「タスク管理」で障害者就労移行支援~実・践・編~
「タスク管理」への序章
月1回「しくじり先輩」として、10年ほど前にしくじった私の体験を元に講演やワークをしております障害者就労移行支援事業所「EXP立川」さんに、今月も行ってまいりました。この事業所を運営している社会福祉法人「SHIP」の理事の方がタスク管理に理解のある方でして、タスク管理で就労移行支援をしたいという私の考えに賛同いただき、そのためのプログラムを組んでいただいております。
5月と6月は、お昼の時間帯(12:00~13:00)に、10分ずつ時間を区切って、その枠内に収まるよう「お昼休みに行う予定タスク」を書き出してもらい、お昼休み終了時に予定通りタスクをこなすことができたかを振り返ってもらうということを、利用者さんに行っていただきました。
ついに本腰をいれたプログラムへ!
今月の「しくじり先輩」は、今までのお昼休みタスク管理をもとにした、より実践的な場面を想定した「仕事のタスク管理」を行うことにしました。
全体を2~3人のグループに分けて、それぞれに事業所のスタッフが上司役として、仕事の指示を出します。そして、①指示を書き出し、②細かい段取りに分け、③細かい段取りを業務時間1時間を10分ずつ6つに分けた枠にはめこんで予定を立てるということをしてもらいます。①②③それぞれに応じた紙のツールを用意して、そこに書き込んでいくことで自然と目的が達成できる、という流れにしました。「タスク管理」とか「GTD」といった言葉は使わずに、でも結果的にその内容を実践しているようなツールを作成しました。
グループ分けをして、ツールの使い方を説明しよく理解してもらった上で、上司役からの仕事の指示が飛びます。そして、ツールに書き出してもらい、「ルームAの掃除」「ルームBの掃除」「しくじり先輩アンケートの作成」「トイレの備品在庫表作成」といった、本当に事業所のスタッフがやる仕事を、実際に利用者さんたちに行っていただきました。
動きが変わった!
ここの事業所は、基本的にニコニコ明るくのんびりとした雰囲気が特徴だと私は思っています。しかし、今回のワークを「では開始!」となると、皆さん人が変わったようにキビキビと動き始めました。ちょっとびっくりでした。就労移行支援を目的としているので、再び仕事を始めたくて通っているので当たり前なのかもしれません。その活気の中にいると逆に私の方が奮い立たせてもらえるような、そんなエネルギーがありました。
タスク管理ツールは使いこなせたか
私の最も注目していた(タスク管理の)ツールは使いこなすことができたかどうか、ですが、少なくとも書き込んでその通りに行っていたように見えるので、働きかけは成功だったと思います。同じようなワークを柔道の乱取りのように繰り返しやっていけば習慣になるという手応えを感じました。
振り返り
午後に行った振り返りでは、タスクの分解表をちゃんと書く重要性や、わざと曖昧にしか指示を出さない上司役に対して具体的にイメージできるよう質問を繰り返すことが大切であることなど、タスク管理の大事な部分を肌で感じてもらえたと思っています。
タスク管理の基本的な考え方の枠組み、フレームワークを自分のものにして、是非今後に役立てて欲しいと切に願っています。そして、EXP立川でのこの取り組み「タスク管理×福祉」が、もっと広って欲しいと強く思っています。