トンネルの先の小さな光
今自分が真っ暗なトンネルの中にいて、その出口がどれくらい先かわからないような状態だと考えて下さい。
そこまで来るのに疲れ果てていたとしても、遠くにかすかな光が見えたとしたら、途端に元気にその光を目指すものではないでしょうか。
あるいは、「出口まで100キロメートル」という表示を見つけたらどうでしょうか。際限なく続くと思われたトンネルが、100キロメートル先には確実に終わると分かるだけで随分気が楽になるのではないでしょうか。
人生におけるやりかけの仕事を考えるとき、たいていの人は、それらは自分の平穏を乱すことだと考えるらしい。だが、実際は逆だ。やりかけの仕事をすべて把握することができてはじめて、人生の平穏が完全なものになる。あなたに必要なのは「完全に終わっていない仕事」を完全に把握することなのだ。
(デビッド・アレン「ストレスフリーの仕事術 仕事と人生をコントロールする52の法則」)
毎日の仕事は、ともすればどこまで続くか分からないトンネルの中を歩くようなものだと思います。歩きはするものの、今自分がトンネルの中でどの辺りにいるのか分からない。むしろ、無限に続くような気がして、歩みが遅くなったり、歩く気が萎えたりします。
100キロメートルは遠いですが、それでも出口がそこにあると分かるだけで気が楽になります。モチベーションが上がります。自分がやるべき仕事がどれだけあるのかを把握することも同じだと感じます。
タスク管メソッド"GTD"でまず行う「自分の抱えるやりかけの仕事を全部書き出して把握する(『把握』フロー)」は、「このトンネルは100キロメートル先までです」と教えてくれるようなものです。
100キロメートルもあるのかと歩みを止めるのもさもありなんですが、だからと言って瞬時にトンネルから脱出、つまりその仕事(場)を辞めるのは、あまり現実的ではないですね。おそらく「そうか。100キロね……」とつぶやいて、歩くことになります。
それでもトンネルがどこまで続くか分からない状態よりは格段に良く、気持ちも前向きになります。GTDの「把握」フローには、歩かなきゃいけない距離を(冷酷にも)あらわにするのと同時に、「それより先トンネルはありませんよ」という安心感を与えてくれるわけです。
その距離が、もしかしたら1キロメートルかもしれないし、10キロメートルかもしれない。それが実際に何メートルあるのかは、仕事タスクを洗い出して「把握」するまで分かりません。
実はトンネルの出口が40メートル先だったとして、それでも出口までの距離を把握せずにへたり込んでしまうということもあるでしょう。
GTDの「把握」フローは、自分が終わらせていない仕事を列挙するので、それだけ聞いて想像すると「あなたはこれだけやっていないんですよ!」と言われるような恐怖があるかもしれません。
現在私には未完了の仕事タスクが100以上あります。多いと感じるかもしれません。しかし、実際書き出してみると、長く続くトンネルの彼方に光明を見出した人のように、安心感とモチベーションが生まれています。
怖いかもしれませんが、大丈夫です。GTDを、よろしければ是非ご一緒に。