GTDを維持する「努力」
タスク管理手法"GTD"の開祖デビッド・アレンは、「GTDを実践するにはどうしたら良いか」というインタビューに対してこのように答える、と自らの著作で書いています。
「5段階の行動をすべてきちんと実践することです」と、私は答える。「まず、頭の中にあるものを洗いざらい書き出す。緊急事態になってからでは遅いのです。アイディアが出てくるたびに、それを実現するための次の行動を決め、やろうと思うプロジェクトとそれぞれを達成するためにとるべき行動を適切なカテゴリーに整理するのです。そして、どんなときでもシステムをつねに更新して、十分に見直しておくことです。そうすれば、日々の生活の中で自分の決断に自信が持てるようになります」
(デビッド・アレン「ストレスフリーの仕事術 仕事と人生をコントロールする52の法則」より)
この一節にすべての要素が含まれていると言ってよいと思います。
この流れを心地よく実践できるために、さまざまなツールが作られてきたと言っても過言ではないと思います。
タスク管理に慣れてくると、「5段階の行動をすべてきちんと実践」という基本中の基本がおろそかになりがちです。GTDは、実践しさえすれば自分の生活に多大な良い影響を与えてくれますが、それだけに、GTDの5段階の行動に抜かりがあると、あっという間に元の木阿弥になります。
GTDの効果を体感するようになると、ツールに書き込んだり、更新したりする作業そのものに充実感を覚えるようになります。逆に、それまでは「5段階の行動を『すべて』『きちんと』実践」する努力が必要になります。「タスク管理」という言葉に「軽々と仕事をこなしてデキる人になる」といったフワフワしたイメージがあるのだとしたら、それは考え直す必要があると思います。
どんな道でも、真摯に努力することは必要です。ただ、努力の方向性を間違えると結果につながらないこと、正しい努力をしても結果に結びつかないことは多々あります。しかし、ことGTDを実践することに関しては、その5つの行動を維持継続していこうという努力は嘘をつかないというのが、私の実感です。