許せないポイント
ハッとさせられた呟き
ツイッターでこんな呟きを読みましてハッとさせられました。
身近な人の許せないポイントは、自分が抱えている問題と一致している。
— しごたのん (@shigotanon) 2017年3月30日
会社で、明らかに振り先違う仕事を振られることがあります。私の経験上、そのような頼みごとに応える姿勢を見せるとドンドン仕事が寄ってきます。やれる範囲を超えなければ良いのですが、結果的に超えてしまうことがあります。
さらに具合の悪いことに、いったん引き受けたその自分の業務範囲でない仕事が、いつのまにか私のポジション固有の仕事としてルーチンに組み込まれているのです。
「いいえ」が言えず
「いや、それは自分の仕事ではないので」と断れれば良いのですが、ちょっとしたタイミングにスッと入れてきます。後で「ああ、なんで引き受けてしまったのだろう」と後悔します。簡単じゃないですね。
本来の仕事でない仕事の対応を嬉々として数年前の私は引き受けていました。その結果はかなりよろしくありませんでした。そのことから、拒否反応が起こるようになりました。そうは言っても過激なものではなく「嬉々として引き受ける」から上記の「引き受けて後悔する」になったくらいです。あまり成長していませんね。
自分が抱えている問題?
これで終わればただの愚痴です。振ってくる側の事情もあるんだろうなと思っているところに冒頭のつぶやきです。少し考え込んでしまいました。自分の抱えている問題でもあるということは、つまり自分も誰かに無茶振りをしているということかと。
確かに「受け取ったタスクのボールは全速力で他人へ投げよう!」とか言っていますので、私から投げるボールが暴投である可能性も否定できません。
とは言え、ずっとその仕事のボールを誰にも投げずに温めていると良くない状況になることも経験上分かっています。
私ができることは、せめてボールを投げる時に相手のミットに収まるようにすること、暴投を投げてきたら球は拾いつつ今後はちゃんと投げるよう指摘することくらいでしょうか。
先日書いたこちらの記事とちょっと矛盾する気がします。本当ならこちらの方向性でいきたいのです。
はてなブログに投稿しました #はてなブログ
— 小鳥遊 (@nasiken) 2017年4月7日
「優先順位ってどうやって付けたらいいの?」(50歳・男性・元上司) - ForGetting Things Donehttps://t.co/VP8GtPeFEp
この矛盾のモヤモヤは抱えつつ、自分の舵を切っていこうと思います。
カレンダー、対応待ちリスト、やるべき次のアクションリスト
リスト、リスト、リスト
私にとって、タスク管理を始める前は「リスト」と言えば、ピアノの魔術師と称されるフランツ・リストでした。「ラ・カンパネラ」や「愛の夢」などは、「そりゃこんなの作曲したらモテるだろうよ」と思うような美しい曲の数々を生み出したピアニスト兼作曲家です。
愛の夢なんか特に良いですね。女の人がうっとりするような感じの曲です。
タスク管理を実践するようになってからは、私にとってリストと言えば一覧表のことを指すようになりました。
GTDのリスト
GTDでは収集したタスクは、最終的に幾つかのリストに分けられて納められます。「カレンダー」「連絡待ちリスト」「いつかやることリスト」「自分が次にやるべき具体的な行動リスト」の4つだとお考え下さい。
その日が来れば当然に発生するイベントのようなもの、例えば会議やミーティングなどは「カレンダー」というリストに入ります。
同じように、いつかしたいものであれば「いつかやることリスト」、誰かが対応してから自分が何か行うのであれば「連絡待ちリスト」、それらのどれにも当てはまらず自分が即座に着手できる「次に取るべき行動リスト」へ入ります。GTDでは、それぞれのタスクがあるべきリストに落ち着いていきます。(厳密に言うと、いま紹介したリストに加えて2〜3個のリストのようなものがありますが、話を簡単にするために割愛します)
複数のタスクを含むもの
例えば、社内の備品を買うにも単一の行動では終わりませんね。複数の業者さんに見積もりを取ってから買います。複数のタスクが集まると、そのひとまとまりはプロジェクトと言います。
社内備品購入プロジェクトの第1手「見積もりをお願いする」は自分がすぐに行動する「次に取るべき行動リスト」にあるべきタスクです。そして、その第1手が実行されたら「見積もりを受け取る」という第2手をすることになり「連絡待ちリスト」のタスクとなります。その後にミーティングで複数の業者さんからの見積もりを選定したりすれば、そのミーティングは「カレンダー」に入ることになります。
つまり、プロジェクトの分解されたタスクがそれぞれ入るべきリストが別々なんですね。ある時は「次に取るべき行動リスト」。またある時は「連絡待ちリスト」。別の時は「カレンダー」。
1タスク終えるごとに社内備品購入プロジェクトから生まれるタスクを別のリストへ記入させる必要が出てきます。これがとても怖い。いつも使っている鞄から必要な中身を取り出して別の鞄に入れて出掛ける時のように、何か忘れたり無くしたりしてしまう危険性が出てきます。
私は単一タスクだけで終わる仕事もプロジェクトになる仕事も1つのエクセルファイルに一元管理しています。属するリストが変わるのは、ステータスのフラグを付け加えて、そのフラグの表示を変えることで表現しています。
逆に1つのリストに「次に取るべき行動」「連絡待ち」「カレンダー」が混在するのが気持ち悪いという人もいるかもしれませんね。
私は仕事の置き場が複数になることに敏感になってしまっているので、一元化にとてもこだわってます。持っていく鞄を変える時のように、複数のリストの間を行き来している間にタスクを忘れたり無くしてしまう危険性が私はとても高いことを自覚しています。
GTDの決めからは外れますが、こうしたカスタマイズは時として必要であり、むしろ自分用にどうカスタマイズしていくかがタスク管理の肝なのかもしれません。
「それだと自分しかできない仕事がなくなってしまう…」
大誤算
仕事をシェアしてお互いに協力して早く帰ろう。今考えれば、これを他人に強要するのは迷惑以外の何物でもありませんでした。私の大誤算。仕事をシェアするということは生活残業する理由を潰しかねないのだと理解した瞬間がありました。
仕事をシェアして助け合おう
お互いの仕事を開示して、誰かが休んだ時にまた別の人が代わりに仕事をする。仕事をシェアすることは会社員として普遍的な正義だと信じ込んでいました。
仕事が溜まって、残業できるギリギリの時間までやらないといけない人がいました。その人は私と同じ所属であり、私と同じく、管理職ではありません。当然のように何か協力できることはないかと声をかけました。ありがとう、でも大丈夫だと言われました。さらに私から、協力し合えるようやり方を教えて欲しいと言ったところ、題名のセリフが返ってきたのです。私はその人の既得権益に踏み込もうとしてしまいました。
その人からしたら「タスク管理で早く仕事を終わらせて早く帰ろう!」とか「お互い仕事を見える化して協力しよう!」とか言う私は、果たしてどう映っていたのだろうかと思いました。いらぬお節介をしてくる人だったのかもしれないですね。結局、本当に困ったら協力するから言って欲しいとだけ伝えました。
葛藤
その人を間違っていると糾弾することは簡単です。 私の判断も、もしかしたらいつもの私からしたら「君は何を言っているッ!」と言われてしまうようなものかもしれません。
しかし、そうせざるを得ない切実な事情があることを知っているので言えませんでした。あちらが立てばこちらが立たず。難しいですね。
第7回&第8回「自分は要領が良くない、と思い込んでいる人のための仕事術」開催!
開催!
嬉しいことに、F太さん(@fta7)との共催でのイベント「自分は要領が良くない、と思い込んでいる人のための仕事術」をまたまた開催することにいたしました。
快哉!
昨年9月3日に第1回を行って以来、継続的に開催できていることに快哉を叫んでおります。複数回催してもなお参加申込をいただけているということは、それだけニーズがあるということ。10年ちょっと前からの数年間悩みながら自分なりに克服してきた体験が誰かのために役立つのは無上の喜びです。
「心構え」ではなく「方法論」
何よりお伝えしたいことは、私が自分の要領の良くなさや不器用さを克服できたのが「心構え」といった精神論ではなく、 タスク管理という方法論であったこと。精神論はできる人しかできない、やろうと思って頑張ってみても運が良くなければ身につけられないイメージです。方法論はやり方さえ身につければ誰でもできます。そこに広く伝える必要があると感じてこのようなイベントをしています。
もちろん、タスク管理が運用できるようになったからといって必ず生活の何もかもが好転するとは言えません。このイベントでは、私は「自分はこうで、こうしたら、こうなった」という話はします。使っているツールの使用法も実演しながら説明します。それを実際にやってみて実のあるものにしていくかどうかは本人次第、ということになります。ただ、そのきっかけすら掴めず悩んでいる人が多いのではないかと考えています。その良いきっかけになればと毎回思ってやっております。
今回もダブルヘッダー!
今回も1日2回開催、より多くの人に伝えたいのと、私が平日は会社に行かなくてはならないという条件をクリアするためにダブルヘッダーで行います。午後の回終了後も「もう1回できるかも」と言うくらい夢中になって喋っています。翌日動けないんですけどね(笑)
今回もまたお世話になりますEXP立川さん!
ご縁がありまして、障害者就労移行支援を行なっているEXP立川さんより会場をご提供いただいております。EXP立川はうつ病など『軽度のメンタルヘルス系疾患』からの復職・就職を希望する人に向けたトレーニングを提供することを目的としています。約10年前、私が仕事ができず悩んでいた時期にこんなところがあったら良かったのに!と思うような所です。
そんなこともあり、今回もまた「現在、休職中、あるいは転職検討中で、次の仕事に不安を感じている人」も対象としています。そのような人のためにも、より具体的で実践的な内容にしていきたいと思っています。
興味を持っていただいた方、告知ページへのリンクから、ふるってご参加下さい!
ご参考までに、告知ページの紹介文を下に書きます。
開催までの経緯
生来の不器用で仕事が上手くいかなかった私は、タスク管理で変わることができた体験を話したい!と前々から考えておりました。
そんな時に「シゴタノ!」主催の大橋悦夫さんのイベントでF太さんと話す機会があり、実は同じような企画をしたいと思っていたとのこと、衝動的に「やりましょう!」と話していました。
F太さんの「ひらめきメモ」は本にもなり、フォロワー数も複数アカウント合わせて30万(!)。その示唆に富んだ呟きのクオリティの高さは、支持する人の多さがそれを物語っています。人生に対する「気づき」を皆欲しているのでしょうね。
私のしくじりっぷり、タスク管理でそんな私がどのように立ち直っていったか。そして、半分聴き手の立場にいるF太さんによる絶妙な問いかけや合いの手が、よりこのイベントの内容を深く濃くしてくれます。
このイベントの参加対象
興味ある方全員、ではありますがとりわけ以下のような経験が当てはまる方に是非いらしていただきたいです。
・現在、休職中、あるいは転職検討中で、次の仕事に不安を感じている
・仕事をつい先送りして地雷化させてしまう
・どうやったら良いか分からない仕事を前にウンウン唸って時間だけ過ぎていってしまう
・抜け漏れ忘れがしょっちゅうある
・些細なミスも重大に受け取ってしまったり、他人のミスを自分がこうすれば良かったんだと自分のせいにしようとする
・1つの仕事に集中できず、結果どの仕事もなかなか完結できない
・机の上やパソコンのデスクトップがどうしても整理できない
・上記の悩みを持つ方のご家族、上司、部下
このイベントに参加することで得られること
・ダメダメな小鳥遊がタスク管理を取り入れてどんな変化が起こったかが分かり、自分はやっていけるかもしれないという「安心」
・小鳥遊が実践している「タスク管理の具体的な方法論」
・上記に対するF太さんの質問、コメントによる「気づき」「ひらめき」
・その他、質問に対してイベント中は常時(≠随時)喜んで全力でお答えします!
「優先順位ってどうやって付けたらいいの?」(50歳・男性・元上司)
隣の元上司
私の隣でいつも私に笑いを提供してくれる、元上司がいます。以前も、
「ねぇ、小鳥遊くん。今日はなんだかあまり喋ってない気がするね。なんでかなぁ?」
「仕事してるからじゃないですか」
「あそっか!」
という会話をしたりしていました。そういうキャラクターの方です。
上から降ってくる仕事
そんな元上司は、私の上を離れて遊軍的立場で、つまり上から落ちてくるどこの部署のものともつかない仕事をやっつける何でも屋として、今頑張っています。なかなかの五月雨っぷりに困りながら、なんとかこなしています。このような立場はとても大変なんですよね。
質問
そんな元上司から「ねぇ小鳥遊くん、優先順位ってどうやってつけるの?」と質問がありました。社会人になって30年近くのビジネスマン、なかなか良い質問です。私はまるで後輩に教えるように丁寧に説明。
「締切と、それにかかる時間が基本ですね。」
「うんうん」
「それと、頼んできた相手の役職」
「おー、そっかぁ……うーん、一番偉い人が、同じくらいの重さの仕事を、同じくらいに早くやってくれって言ってきたらどうする?」
「それぞれいつまでに欲しいのか直接聞きますね」
「うーん……(注:多分聞きづらいんだと思われます)……それでも両方『なる早』って言ってきたら?」
「両方同時は難しいって言って、こっちで勝手に順位付けをしちゃいます。他の人に振るのを期待して。」
「なるほどね。でも、俺しか振れないとしたら?」
「そういう人員配置をするのが悪いので、当たり前のように自分がつけた優先順位の通りにやるだけです。」
「そっか。悪いのはお前だ!ってね!」
「まぁそうですね。『少数精鋭』とかいうのはこういうことだって分かってもらわないと。」
「おー、うん、そうだね。分かった。」
一見、元上司の方が抜けているように見えて、実はこんなことを嬉々として話す私の方が抜けているのですが、元上司は少し嬉しそうになったので良しとしました。
人に頼ることをスケジューリングしてしまおう
人に頼るのは悪いこと?
人に頼るのは抵抗がありますよね。実際、自分がやるべき仕事を「やりたくないから」という理由だけで他の人に丸投げして最後には自分が巻き取って自分の手柄にする人などがいたとしたら、そんな人には頼られたくないですね。ここで言おうとしているのは頼るというより協力をお願いするという意味合いが強いです。これは悪くないですよね。
自分でやるのが正しい!
真面目な人は、とにかくワンストップ志向です。なんとか自分でやらなきゃと思ってしまう。できるだけ他人の手を借りずに完了させるのが良いと思っているんですよね。
実際、1人でこの仕事を全部やり遂げた!なんて人は確実に評価されます。会社で働いている場合、それだけ安い単価で仕事を完了できたわけですから、会社からはコスパが良いと評価されます。
ただ、これは結果論でしかないと思います。その1人の人が怪我をして長期の休みを取らざる得なくなるかもしれない。手が回りきれず、スケジュール通りに進捗しないかもしれない。そんな危険と隣り合わせです。会社としては、このように特定の個人に紐付いた業務がある状態は、解消しなければいけない。つまり、人に頼り頼られの関係を、その組織内では作らなければいけない。自分の受け持っている仕事を、何らかのタイミングで他人に渡すことに罪悪感を持っていると、結果的に組織に迷惑がかかります。
頼るのではなく分担
だから管理職は「人に頼ってもいいんだよ」と口を酸っぱくして言うことになるわけですね。できなくて頼るのではなく、役割分担だと思えば罪悪感はなくなります。自分の範囲はここまで!と決める。
さらにあらかじめスケジューリングしておくと、もっと心の壁がなくなります。「この仕事は最初誰々から依頼されて、自分がまずは下書きして、次に先輩にチェックしてもらって」と、ボールを受け渡すように回していくのが組織で仕事をする典型例ですね。「先輩にチェックさせちゃって悪いなぁ…」などとは夢にも思いません。そして、あらかじめ業務フローとして共有しておけば錦の御旗が付くので、なおさら他人に振りやすくなります。
この「あらかじめスケジューリングされた業務フロー」こそ、タスク管理の肝です。タスク管理をすれば、人に頼ってはいけないという壁がいつのまにか崩れるかもしれません。
決め台詞「定時で上がります」が浸透し始めている
朝礼・終礼
我が社では、毎日部ごとに朝礼と終礼をやっています。朝礼では各自今日やる予定のことを言っていき、終礼では今日やったことを言っていきます。つまるところどこの会社でもやっているようなものです。我が部は管理部といいます。経理部と合同で朝礼と終礼を行い、お互いやることを言い合ってその日のスケジュールを軽く共有するのです。
終礼での報告
1日が終わり、今日やったことを各自報告します。そして、残業代がつく平社員は、終業予定時間を必ず言うようにしています。ダラダラと残ってやり過ぎにならないか、複数人で分ければもっと効率良く終わるんじゃないかということの検討・検証のため、部長が部下の終業予定時間を把握するのは大事ですよね。
決め台詞
私は割と残業をしません。会社が嫌なのではなくて、無駄な残業をして残るより、早く家に帰って団らんして睡眠をたっぷり取らないと翌日以降に差しさわりがあるからです。また、僅かながら時間外手当を削減して社長に貸しを作っている気になっていたりもします。
私は、終礼での報告の終わりに必ずこう締めくくるようにしています。
「何もなければ定時で上がります。以上です。」
「定時で上がります。以上です。」
言い方は「以上です」に向けてpoco a poco accelerando(少しずつ速く)していきます。2つの使い分けは、前者は「何かあれば対応しますよ」後者は「問答無用で帰りたいですよ」です。
これが、段々と部内へ浸透しているのです。同僚が全部同じ言い回しで言うようになってきました。繰り返した甲斐がありました(笑)
同僚がこの言い回しを使うようになったということは、以前より定時で上がることが部内で多くなったのではないかと思います。そして何より、定時までに仕事を終わらせるかどうかを部で強く意識するようになったと自負しています。