仕事を整理する時間は仕事か?
始業30分前に来いとはよく言われることらしいです。30分前に職場に来て何かしたら、もうそれは業務、つまり朝残業以外の何物でもないと個人的に思います。
警察が勤務前に柔道のトレーニングをやっていて、それを視察しに来ていた外国の人が「これは業務時間に入るのかね?」と聞かれ自信満々に「自主的な活動なので入りません」と警察関係者か答え絶句、というニュースがありました。業務内と業務外の境界線が曖昧な職場は依然として多い印象があります。
ところで、30分も前に出勤して何をするんでしょうか。掃除というのが多いようです。それと同じぐらいに多いのが「仕事を始める準備」です。
「仕事」をするにはそのための準備が必要だ。でも準備は仕事じゃ無いから始業前に済ませておこう。そういうことなのでしょう。
会社員として仕事をする上でずっとおかしいと思っています。始業時間には「仕事」を始められるようにあらかじめ早く職場へ来て「仕事の準備(これは仕事ではない)」をしなければいけないというこの考え方には、強く違和感を覚えます。
あなたがそのときどきでとりうる行動には次の3種類がある。すでに明らかにしたタスクを実行する、その場で対処すべきタスクを実行する、そして効率的に行動していけるようにあなたの整理システムを整備する、という3つだ。
(デビッド・アレン「ストレスフリーの仕事術 実践編」より)
私は、この3つ全てが「仕事」だと思います。上で「仕事の準備」としていることも仕事だと思っています。準備として仕事を整理することは、つまるところタスク管理ツールに新規タスクを入力したり、既存タスクを更新したりすることでしょう。これは「準備」レベルだと軽視せず、れっきとした「仕事」として認識すべきだと考えます。
仮に3つ目が仕事ではないとしたら、始業前にその作業を済ませることの理屈は通ります。しかし、始業後は「仕事の整理をしてはいけない」のですから、ただ目に付くものから手当たり次第片付けて、優先順位を付けたりする必要は無い、というヘンテコな話になりかねません。仕事の整理を業務外として始業前に済ませるべきという理屈は通りません。
幸いにも、始業30分前に来い!などとは言われる環境に私はいません。もしいたら相当モヤモヤしそうです。「仕事の準備」という言葉で曖昧になっている行動は、やっぱり仕事だと思います。
この、仕事の整理は仕事じゃないという軽視っぷりは、先進国の中で群を抜いて生産性が低いという日本の特徴と密接な関係があるように思えてなりません。