ブラームスはお好き?
サガンの小説のタイトルです。
登場人物の男性が、意中の女性をデートに誘った際の台詞です。
私は、アマチュアの社会人オーケストラでクラリネットを吹いています。
大学のオーケストラサークルでの経験も加えると、20年近くになります。
ブラームスはとても思い入れのある作曲家のうちの1人です。
「それでもほどほどに」
ブラームスは、師匠の奥さんを好きになってしまい、その想いを一生涯内に秘めて、独身を貫き通しました。
そんな彼の人間性をよく表しているのが、ブラームスの作品によく書かれている指示「ma non troppo=しかし、ほどほどに」です。自分の想いの強さを内に秘めるための彼なりの処世術だったのでしょう
ただ、そんな彼の情熱が堰を切ったように溢れ出てしまっている作品がいくつかあります。その1つ、弦楽六重奏第1番の第2楽章です。
どうにもならない自分を投影
仕事がどうしても上手く行かず、さらにそんな自分を責めて適応障害を起こした頃によく聴いたのがこの曲です。
悲しく美しいこの曲の奥底にある「でも、ほどほどに」という諦念と、どうにもできない自分を受け入れざるを得なかった時の心境が似ていたのかも知れません。
昼休み、いたたまれず1人で会社近くの喫茶店に行き、昼食を取りながらこの曲を聴いてひとしきり泣き、重い足取りでまた会社に戻る、という繰り返しでした。
そんな状態で満足に仕事が続けられる訳もなく、その後、程なくして休職に至ります。
その休職からの復帰後、タスク管理を始めて、たちまちストレスフリーに業務が回せるようになり、昼休みに喫茶店でこの曲を聴くことはなくなりました。
今では、その時の思い出として感慨深く聴くことがありますが、時々、このメロディーがやたら心に刺さることがあります。
その時は、疲れていることが多いので、この曲にあまりに感動してしまった日は、ゆっくり休むようにしています。
初心に帰る
私にとっては、タスク管理を始めるきっかけを作ってくれたような曲であり、初心に帰らせてくれる大事な一曲です。
それにしても、心にしみいる本当に良いメロディーですよね。
ブラームスも大変な曲を作ったもんです。