高くて困難な目標設定
目標設定理論
「明確で困難な目標を設定した場合、人は強く動機づけられ高い業績をあげる」というのが、目標設定理論の骨子なのだそうです。
ある組織が10日で完成したものを次は9日、その次は8日で完成させるようにしていくという流れは、その組織の生産性を上げていくものです。正しい。つけ入るすきがありません。
目標設定理論への違和感
でもですね、正しすぎるんじゃないかと思うんですね。この考え方には私は抵抗感を禁じえません。北海道の見渡す限り平原の一本道に横断歩道があったとして(多少無理な設定ですが)、その横断歩道の信号が赤のときに渡ろうとして、「待って!赤だよ!車来ないけど渡っちゃ駄目だよ!(目キラキラ)」と言われているような、そんな感じがします。
この理論は、適切な目標設定をすることでモチベーションを上げることを目標としているのだそうです。タスク管理界隈は「モチベーション」とか「意志力」を__少なくとも私は__信じません。やる気がアップすれば仕事の質などは上がりますが、確実にアップできる保証がないので、「モチベーションを上げる」ことに対して懐疑的にならざるを得ないのです。
むしろ、その業務タスクの所要時間の見積に余裕を持ち、タスク管理手法”GTD"のフローにしたがって処理していけば、結果的に生産性が上がるものだと考えています。そう考えると、目標設定理論はタスク管理と相反するような気がします。
GTD本の一節
そんなことを考えながらGTD本を読んでいると次のような言葉が目に飛び込んできました。
・大量の仕事が殺到しても、リラックスしつつコントロールできる能力
・あいまいな方向性や突発的なプロジェクト、はたまたさまざまな
プレッシャーの中においても、実現可能な行動計画を立てられる能力
・大きな障害に直面したとき、望ましい結果と次に取るべき行動に
素早く集中できる能力
(デビッド・アレン「ストレスフリーの仕事術 仕事と人生をコントロールする52の法則」より)
企業の社員研修では、GTDによって身に付けることができるこれらの能力の必要性を感じていないのか。そんなことをGTDの開祖デビッド・アレンは言っています。この各種能力についての言及(もっと列挙されていました)を読んだ瞬間に、目標設定理論に対する抵抗感は減りました。むしろ「明確で困難な目標」を設定されたときにこそ、その真価を発揮するのがGTDであると考えたからです。
なんて、私も目キラキラ系になってきているのかもしれませんが、GTDの方法論に慣れ親しむと自己肯定感が上がります。上記の能力は確実に得られると思います。GTDを日常的に実践していれば高くて困難な目標設定をされても安易に負けることはないかなと。