ForGetting Things Done

「水のように澄みきった心」で頭空っぽに。

タスク管理は、身に付けられる「型」

仕事をこなす「型」

昔、同じ職場にとてもデキる同僚がいました。上司の覚えもよく、身のこなしもスマートで、仕事はいつも余裕しゃくしゃく。さらにはスラリと背が高くイケメン。あーもう敵わない!と一瞬で白旗を上げるような人がいました。

 

どうやったらなれるのか

同時、まだタスク管理のタの字も知らなかった私は、その同僚の正反対の存在でした。見た目はどうしようもないとして、せめてスマートかつ余裕を持って仕事をこなすようになりたいと、日々その人のようになるにはどうしたら良いのかを探求していました。

 

適切なタイミングで最適な意見を言う。冷静に状況を判断し、的確なアドバイスをくれる。自分の仕事に集中したかと思うとしっかり周囲を見ている。そんなスーパーマンになるためにはどの能力をどう開発すれば良いのか想像もつきませんでした。

 

探求の結果は?

そうして観察するも、どうやったら真似できるのか分からないまま私はその会社を辞めてしまいました。今でもその人の真似はできません。探求は失敗に終わりました。

 

しかし、タスク管理"GTD"のフローに従って仕事をするようになった途端、その同僚のようになることができました。その人がよく言っていた言葉を、知らず自分も発するようになったのです。また、仕事中どんなに忙しくなっても精神的には余裕を持つこともできるようになりました。

 

タスク管理で「彼」になる

私はこの現象に自分ながら驚きました。そして、自分自身の能力を1ミリも伸ばさず、GTDという方法論を実行するだけで彼のようになれたことに、より一層驚きました。

 

空手では「型」を練習する。言うまでもないが、「型」とは、想像上の敵に対応するための、様式化された一連の動きだ。「型」を学ぶのにはものすごい集中力と訓練が必要だ。しかし、いったん「型」を身につければ、その「型」は次にはその「型」を超える精妙な動きへと変化していく。
仕事にも「型」がある。私が提唱するGTDはひとつの「型」である。(中略)いったん習得してしまえば、その「型」を超え、あなたは「自分がするべき、本当の仕事」を発見できるようになる。
あなたは自分にとってうまくいく、仕事の「型」を持っているだろうか。そしてその「型」を意識しなくていいぐらいのレベルで習得できているだろうか。
(デビッド・アレン「ストレスフリーの仕事術 仕事と人生をコントロールする52の法則」より)

 

「型」を会得するかどうか

今思うとその同僚は、自分の「型」を完全に自分のものにしていたのだと思います。そして、私もGTDという「型」を会得したから以前の私が羨むような仕事のこなしっぷりを発揮できるようになったと言えます。

 

ただ、仕事のクオリティが本人の創造性の程度によるような職種であれば、少しばかり勝手は違うと思います。あくまで私とその同僚の彼のような内勤の事務職の場合はこうだった、としか言えません。

 

とは言いながら、やはりタスク管理は自分を変えたことは紛れもない事実ですので、やれる人はやると良いと思います。

命綱のメンテナンスか、奈落の底か

タスク管理ツールは命綱
私にとってタスク管理ツールは仕事生命をつなぎとめる命綱です。これはやんわりとした比喩ではありません。これが正常に運用されないと、本当に仕事ができないのです。最近、同じような事例に対してちょっとずつ違う対応をしなければいけないときがありました。

 

例えば、販売した機器が故障したという案件が同時に3つ発生したとします。そしてその3つそれぞれに対して機器製造会社に問い合わせて対応方法を決めるべきもの、自分の会社で即座に対応できるもの、販売代理店に連絡をしなければいけないもの、といった具合に、発生した事象は同じでもやることは違うという状況はよくあります。

 

そんなときに、いちいち案件別に進捗を覚えていられるものではないですよね。しかも取り違えると一気に迷惑がかかってしまう。そんなときにはもう案件別に進捗状況を記録して、それを頼りに各別に話を進めていかないといけない。

 

この「記録」が、私にとってはタスク管理ツールです。上記のような状況は割と頻繁に発生します。常に1つのことだけやっていればよいという仕事場で働いている人はごく少数だと思います。そうであれば、それぞれの仕事に対しての記録を正確にとって、それを道しるべとして仕事を進めないと大変なことになります。


プロジェクトの全てのリストを作って管理することに抵抗を感じる人が多い。しかし毎日の仕事や人生をリラックスしつつコントロールしていくには、このリスト作りはとても重要である。このレビューは、どれにどう注意を払っていいのかわからないほど忙しいときにこそ特に効果的だ(忙しくてレビューを怠ることほど愚かなことはない)。
(デビッド・アレン「ストレスフリーの仕事術 仕事と人生をコントロールする52の法則」より)

 

命綱を引き締める面倒くささか、奈落の底か
常に命綱の緩みを引き締めつつ崖を歩いている、とお考え下さい。緩んでくる命綱を引き締めることを面倒くさがって、一気に崖から落下して奈落の底に落ちるか、それとも面倒くさい命綱のメンテナンスを続けるか。もちろん後者ですよね。ところが、仕事上では、崖から落下してもかすり傷くらいしか負わないと思っている人が多すぎると私は感じます。

 

仕事がどんどん降ってきて処理しきれず、対処不能になった時のあの絶望感は忘れられません。対処できないことで迷惑をかける人たちのことを考えると、とてもかすり傷と考えることは難しいと私は感じました。

 

この感覚が分かる!という方、是非タスク管理を始め、そして継続しましょう。きちんと引き締まった命綱がある限りは崖から落ちることはありません。

GTDで考えないと「仕事」ができない!

そもそも「仕事をする」ってどういうこと?
著作「マネジメント」で有名なピーター・ドラッカーの話を引用して、タスク管理メソッド”GTD"の開祖デビッド・アレンはこのように言っています。

 

かのピーター・ドラッカーは、知識労働者のもっとも大事な仕事は「仕事を定義すること」だと述べている。そして私が思うに「仕事を定義する」ためには2つの要素が必要だ。つまり①自分がなぜその仕事をしようとしているか考えること、②その仕事を片付けるために次にどんな行動を起こす必要があるのかを考えること、の2つである。
これらを実行することは、あなたが思うほど簡単なことではない。明確な目標をきちんと把握しないまま、ぱたぱたと動き回ってただ忙しく過ごしてしまう人をよく見かける(彼らは何のためにそれをやっているのかわかっていない)。一方、具体的な行動に結びつけようとせずに、あらゆる可能性やアイデアについてただ考えたり、心配したり、話したりする人も多い『彼らはいつそのような考えを行動に移すのだろう?)。

(デビッド・アレン「ストレスフリーの仕事術 仕事と人生をコントロールする52の法則」より)

 

 仕事を定義する
ここでいう「仕事を定義する」というのは、自分がやる仕事の目標を明確にして、具体的な行動に分解することだと私は考えています。では、キチッと定義されていない仕事というのはどういうものか。目標を明確にせず、具体的な行動に分解することもしないで漫然と取り組む状態です。その状態でも良い人もいます。左から流れてくるシューマイのてっぺんにグリーンピースを乗せるだけといったような、やることが決まっている仕事です(そのような仕事を下に見ているわけではありません)。

 

知識労働者の「定義された仕事」のフロー
現在会社勤めをしている人のほとんどは、ドラッカーの言う「知識労働者」だと思います。そうであれば、流れ作業をしていれば終わる仕事をしているわけではないので、仕事を定義することが必要です。「どんな仕事があるのかを見つけて」「それがどんな目的を持ち」「どのような具体的な段取りに分解できて」「どんな進捗状況で」を逐次把握しなければいけない、ということです。

 

GTDの「①把握」「②見極め」「③整理」「④実行」「⑤更新」に当てはめると、流れ作業的な仕事は④のみであり、知識労働者は①~⑤までをやって始めて「仕事」ができたと言えるということになります。

 

よくある「仕事ではなく作業ばかりしている人」「指示待ち症候群」と言われるのは、他人に①②③と⑤を頼って④しかやらない人だと思います。もし、指示待ちだとか、なぜかわからないが仕事がうまくいかないという人は、④しかやっていない自覚が持てていないだけかもしれないので、GTDのフローを一通りやって①~⑤まで全部やるようにすると、見違えるように仕事ができるようになる、、、かもしれません(笑)

タスク管理ツールはコックピットのダッシュボード

週次レビュー
タスク管理手法”GTD"では、定期的にタスク管理ツールをメンテナンスする「週次レビュー」の重要性を説いています。タスク管理上の「レビュー」とは「見直し」とも言われており、把握したタスクが完了したらタスクリストから消す、タスクが進捗したらその進捗をツールに記録する、新たなタスクが発生したらツールに書き込むといったことを指します。

 

「週次」でなくてはいけないのか
GTDの開祖デビッド・アレンは「1週間に1回レビューをしよう」と言っていますが、私は個人的に1週間にこだわる必要は無く、「定期的」くらいに解釈するのが良いと考えています。なぜなら、1週間前に終わらせたタスクのことなんて忘れている可能性がとても高いからです。私は、タスクを終わらせたり進捗させたり発生させたりするごとにツールに変更を加えています。

 

レビューは飛行機のダッシュボード
タスク管理ツールは、飛行機のコックピットにあるダッシュボードのようなものだと思います。

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今どんな場所にいて、どのくらいのスピードを出していて、その他色々な情報が逐次表示される画面のようなものです。機体の状態が変化すればその変化があったことを表示し、目的地が近づけばそれを計器類で知らせてくれる、そのような物です。自分をうまく操縦するには、自分の位置や状態を正確に知らせてくれるダッシュボードのような存在、つまり私にとってはタスク管理ツールが必須だと思います。

シンプルだが、それこそ世界を変えてしまうぐらいの破壊力をこの「週次レビュー」は持っている。
(中略)
頭の中なんて信用してはいけない!望むべき結果と次の行動を明らかにし、リストを整理・更新することで、つねに頭をすっきりさせ、前向きな考え方ができるようにしておこう。これは週次レビューなしでは決して実現できないのだ。
(デビッド・アレン「ストレスフリーの仕事術 仕事と人生をコントロールする52の法則」より)


ダッシュボードなしでやると…?
ダッシュボードを見ることなく航行をするとどうなるか。たとえば翼に異常が発生しているかどうかを、コックピットから出て確かめに行かなければいけない。今時速何キロメートルくらいで飛んでいるかを自分の感覚に頼らなければいけない(そしてその感覚は不正確だ!)。だだっ広い雲の上の空で、いま自機はどの方角に向かっているかを太陽や月の位置から割り出さなければいけない(古代の天測レベルまで精度は落ちます)。自機に向かってくる他の飛行機等を目視で避けなければいけない(米粒程度にしか見えなかったものが数秒後には目前に迫ってくる!)。危なっかしくてしょうがないですね。

 

レビュー無しで仕事をすること
タスク管理ツールを定期的にレビューせずに仕事をするのは、ダッシュボード無しに飛行機を操縦するようなものだと思います。そこまで極端な話ではないにしろ、多かれ少なかれ似ていると考えています。タスク管理ツールを日常的に使って仕事をしている人からツールをいきなり取り上げてみたら、仕事をまともに進められなくなるでしょう。


自分はそんなものなくてもできている!という人はいると思います。飛行機の操縦ほどリスクの高いものではなく、ダッシュボード無しに操縦することによって発生する仕事上の事故はごめんなさいで済む程度なので、そのようなことが言えるのではないでしょうか。私はその「ごめんなさい」を言わなければいけない状況がすでに精神的負担なので、そのセンはなるべく取りたくないです。

 

もともと優秀なパイロットではない自分はダッシュボード=タスク管理ツール頼みです。そして、いくら優秀なパイロットでも、ダッシュボード無しで飛行機を操縦することはしませんね。むしろキチンと航行するためにはダッシュボードの表示を的確に読み取るようにするのが優秀なパイロットなのではないかと思います。

 

タスク管理ツールに時々刻々と変化する自分の仕事の状況を表示させるようにすることで自分の仕事をコントロールするのは、複雑化した仕事をこなさなければいけない現代においてはもはや必須のことだと言えます。この考え方、一見すると「えっ!そんな面倒くさいことをするの?」と突拍子もないことと思われるかもしれませんが、案外大事なことではないかと。

【開催御礼】第11&12回「自分は要領が良くない、と思い込んでいる人のための仕事術」

開催御礼

7月16日(日)に、「自分は要領が良くない、と思い込んでいる人のための仕事術」を無事開催することができました。参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。

 

参加者の皆さんに共通する“思い”
毎回思うのですが、おいでいただいたみなさん、本当に真面目で真摯、熱心なんですね。事前アンケートを読んでも、自分を向上させたい!自分の弱みをどうにかしたい!という熱意がとても感じられるんですね。

 

思うに、きっと数年前の私が味わった、自分はもしかしたら致命的に仕事ができないんじゃないか、このまま失敗を繰り返してしまうのではないかという危惧を抱えて、会場までいらっしゃったんじゃないかと。その焦燥感、そして徒労感は非常に大きいものだと経験上お察しします。「ああ、自分はもうだめか」と、まるで力石徹と戦った直後の灰になった矢吹丈のような状態に陥ったことが私にはあります。

 

灰からの復活
あしたのジョー」では、主人公矢吹丈が真っ白な灰になってしまい命を落としますが、そんなになってしまっては困るのです。社会人として仕事をして、おまんまを食っていかねばならんのです。それがどうすれば良いのか、どうしたら復活できるのかが私には全く想像がつきませんでした。

 

想像もつかないところからの復活は、奇しくも自分がこんなにもできないのかと思い知ったところから始まりました。天からの一筋の光明が、とかそういった奇跡があったのではありません。自分がこういうことができない、これをするのは不可能だと自分を見切った、信用しなくなった時が、復活のスタートだったと思います。「自分はこういうことができない」「自分にはこれに苦手意識がある」といった、自分に対するネガティブな認知をすることができればこっちのものだと考えることができます。

 

自分のできないことを認知する
このイベントでは、私が持つ「忘れっぽい」「先送りしがち」「仕事が遅い」「何でも自分のせいにしてしまう」といった特性を挙げ、自分も共通すると思う事項に、差支えなければ挙手をしていただき、再度自分の特徴を認識していただいています。こういった自分の弱みを認識できていれば、復活へのスタートが切れるという私の確信があります。

 

幸い(?)にも、毎回たくさんの手が挙がります。「いいですね~!」と冗談交じりに言っていますが、これは復活への暁が近いですよという私のメッセージでもあるわけです。もっと言えば、このイベントが目にとまりご参加いただいている時点で、かなり悩みの半分くらいは解消できる可能性はあるのではないかと思います。

 

では、残りのもう半分は何か。それは、タスク管理を軌道に乗せること。これまた難しい課題であり、実際に手を動かすのはご本人なので、あとはもう私としては頑張って欲しいと応援するしかありません。

 

そのための助言はいくらでもいたします。ツイッターのダイレクトメールでご相談いただければ全速力でご返答いたします。私がタスク管理で灰の状態から抜け出すことができたように、一人でも多くの方がタスク管理でうまく仕事をこなすことができるよう、祈ってやみません。

レジリエンス(折れない心)をタスク管理で維持する

レジリエンスとは
レジリエンス」という言葉、割と意識高めのネット記事等で見る言葉ですね。私は良く理解していませんでしたので、調べてみました。

レジリエンス
レジリエンス」(resilience)は、一般的に「復元力、回復力、弾力」などと訳される言葉で、近年は特に「困難な状況にもかかわらず、しなやかに適応して生き延びる力」という心理学的な意味で使われるケースが増えています。さらにレジリエンスの概念は、個人から企業や行政などの組織・システムにいたるまで、社会のあらゆるレベルにおいて備えておくべきリスク対応能力・危機管理能力としても注目を集めています。
(出典:日本の人事部)

「レジリエンス」とは? - 『日本の人事部』

 

この力、欲しかったですねー。折れない心、大事です。

 

レジリエンスを持つためには
レジリエンスを持っている人を調べると次の4つの要素が共通しているそうです。
①感情の起伏が激しくない
②自分を過小評価しない
③自己効力感をもっている
④楽観的である

www.nhk.or.jp

この4つは、私の経験だと、タスク管理で持つことが可能だと考えます。

 

①感情の起伏が激しくない
何か自分の目の前に起こった事象に対して過剰に反応しなければ良いわけです。そのためには、目の前の事象を客観視できることが大切だと思います。タスク管理メソッド”GTD"では、目の前に起こった事象を「やるべきこと(タスク)」として捉え直し、紙やデータに書き出します。そうすることで客観視ができるようになります。GTD以前は、何か問題が起こったら「ええっ!どうしよう!」と常に大きく受け止めていましたが、GTDを実践するようになると客観視をする習慣ができたので、良い意味でどこか他人事として冷静に受け止めることができるようになりました。

 

②自分を過小評価しない
仕事でミスをして、それに対して自分で自分を責め続ける。自己研鑽をし続ける真面目な人にありがちな行動です。しかし、バランスを崩すとあっという間に自分を過小評価して自信喪失します。これが行くところまで行くと、本当に何もできなくなってしまいます。


GTDを実践していくと、タスクを確実にクリアしていく「成功体験」を確実に積むことができます。クリアできる単位までタスクを分解するからです。そして、その分解されたサブタスクを順々にこなしていけば、必ずタスク全体を完了させることができる、という「見通し」がつきます。終わらせることができるという自信が生まれます。

 

③自己効力感を持っている
自己効力感とは「自分が成長前進していると感じる事ができる」ということなんだそうです。タスク管理ツールに自分が完了させたタスクが増えていけば、それが自分の成長前進の可視化となります。否応なしに自己効力感は高まります。

 

④楽観的である
本人の性格次第ではあるのですが、悲観する要素をできるだけ排除するのではないかと思います。悲観する要素とはズバリ「不安」です。GTDでは、やりかけの仕事を全部書き出すので、書き出したタスクについてどういう着地になるのかが予想できないという不安はありますが、それよりも大きい(と私が感じた)「把握できていない仕事がまだどこかにあるんじゃないかという不安感」は払しょくされます。その結果、楽観的とまではいかなくとも悲観的にはならないようになったという実感があります。

 

GTDレジリエンスを維持
このようにしてGTDを実践することでレジリエンス、折れない心を作ることができたのではないかと思っています。しかし、作ったといっても自分の思考の傾向を全く別人のそれと取り替えたわけではないので、いつ元の木阿弥になってしまうか分かりません。レジリエンスとは、一度作ったらもう安泰という性質のものではないと考えています。

 

そうならないためにも、GTDをやり続けて自分のレジリエンスを維持させていくのが、精神衛生上良いのかなと思っています。

言語化は諸刃の剣

タスクを明確にすることの弊害
タスク管理手法”GTD"は、とにかく「気になるやるべきこと」を書き出しましょうと口を酸っぱくして言っています。これは本当に大事なことで、GTDというタスク管理手法の根底を支えるものです。

 

ただし、この「明確にする」というプロセスが、ともすれば弊害になってしまうという現実もあったりします。タスクの明確化というのは、言い換えれば言語化です。頭の中でふわふわしていた概念を言葉で表現することです。これにより、婉曲表現が直截的な表現へ変わり、読んだり聞いたりする人にきつい表現であると思われてしまうことがあります。これがタスクを明確にすることの弊害です。

 

5W2Hをはっきりさせる
「だれが」「いつ」「どこで」「何を」「どうやって」「なぜ」「いくらで」をはっきりさせることが、言語化・明確化には必須です。しかし、このカギカッコ内の言葉を相手に投げかけ続ける人は敬遠されてしまいますよね。でも、タスク管理ではこれらをはっきりさせるのが望ましいのです。悩みどころですね。

 

自分が……
「悩みどころですね」と言っている自分が、実は「敬遠される人」になってしまっているかもしれない、というのが最近の悩みです。悩みと言うほど悩んでいませんが、ちょっと心に刺さっています。

 

「それは誰が誰に言った話ですか?」「そのとき部長が言ったのは『業務マニュアルを作ってくれ』ではなく『業務フローを実行する体制案を提案してくれ』ですよね」とか、話を聞く相手の発言をどんどん明確化していってしまう癖がついてしまいました。非常にいかんですね。感じ悪いこと山の如しです。

 

でも、言語化は必要かと……
とは言いながら、「アレをいい感じになる早で作って」といった曖昧な依頼に対して「はいわかりました!」と二つ返事をするのは後々のことを考えるとよろしくないということも分かっています。言語化はしつつ、どうにか嫌な印象を与えないような会話術を身に付けたいと考えています。