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「水のように澄みきった心」で頭空っぽに。

「GTDに足りないもの」について考えた

GTDに足りないもの

タスク管理界隈ではお馴染み「物書き」をされている倉下忠憲(くらした・ただのり)さんが、興味深いお題でブログを書いていらっしゃいましたので拝読。

rashita.net

 

足りないもの三点盛り

GTDは優れた手法であると断りをいれて、その上でGTD構造上足りないもの、実践しようとする者が直面するであろう問題を指摘されています。

・実行に関するサポートはほぼない
・ログが重視されていない
・アイデアの扱い方も考慮されていない 

 

1点目「実行に関するサポート」に関しては、私は正直困ったことがありません。これは仕事を実行するように求められる強制力、会社という場が持つ力のおかげかと思われます。倉下さんのような自分で仕事を管理し実行していかねばならない個人事業主の方ならではの気づきだと感じました。

 

2点目「ログが重視されていない」については、そもそも私はログが残るようタスク管理ツールを作ったので、この問題にも直面したと強烈に感じたことはありません。ただ、そのログから何がしかの規則性を見出して今後に生かすというような要素は、少し薄いような気がします。一度作った定型業務のログはコピペして雛型として使いますし、年次の仕事がある時は昨年の記録から今年の仕事に取り掛かる時期や手順を引っ張ってきたりします。ただ、「この日のこの時間には、過去のログから考えるとこの仕事を何分やるのが良い」といったレベルまでは活用していません。ただ、GTDそれ自体にはログについての言及がなく、私なりのログの活用は、自分なりのカスタマイズの結果です。いわゆる純粋な(カスタマイズされていない)GTDのみで考えると、確かにログについて重視しているとは言えないと思います。

 

3点目「アイデアの扱いが考慮されていない」にはとても共感します。むしろ、アイデアの管理にはGTDは向いていないと私は感じています。デビッド・アレンは、どんな事柄でも「やるべきこと」として捉えてそれを実行できる行動レベルまで細分化する、といったことを著書で書いています。私はこの考え方には合いませんでした。ふと思いついたアイデアはそのまま別の紙か何かに書きつけておいた方が良いと考えています。GTDのシステムは脳を外部化したものとされていますが、脳の機能を全て代行してくれるものではないと思います。

 

では、GTDは何をしてくれるのか。

私の感覚では、ボトムアップ、つまり日々発生するやるべきことの交通整理をしてくれてスッキリさせてくれる存在だと捉えています。

「気になること」を書き留め、それらをすべて「適切な場所」に配置すれば、安心できる。

GTDが提供するのは、基本的にこれだけなのだ。GTDは、超人に変身するためのメソッドではない

私が常々思っている「自分の(発達障害)特性はそのままに、それをサポートしてくれるもの」に、この倉下さんの一節は近いと思います。

 

潜在的な力にアクセスできたわけでも、真理の扉を開いたわけでもない。単に、本来発揮される当人の能力が、抵抗値少なく発揮されるようになっただけだ。

私も、GTDがサポートしてくれるようになった結果、自分を信じることができるようになり、安心して自分の考えを打ち出したり、疑いを持たずに行動できるようになる、という実感があります。これは自信が増加したり行動力が増えるのではなくて、もともと抑えつけられていたものが自由になったという感覚です。

 

GTDの限界?

口を開けばGTD礼賛の私ですが、深く付き合っているだけにその限界も分かります。

自分でリストを作って、自分を苦しめる。そういう事例がポツポツと見受けられる。それはどの角度から切り取ってもGTDやその他のノウハウが目指している場所ではないだろう。

この考え方、いいなと思いました。もともとGTDの守備範囲ではないということです。タスクの交通整理はしますよ、実行するかしないかはあなた次第ですよ、ということでしょうか。シンプルで潔くていいなと思いました。はい、やっぱりGTD礼賛で終わります。