反射的に「どんどん片付ける」癖もGTDで身に付けられる
タスク管理のイメージ
タスク管理の持つイメージは、長期的な展望が必要なタスクを、他の並み居るタスクと並行させながら確実に進捗させる、というものではないでしょうか。
しかし、タスク管理メソッドの1つであるGTDは、別の側面もあります。そもそもGTDはGetting Things Doneの略で、「物事をどんどん片付けていく」といった意味合いを持つものです。片付けられそうだと思ったものから次々に終わらせていくというのもまたGTDの推奨しているやり方の1つなのです。
「●●さんに電話しなきゃ」という行動が、今頭の中に浮かんでいるとします。それは、電話して用件を伝えるだけで済むのか、それともその電話から大きく話が発展するのか。言い換えれば、シングルタスクなのか、それともプロジェクト(=タスクの集合体)のうちの1プロセスに過ぎないのか。前者であれば、タスク管理ツールに記録せず、やって終わりです。後者は、「望んでいる結果を明確」にして「次にとるべき具体的な行動」としての電話をはじめとする各手順も明確にする必要が__タスク管理的に言うと__あります。
特定のアイテムについて、次にとるべき行動を明らかにしていなければ、それに2分かかるのか2時間かかるのかが分からない。処理の済んでいない大量の文書やメールの中には、すぐにできる行動が含まれているものがたくさんある。それらを見極めて実行してしまえば、多くのことが片付き、着実に仕事が片付いていると実感できるようになる。
(デビッド・アレン「ストレスフリーの仕事術 実践編」より)
小さな単独タスクを次々に終わらせる
目の前から仕事の書類の束が消えていったり、TODOリストに取り消し線が増えていくので、いったん「この仕事は2分で終わる」と分かれば、とても気持ち良くタスクをこなすことができます。
2分というのはとりあえずの基準であって、それは人によっては1分だったり10分だったりします。個人的には、2分以上かかっても、記録に残さなくても良く、1アクション(メールを書く、電話をする、物を取りに行く)で終わる仕事であれば当てはまるのではないかと考えています。
「タスク管理」のイメージとは違い、非常に動的な、流れの速い様子がうかがえます。これもありだとGTDでは推奨しています。
私やスタッフがクライアントをマンツーマンで指導するときには、2分以内にできることをどんどんやってもらい、人に任せるべきものをどんどん任せてもらうようにする。指導時間の大半はこれらの作業に費やされるが、これをやるだけで時間の使い方が劇的に改善される。中には、この2分ルールを実行することで「人生が6ヶ月分増えた気がする」と言った人もいるほどだ。
(デビッド・アレン「ストレスフリーの仕事術 実践編」より)
今や時代は二刀流
今は、マルチタスクを計画的に少しずつ進めていくという仕事のやり方と、目の前にあるものを素早く片付けるというやり方の二刀流が求められているのではないかと私は感じます。どっしり腰を据えて長期的なスパンで完了させていく大規模な仕事と、日々割り込んでくる「これちょっと手伝ってもらっていい?」「あれちょっとやってもらえる?」といった短期的なタスクの両方を一人がしなければいけないという状況です。
そんな2種類のタスクたちの優先順位を効果的につけ生産性を向上させるためには、「これはすぐに終わるタスク!」とすぐに見切って、素早く着手してすぐに完了させるのもまた必要なスキルではないでしょうか。
GTDに慣れてくると、すぐ終わるタスクかどうかの見切りも上手くなっていきます。自分の予想通りにバッサバッサとタスクを斬って捨てる(ちょっと表現がよろしくないですが)のは、大変気持ちが良いものです。