別世界の人
世の中には、類稀な才能を与えられて、それを使ってどんどん活躍していく人がいます。スポーツ選手、芸術家やその他クリエイターと呼ばれる人たちが私は思い浮かびます。
世界の名だたる企業の経営者も、まるで神様から授かったような経営手腕、人心掌握術、研ぎ澄まされた勘、並外れた判断力に、ある意味別世界の人だと感じます。
いっとき、ただ普通に仕事をしている人にこの「別世界感」を抱いた時期が私にはありました。それは、仕事が上手くいかず休職している最中のことでした。
それは、ある喫茶店に入り、コーヒーを注文し、それを持ってきたウエイトレスに対してでした。
「なんで注文通りのものを持ってきてくれるの?すごい!」
いやいや、当たり前なんですよね。喫茶店というのは、注文をしたらその通りのものを作ってくれて、持ってきてくれるというシステムのサービスを提供する場なんですからね。コーヒーを注文したのに「かつ丼でしたっけ?」等と言いながら目の前にゴトリと丼を置かれることはまずありません。
この当たり前が、私にとっては当たり前じゃなかったんですね。もはや、言われた通りにする自信すら、当時の私にはありませんでした。嘘かとお思いかもしれませんが、本当です。ウエイトレスが別世界の人でした。
そんな私が、なんやかやありまして、タスク管理のおかげで普通に仕事ができているこの今の状態、当時の私にとってみれば、私自身が別世界の人です。これはもうボーナスステージでコインをとりまくっているような気分でしてね。毎日気持ちが良い。
ウエイトレスに感嘆していた私が普通に毎日仕事をこなしていることなんて、常人がいきなりイチローになるようなものです。ちょっと言い過ぎかもしれませんが、おおよそ方向性はこんなかんじです。
当たり前のこと(と世間一般ではされていること)を当たり前にできることのありがたさを感じるスキルも身につけることができた私は、普通の人よりちょっと得しているなと思っています。