があってストーリーなどが後付けされるのではなくその逆ですね。確固たるポリシーやストーリーが良い物を生む。
物欲は無い方ですが、物に強い魅力を感じるときは、私は大体そんな感じです。
このツイートをしたときに念頭に置いていたのは、自分が原作したタスク管理ツール「タスクペディア」です。
タスクペディアは、私が仕事に悩んで潰れてから復活するまでの体験から生まれたものです。また、すでにお使いいただいているユーザーの方々の成功譚も付着していっている(いて欲しい!)と思います。
これからユーザーになってくれる方々には、物自体のクオリティはもとより、こういった物語が付着しているからこそのタスクペディアだと思って欲しいなと考えています。
私が幸福洗脳ブランドの服に惹かれたように、「この物を取り巻く物語の文脈に自分も乗りたい」と思って使って欲しいのです。逆に、そう思ってくれるようにしなければいけないなと。
これからの「物」の売り方
マーケティング素人の私が言うのもなんですが、これから「物」を売るなら、その物自体のクオリティだけではなく、その物にまつわるエピソードや関係者の思いなどもひっくるめて購買対象者に訴えかけるのが良いかもしれないと思いました。
タスクペディアは無料でお使いいただけるので売り物ではありませんが、ユーザーがより魅力を感じて使い込んでくれれば、きっとユーザー自身が抱える悩みや生きづらさを解消できると思います。そのような方をどんどん生み出すべく、より多くの物語をタスクペディアに付着させていくのが、私のやるべきことだと思っています。