料理のレシピこそ仕事の進め方の見本!
先日、私が週一で行っている障害者就労移行支援事業所EXP立川で「EXPクッキング」と題した講座を行いました。
別に、お料理教室をしたいわけではないです。就労移行支援なので、仕事のやり方としてのタスク管理を身近で分かりやすいテーマで理解してもらおうと始めた企画であります。
午前中は「オムライス」「サラダ」「スープ」を作ること、そのレシピを作ることを通して、タスク管理の手法に馴染んでもらいました。
冷蔵庫の中を見て、食材を思い浮かべて……
※写真はスタッフNさんの本物の冷蔵庫の中です。
「よし、オムライス、サラダ、スープにしよう!」
そこで、EXP立川で使っている、タスクの目的を明確にするための「チェックシート」と、
さらに、その目的を達成するための「タスクの分解表(今回はレシピ)」を使って進めました。
午後は、こんなメニューを。
食べて見たい料理、メインとデザートを一品ずつ決めてもらい、その作り方をネットで調べ、午前中と同じくチェックシートとレシピに書き出してもらいました。
いわば、午前中がルーチンワーク、午後が非ルーチンワークの練習です。
何を目的にどうやるかまであらかじめ決まっている仕事を自分なりに咀嚼して実行するのが午前中です。タスク管理手法"GTD"で言えば、「見極め」「整理」の段階をしてもらいました。
午後は、「自分が食べたいもの」というテーマを元に、まずどのような仕事を自分がやるべき(やりたい)か、そしてその仕事を完了させるためにはどんな手順が必要かをやってもらいました。GTDで言えば「把握」「見極め」「整理」の段階をしてもらいました。
EXP立川の講座は、2ヶ月で一周します。私の講座も基礎編4回、応用編4回です。EXPクッキングは基礎編の最終回で、料理という親しみやすい題材は用いながらも、結構やることはGTDそのものです。だからか、利用者さんはかなり疲れた様子でした。
最後にスタッフのNさんが言った「自分が新しい職場で仕事をやるときは、やり方もよく知らないことを周囲に聞いてやる必要がある。午後の講座の内容は、テーマは違うが同じことをすると思って欲しい。」という締めの言葉は、とても大切だと思いました。
それにしても、EXP立川の講座はかなり革新的です。同様の事業所にありがちな「PCの操作方法を身につけましょう」「面接の受け答えを練習しましょう」といったメニューだけに終始しません。
GTDは、ADHD特性が判りどう仕事に取り組めば社会でやっていけるのか分からなかった10年前の私が必要だったスキルだと思います。今、就労に際して同じような悩みを抱えている方々には、とても大切なものだと私は考えています。
そんなGTDをガチで教え込む事業所はなかなか無いです。おそらく、事業所側に教えられる人がいなかったり、手間がかかって費用に見合わなかったりといった理由があるのでしょう。また、そもそもタスク管理自体を知らないこともあると思います。
私の経験からは、いくらPCスキルを上げても、面接の受け答えがキッチリできるようになっても、就業した後に仕事ができるようになっていないと、また同じことの繰り返しになってしまうと考えています。
そうならないための1つのアプローチがGTDだと実感しています。そんな考えを事業所内でスタッフさんと共有できているのは、大変ありがたいことだと思っています。
今回の料理もそうですが、手を替え品を替えてタスク管理の考え方、やり方をしていくことがきっと利用者さんのためになると考えてやっていこうと思います。