やりきれないくらい膨大なタスクの中から、優先順位を付けてネクストアクションを実行し続けること。
「さよならだけが人生だ」とは井伏鱒二の名訳ですが、まさに「人生は優先順位付けの連続」であり「その要諦は諦めることと心得たり」です。
— 小鳥遊@7/20イベント (@nasiken) 2019年7月7日
今年上半期に決めた、割と大きな優先順位の選択の日が時々刻々と迫っております。
こうして人は自分の人生の選択をしていくのですな…。
変にもったいぶった書き方をしておりますが、「今年上半期に決めた、割と大きな優先順位の選択の日」とは、所属している社会人アマチュアオーケストラの演奏会があった昨日のことです。昨日の演奏会をもって所属オケを退団いたしました。
言ってしまえば、社会人の趣味のサークルを辞めるなんて、そんなに大したことではないのかもしれません。ただ、30年近くクラリネットを吹いてきた私にとってはなかなか大きいことでした。
中学校1年生の吹奏楽部から始まり、高校も吹奏楽部、大学はオーケストラサークル、そして大学卒業後は社会人オーケストラと、常に「クラリネットだよ人生は」という毎日を送ってきました。
どこの団体にも所属していない時期は2年間のみ。大学受験浪人の1年間と、「この一年は!」と決めた司法書士試験受験生活の最後の1年間。いずれも期限付きの無所属期間でしたので、自分の意思で活動に見切りをつけるのは初めてだといって良いものです。
これは、私の人生において音楽活動___特にオケ活動___がかなり高い優先順位を占めていたことを意味します。そういえば、結婚式も二次会では高砂ではなく、ずっと平場にいて楽器吹いていましたわ……。
音楽仲間の友人たちの演奏を一緒に企画していると「やっぱそれちょっと吹かせて」となり、いつのまにか自分ありの出し物になっていました。
私にとって音楽はそんなかけがえのない存在でして、確実に私を救ってくれました。そのときのことは2年前にこちらの記事で書きました。
その優先順位に変動の兆しが見られ始めたのが、副業である「自分と同じような(発達障害による)悩みを抱える人たちにタスク管理を広める」という活動を始めたあたりです。
あれよあれよとばかりに話がつながっていき、イベント開催、メディア執筆、講演などをするようになり、「タスク管理」関連の活動が充実していきました。
ただ、残念なことに、一日は24時間しかなく、体力には限界があり、体は1つしかなく、人生には寿命があるんですね。家庭生活はもちろんのこと、会社の仕事、副業、そして趣味の音楽活動と、だんだん膨れ上がってきた各種の「やりたいこと」「やるべきこと」。タスク管理的に解決法を考えるとしたら、優先順位の高いタスクからやっていくしかないのですね。
私の所属していたオーケストラは、数あるアマオケの中で特に出席に厳しいのです。だからこそ、毎回の練習にみんな揃って出席してアマチュアとしては頻度高く演奏会が開催できるので、その点とても良いオケだと思っています。そんなオケを、育休のような意味合いで1年間休団しました。会社も4か月ほど育休を取ったこともあり、あらためて人生における優先順位なるものを考えたわけです。
その結果、ひたすら楽器一途だった私が出した結論は、今のオケ活動よりもタスク管理関係の活動の方を優先するというものでした。前述の通り、自分にとっても大きな決断であり、同時に古くからの私の友人たちはおそらくすごく驚くことだと思います。
かといって、クラリネットを完全にやめると決めたわけではなく、エキストラでのお話もいただいておりまして、細々とできる限りで続けていこうと思っています。時間に余裕ができて、そのときに入れてもらえる(そのオケはなんとオーディションがあるのです)のであれば、また古巣に戻りたいとも思っています。
タスク管理は、日ごとに発生するタスクの発生と消滅に付き合っていく印象が強いですが、もっと大きな単位である人生における活動の取捨選択も実はタスク管理ですね。
こんなツイートをしました。
タスクを書き出してその量の多さにうんざりするところからタスク管理は始まる気がする。。。そしてまさに「(タスク管理を)そこであきらめたら試合終了」。
— 小鳥遊@7/20イベント (@nasiken) 2019年7月10日
……と言っても、その膨大な量のタスク全部に取り組もう!ということではなく、むしろ本当にそのタスクはやるべきか考える良い機会かと。
もしかしたら、うんざりできる余裕があるうちが花なのかもしれません。
人生100年と言われますが、人は早晩、やりたいことはまだまだあるが全てを諦めなければいけないという局面に立ちます。それは人生における試合終了なわけで、最期の時にそれはとっておくものかと。
タスク管理とは、本来やりきれないくらい膨大なタスクの中から、「もしかしたらこれは一生できないかもしれない」というタスクを横目に見つつ、それでも優先順位を付けてタスクを実行し続けるものなのかもしれません。
矛盾する目的のタスクを同時に抱えた場合の解決法。
「ゴール・コンフリクト」という状態があるそうです。こちらの動画で知りました。
いくつもの目標や欲望が互いに矛盾し合っている状態です。
両方を達成するのはできないのに、それを望んでいるので、当然実現不可能です。そこから焦りや不安が生じて、「時間が無い」という錯覚に行き着きます。
矛盾したまま抱えていないか
例えば、あるサラリーマンが「毎日5時間読書する」という目的のタスクと「一日5記事ブログをアップする」という目的のタスクを同時に抱えていた場合、よほどの速読ができたり、早書きができる人でないと両立は難しいです。
しかし、それぞれはとても実現したいと考えていたとしたら、TODOリストにはこの2つが並ぶことになります。その結果、本人には何が起きるか。それは「焦り」「不安」です。
それは「ダブルバインド」
上司から両立できない2つ以上の指示を受けることを「ダブルバインド」といいます。「二重拘束」と訳され、精神的なストレスが生じる典型例とされています。
ダブルバインドとは、日本語訳で「二重拘束」という意味です。二つの矛盾した命令をすることで、相手の精神にストレスがかかるコミュニケーションの状態です。モラルハラスメントやパワーハラスメントを招きやすく、注意が必要です。
矛盾したタスクを抱えている状態は、自らダブルバインド状態を発生させていると言えます。それぞれは自分で「やろう」「やりたい」と思っているタスクなので、知らず自分をダブルバインドしてしまっていることが往々にしてあります。
矛盾を解決する方法
タスク管理メソッド「GTD」でこの矛盾を解決するとしたら、このような方法が考えられます。
- まずは矛盾していてもタスクを「把握」する。
- 明らかに矛盾していて実行不可能であれば、タスクの「見極め」で「ごみ箱」へ。一見して矛盾が分からない、捨てたくないと思ったタスクは「整理」をしてツールへ入力。
- 「選択」して実行する際に矛盾が明らかになるので、実行するタスクを除き「いつかやれればいいこと」として優先順位を下げる
- 「更新」で適宜矛盾するタスクを捨てるか、優先順位を下げたままにしておく
矛盾状態を解消するのではなく、矛盾するタスクの存在は認めつつ、それらを「取捨する」か「優先順位を付ける」と対応する中で、緩やかに矛盾を解決していくのが良いのではないかと思います。
最後に
大事なことは、矛盾するタスクを前に考え込まず「把握」すること。そして、明らかに矛盾するタスクは「捨てる」か「優先順位を付ける」こと。この2つにより、矛盾するタスクに同時に直面してしまい焦りや不安が発生することから避けることができます。
「一週間に十日来い」的な状態でない限り、「時間が無い」という認識は、ゴールコンフリクトによる錯覚である可能性があります。まずは、GTDの各ステップを通してタスクを整理することで、錯覚状態から脱するきっかけを作ることができるのではないでしょうか。
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1日は実質24時間ではない。時間の有効活用の基礎知識。
「時間がない」という話はよく聞きます。1日は24時間とされていますが、実質的に使える時間はそんなに多くないという話です。
このラジオを聴きました。
5つのタスク管理
ラジオの内容によると、タスクを管理する手法には5つあるとのことでした。それは次の5つです。
- 7つの習慣
- GTD
- タスクシュート式時間術
- マニャーナの法則
- ポモドーロ ・テクニック
GTDでタスクを整理して、整理したタスクをポモドーロやタスクシュートで1日の時系列リストに落とし込み実行する。その優先順位は7つの習慣を基準に付ける。マニャーナの法則は、ポモドーロやタスクシュート式時間術で実践される原理である。
イメージとしては、バイキングで食材がたくさん並べられている場所がGTDで、それを皿に取り分けるのがポモドーロやタスクシュートというものでしょうか。
オープンリストとクローズドリスト
上記のバイキングの食材が並べられている場所が、タスク管理用語でいうとオープンリストになります。そして、ポモドーロやタスクシュートがクローズドリストです。
食材は作られた分追加されていきます。限度がない、オープンなスペースにどんどんタスクが追加されていくのがオープンリストです。
オープンなスペースから、自分の持つ皿の大きさに乗せられる分取ってテーブルに待ちかえって食べます。時間的な限度内でタスクを乗せるのがクローズドリストです。
上に挙げた5つのタスク管理を当てはめるとすれば、オープンリストがGTD、クローズドリストがタスクシュートやポモドーロです。
タスクができる時間
GTDはオープンリスト色が強いので、「1日はこう過ごす」というクローズドリストで補強されることが多いです。バイキングでも、食材スペースからヒョイパクだけするよりは、一定量皿に取ってゆっくり自席に戻って食べる方が落ち着きますね。
食材の中に、「これはかならず取らなければいけない」というものがある場合、例えば「野菜は食べなきゃいけない」と考えていたら、野菜を優先して皿に置いて、残りのスペースに肉やら魚やらを乗せますね。
タスクについても同じで、「これだけは毎日やる」というものと「この日はこの予定が入っていて動かせない」というものがあれば、まず優先的に一日の予定表に入れて、「ちょっと時間がないからどかせよう」とはなかなかできないものです。
「これだけは毎日やる」はルーチン(ルーチンタスク)といい、「(自分の意志だけでは)動かせない予定」をスケジュールといいます。ルーチンとスケジュールは、一日の予定表、つまりクローズドリストに優先的に入れておき、残った時間内でその他のタスクを実行します。バイキングの例えでいうと、ルーチンやスケジュールが野菜、その他のタスクが肉や魚、一日の予定表は取り皿です。
ルーチン(ルーチンタスク)とは
毎日かならずこれはやるという行動がルーチンタスクです。睡眠や食事、あとは運動を習慣化している人もルーチンタスクになります。仕事のタスクがどんなに忙しくても、「ちょっと忙しいから、今月は睡眠タスクと食事タスクはゼロにして、来月2倍寝て食べよう」といったことはできません。
スケジュールとは
他人と約束するなどして、実行する時間が決まっていることがスケジュールです。ルーチンのように定期継続して実行はしないものの「この日のこの時間に必ず実行される!」というものです。仕事でいうと、会議や打ち合わせ、お客様の来訪予定などがこれにあたります。
「その他のタスク」の実行は残り時間で
日常私たちがタスクを実行する時間として意識しているのは、24時間からルーチンやスケジュールにあてる時間を除いた残り時間です。睡眠時間が6時間、朝食30分、昼食30分、夕食1時間だとしたら、その時点で残りは16時間です。ルーチンやスケジュールは他にもあるので、実際に自分の自由にできる時間はかなり少ないと言うことができます。
実質自由時間=24時間-(ルーチン+スケジュール)
という公式は、日常的に意識していると良いのではないかと思います。
なお、GTDでは、タスクの所要時間の見積や、それをもとに一日の予定を立てるということを想定していません。上記を意識できるのはクローズドリストを使っているときです。
クローズドリストを実行できるツールとしては、日本のタスク管理界隈では一番有名であろう「タスクシュート時間術」を実践するツール「TaskChuteCloud(タスクシュートクラウド)」があります。一歩踏み込んだクローズドリストとして、興味あれば使ってみると良いかと思います。
TaskChuteCloudは、アプリ化するためにクラウドファンディングをしています。私個人としても、チーム・タスクペディアとしても、同じくタスク管理で人生が救われた共通の原体験を持つ同志として、このクラウドファンディングを応援しています。こちらをご覧の方々も、よろしければご支援を!
最後に
GTDは時間内に終わらせるための方法論というよりは、タスクを整理してスッキリするための方法論という側面が強いかと思います。タスク管理をGTDだけで運用していると、時間管理もしなければという課題に直面することになります。
最初の取っ掛かりはGTDで良いと思いますが、その段階でも上記の公式を十分に意識してタスクを実行するとずいぶん違います。そして、必要に応じてポモドーロテクニックやタスクシュート時間術を併用すると、時間管理のスキルも上がるのでなお一層お勧めです。
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仕事で必要なのは、「完全なひま」ではなく「とりあえずひま」。
こんなツイートをしました。
「仕事が暇な状態」には2つあって、
— 小鳥遊@7/20イベント (@nasiken) 2019年6月26日
①そもそもタスクが発生してない
②発生してるが自分持ちじゃ無い
この2つを混同しがちだなと。
不用意にタスクを増やす原因の1つは、②なのに①だと思っていることだったりします。ボールが返ってきたら一気に忙しくなります。
「完全なひま」と「とりあえずひま」
仕事が暇な状態は2つあると思っています。1つは完全なるひまです。もう1つは、タスクは抱えているがさしあたってすぐにやることはないというひまです。
タスクは抱えているがさしあたってすぐにやることはない状態、もしかしたら想像しづらいかもしれません。
管理部門の法務を担当している私は、取引先との契約書の内容チェックが業務のひとつです。こちらの契約書文案を相手方に送ったら、相手方から連絡があるまでは「待ち」の状態です。そんな状態にある契約書が実はたくさんあります(契約書は、それが無いと話が進まないわけではないので、後回しにされることが多いのです……)。
極端な話、100件未完了のタスクがあり、そのうち80件くらいが取引先検討中の契約書のタスクだったりします。そんなタスクばかりだと、「とりあえずひま」な状態になります。
「とりあえずひま」は、本当に暇ではない。
気をつけなければいけないのは、「とりあえずひま」状態は本当にタスクから解放されてはいないという点です。上記の例でいうと、80社から同時に連絡が入れば、一気に80件のタスクについてのボールが自分のところへ来ることになります。
一時期言われていた「窓際族」という、殆ど仕事をあてがわれずに日がなオフィスに来ては就業時間中すわっているだけ、というイメージが「完全なひま」です。抱えているタスクが無い、という状態です。これと「とりあえずひま」は、傍目から見たら変わりませんが、その実は全く違います。
完全を求めなくていい
ここで考えたいのが、タスク管理をして実現したい状態はどちらかということです。「完全なるひま」を実現したいのか、「とりあえずひま」になりたいのか。
私は、「とりあえずひま」を目指すのをお勧めします。「完全なるひま」を目指すより達成しやすいからです。完全に暇になるには、自分が関わる全てのタスクを完了させなければいけないのですが、仕事は後から続々と発生するものなので、いつまでたっても完全に暇な状態にはなりません。
それに対して「とりあえずひま」は、とりあえず自分から手離れすれば良く、タスクを完全に完了させる必要はありません。
シンプルなTODOリストの弱点
ここに、タスク管理の運用で大事な論点があります。シンプルなTODOリスト、つまりタスク名のみをただ列挙しただけのリストだと、「完全なひま」かどうかしか分からないのです。自分がボールを持っている仕事タスクがほぼゼロだったとしても、誰かがボールをもっているのであればそのタスク自体は完了していないので、シンプルなTODOリストからは消えません。つまり、自分が背負いこむべきタスクだという表示になってしまうのです。ここが、シンプルなTODOリストの弱点です。
私が考案したタスク管理支援ツール「タスクペディア」では、そのタスクが今自分がボールを持っているかどうかを表示する仕様になっています。それは、100件タスクが並んでいたとしても全部が他人ボール持ちであれば「とりあえずひま」だと安心できるようにとの思いによるものです。
タスクペディアの根本思想のベースになっているタスク管理メソッド「GTD」でも、「連絡待ち」「自分が次に取るべき具体的な行動」とリストを分けています。GTDでも、ボール持ちの概念は重要視されています。
最後に
自分の経験上、毎日発生するタスクを完全に終わらせて一日を終えることは、一定の職種をのぞき、ほぼ不可能です。まずは「とりあえずのひま」を実現できれば、かなりストレスフリーに働けるのではないかと思います。
若い人が仕事の全体像を把握できなくなっている、というチャンス。
この記事を読みました。
若い人、指示はこなすが全体像把握には壁
若い人は具体的な指示に対しては完璧にこなすのに、全体像は把握していないので、大きな目標を与えられると途端に動けなくなってしまう、のだそうです。
おそらく、いま起きているのは「まだ独り立ちができるほど、仕事の全体像を把握できていない」にもかかわらず、「言われたことであればほとんど完璧にこなすことができる」若者が増えている、ということではないでしょうか。
そこで、できれば最初から終わりまで順を追って考えさせて全体像を理解した上で答えてもらうような、オープンクエスチョンを投げかけると良い、のだそうです。
部下に声をかけるときは、なるべく「イエス・ノーで答えられるクローズド・クエスチョン」ではなく、「次の新製品は、どれくらい売れるだろう?」「次はどんな商品をつくるべきだろう?」といったオープン・クエスチョンを投げかけてみる。
全体像を把握するトレーニングとしては、この「オープンクエスチョンに答えさせる」のと「文章を書いてもらう」という2つが挙げられていました。
GTDは全体像把握のトレーニング
この記事を読み、GTDの「見極め」ステップはまさにこの全体像把握のトレーニングそのものだと思いました。「見極め」は、次の2つを明確化・言語化するものです。
- タスクの目的
- 目的達成まで、あるいは直近の具体的な行動
まずは目的を明確にして書き出し(言語化し)てもらい、そこに至るまでの手順のうち少なくとも次の一手、できればすべての手順を書き出す。これを職場でタスクが発生するごとにやっていれば、少なくともこの記事で「若い人」とされている層の方々は、抜きんでることができるのではないでしょうか。
さらに、このスキルはどこに行っても使えます。仕事を通して自分の付加価値を高めることができる絶好の機会が、職場では毎日毎時間毎分転がっているのです。もうこれはGTDをやるしかないですね!フーッ!フーッ!(鼻息荒く)
自分はもう若くない、という方へ
私も含めて、とても「若い人たち」とは言えない世代の方へ。自分には関係ないとお思いでしょうか。答えは否です。最初から最後まで自分のみで仕事が完結する特別な場合を除き、他の世代と関わるときは多いはずです。そんなときにこそGTDはその強みを発揮します。
GTDの特徴は「信頼できるシステムにあずける」ところにあります。自分の脳内に留め置かないのです。つまり、他人に共有しやすい形で情報が保管されます。信頼できるシステム__多くは「タスク管理ツールと呼ばれるもの__に預けられた情報は、目的と手順が理解しやすいようにレイアウトされた紙面かディスプレイ上に表示されます。
その表示指し示して「こんな感じで」と、全体を俯瞰できる形で他人に情報共有することが簡単になるのです。他人とのコミュニケーションをより円滑・容易に進められるように助けてくれるのが、GTDの「信頼できるシステム」です。
最後に
若い人が仕事の全体像を把握できなくなっているという(おそらく)事実は、若い人は若い人なりに、そうでない人はそれなりに、GTDの「見極めステップ」を駆使して抜きんでて自分の価値を高める良いチャンスになるのではないでしょうか。
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失敗は素直に受け止め、余計な解釈を加えずにアップデートする機会を持つ。
いまさらながら、改元の話を。
元号が変わることの意味は何かという問いに、宮台真司さんがこう答えていて、個人的にとても納得感がありました。
今までを反省して、それをもとに何か新しいことを始める、あるいは今までやっていたことを止める機会
これは、まぎれもなくGTDの「更新(レビュー)」です。
平成の総括をして自分のあり方・やり方を変えるのが、令和を迎えるにあたっての望ましい姿勢だということです。
同じ発言中、令和になってただ「めでたい!」とだけしか言っていない人たちのことを、ハロウィンでお祭り騒ぎをする若者と同じだと切り捨てていました。
私は、人に迷惑をかけないのであれば馬鹿騒ぎはむしろ微笑ましいなと思うのですが、それはそれとして、改元の意味をレビューと捉えることは大事だなと思います。
さらに宮台さんは続けます。
自分の抱える不安をやたらに正当化する風潮がある。正当化するよりも、正当化しなければいけない状態にある自分を笑えるようになると良い。
自分を笑えるようになるのはとても重要だと思います。卑近な話、「いやー、昨日カバンを駅に忘れて手ぶらで家に帰っちゃってー」と笑いながら言えるようになるといい、ということです。
※私の小学校時代の実話です……
このように、自分の失敗談を笑いながら話せるようになるためには、あるプロセスを経る必要があります。例えばこのようなものです。
- 失敗の事実を知る
- 失敗の本質を知る
- 失敗しないやり方を考える
まずもって、失敗という事実の存在を受け入れる必要があるのですね。わざわざ自分のネガティブな情報を取りにいく人はあまりいないので、強いて習慣化する必要があるのではないかと思います。
それが、GTDの「更新(レビュー)」ステップです。意識しないとあまりやらない、自分の足元を見定める行為を決められたフレームワークとして実践する点、GTDの恩恵を感じます。
ところで、GTDは基本的に「書き出された情報」を元にレビューをします。つまり、書き出されない情報は対象ではありません。これがなにを意味するのか。
頭の中で勝手に増幅させてしまう、「かもしれない不安」は、レビューの対象ではないということです。
レビューの対象である「書き出された情報」はこれ以上増えることのないものです。いたずらに自分で余計な解釈を加えてしまうということがないのです。
したがって、レビューを習慣化することには、反省の度合いを超えて自責が過ぎてしまうことを避ける効果がある、と私は感じています。
失敗の事実は素直に受け止め、それに余計な解釈を加えずにアップデートをしていく。これを続けることが大事であり、そのノウハウとしてGTDはとても優れているなと考えています。
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紐でベルトを補修した鞄問題が一気に解決した話。
こんなツイートをしておりました。
鞄に物を詰め込みすぎてベルトと本体の連結部分をすぐに駄目にするマンです。
— 小鳥遊@7/20イベント (@nasiken) 2019年6月18日
黒紐で結び「黒い鞄に黒い紐だから目立たない!大丈夫!」とまだまだ使う気満々です。
一応「新しい鞄買っても良いよ」と言われてますが、買うのが面倒くさいという理由で紐という文明の利器を有効活用(してない)。
今の鞄もそこそこ使い込んだので、これを機に新しい鞄を買おうねと妻と話をしました。新しい鞄が買えるのです。嬉しいできごとのはずですが……
鞄を買う店を調べて、価格や特徴を比較し、店に行き実際に手にとって…………
………………。
ええぃ面倒くさい!
鞄を買うタスクを完了させるためのサブタスク一つ一つがうんざりするタイプの行動ばかりで、嫌だなぁと思っておりました。
そこで、ここはひとつタスクペディア式の流儀「他人にボールを投げる」を実行してみました。ボールを投げる相手は、ちょうどそのとき近くにいたEXP立川のO山さん。
私は1週間に1日会社の業務の一環でEXP立川という障害者就労移行支援事業所で講座を持っております。そのスタッフであるO山さんにロックオン!
「O山さん、鞄とかって詳しいですか?」
「(こちらを見てニヤリとしながら)小鳥遊さん、鞄買うんですか?」
「そうなんですよ。ベルトと鞄本体の連結部分の部品が、ホラ、こんなふうに壊れちゃって」
「あ、ほんとだ」
「で、黒い紐で結んだんですよ。案外いける感じじゃないですか?」
※鞄購入の相談の目的で話し始めたものの、いつのまにか紐での応急処置を褒めてもらうという目的にすり替わっている小鳥遊。
「……で、小鳥遊さん、買い換えたいんでしたっけ?」
「そうそう!O山さん、何か知ってるかなーと思って」
そこでO山さんが若干のドヤ顔をしながら自分の鞄から出してきたのがこれです。
縦になっちゃってすみません……
「これぼく使わないんで、小鳥遊さんにあげます」
(; ゚ Д゚ )ナン!
(; Д゚)゚ デス!!
(; Д)゚ ゚トー!!!
いやはや、ビックリしました。こんなことってあるんですね。面倒くさい「新しい鞄購入タスク」があっという間に完了してしまいました。
別のスタッフさんから「いつもタスクペディアでボールをできるだけ相手に渡せるようにタスク分解しようって言ってましたよね。そのお陰ですね!」と褒めてもらいました。
なるほど、偶然の産物ではありますが、たしかに誰かにボールを投げようと思わずに自分の手元でこのタスクを暖めていたら、こんな展開にはならなかったでしょう。
私が定期開催している「自分は要領が良くない、と思い込んでいる人のための仕事術」でよく聞くお悩みの1つに「なんでも自分でやってしまおうとして、たくさんのタスクを自分の手元で暖めてしまう」というのがあります。
私もそのタイプでした。以前の自分であれば、なかなかお店にもいかずオンラインカタログなども見ずにいつの間にか1ヶ月以上経ち、それだけ先送りしてしまいたことと思います。
今回は、とにかく人を巻き込んでタスクの担い手のボールを回そうと考えているのが功を奏したようです。
先送り回避どころか抜本的な解決策をもたらしてくれたO山さん、ありがとうございます!
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