手元であたためない技術
なぜか「仕事を意味なく手元であたためる」人でした
自分ではそうしようと思っていないのに、油断すると何日も自分のところで仕事の進行を止めてしまうことがよくありました。
あたためて先送りするときの心境というのは不思議なもので、先送りの判断を下す瞬間は大したことないと思っているのです。何の想定もせずに、なんとなく「今は大丈夫だろう」と安易に先送ってしまう。
後になって、この判断が致命的だったことを悟るのです。「あの時、部長に一声かけていれば……」「メール1通出していれば納期が一週間早まって間に合ったのに……」といった具合です。
何もしないで放っておくことは、エネルギーの無駄遣いになるだけでなく、不必要に問題を複雑にしたり、こじらせたり、ストレスになったりする。意識的にすぐ行動することは、物事を放っておくことによって無意識からつねに送られるストレス(「あれ、やったかい?」)にさらされることよりもずっといい。
即座に対応することにより、「やりかけの仕事がぐっと減ってくる。そうなると明らかに物事が緊急状態になるずっと前に、早めの意思決定をする習慣が身についてくる。すると、明らかに組織全体が協力的になり、コミュニケーションの質も向上してくる。
(デビッド・アレン「ストレスフリーの仕事術 仕事と人生をコントロールする52の法則」より)
「いまさら!?」
先送りをした主犯としては、その先送りによってしわ寄せがいった人に事情を説明して、何かしら早めてもらうなどの対応をお願いしなければなりません。そのときに言われる「いまさら!?」という言葉が本当にグサリと突き刺さります。自分が悪いのでなおのこと「しまった……」と思います。
手元であたためないために
私は上記のような経験が多くありまして、さらにそんな自分が手元であたためないような工夫をタスク管理で行ってきたという経緯があります。その工夫は二点。
- タスクを細かく分解
- ボール持ちを意識
タスクを細かく分解する
タスクを細かく分解することで、行動に移る面倒臭さをできるだけ少なくします。「チラシを作る」といった漠然とした粒度ではなく「印刷業者の担当〇〇さんに相談の電話をかける」と具体的だと実感できるまで細かく分解しておきます。電話をかけるだけならすぐにでも行動に移せますよね?
ボール持ちを意識
1.で細分化した(サブ)タスクそれぞれに、「その行動主体は誰か」というボール持ちの情報をくっつけます。サッカーのように、ボールをパスし合いながらゴール(仕事の完了)まで持ちこむイメージです。
そして、なるべくパスを多くすることが重要です。一人でドリブルで持っていってゴールできれば良いですが、特に会社組織では役割分担が決まっているので、それぞれの得意なポジションでボールを受け取り、次にパスする方がよりゴールに持っていきやすいです。
そのために、パスを多くするようなタスク分解ができるよう、常に誰がボールを持っているかということと、自分が長くボールを持たないようにすることをイメージする必要があると感じています。
この2つで「手元であたため」は解消
上の2つの工夫を取り入れた結果、自分の手元でどんどん仕事が地雷化していく恐怖から逃れることができました。手元であたためないようにするためには、「常にスピードを意識するよう気を付ける」といった形ではなく、上記のような具体的な方法論まで落とし込むと、より無理なく実現できると思います。